166 / 173
番外編 クルミ
祝い
しおりを挟む
「ライおまえ、とりあえず風呂入れ。油まみれだろ。あ゛~~~瓦礫の山だな。ノーチェの宴には不釣り合いだ。うちの人員を使うがいいか」
「どこまでもその理由を貫くんだな…………有難い。こちらもノーチェの為に何かしてやりたいと思っていた。友として、嬉しく思う」
レスター兄様はライに頷いて見せ、クロム兄様に抱かれたままの私の方を向き頭を撫でた。
「頑張ったなクルミ。あとは俺らに任せろ」
「うん兄様、ありがとう。それと、ごめんなさい」
「それは親父と伯父上に言え。親父は殺気で周りの兵士を気絶させまくったし、伯父上なんて竜国全軍をマジで出そうとしたんだぞ」
「アイツ………………」
「兄上が偵察名目でずっとここにいたからね、伯父上を止める人がいないもん。アロンドのツッコミじゃ伯父上は止まらないから……」
秋がため息をついて言う。
クロム兄様ずっとここにいたの!?
最初から見られてた!?
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!
ビックリして首にしがみついた腕を緩めて兄様を見ると、ニッコリと笑う。
「誰かが僕の宝に触れる様なら動いた。テトが始終威嚇してたから、エルダゾルク神を敵に回さなくて良かったよ」
「ほわっ!!??」
あ、やばい、また可愛く無い声出た。
「あっっっぶね~~~~~~!!兄上!マジでおやめ下さい!!」
「れ、レスター兄様達はクロム兄様の通信で全部知っていたの!?」
「いや?兄上の通信はこちらの戦況がメインだな。カカラが始終マルケスに通信してたんだよ。マルケスはちょうど買い出しに王都に戻ってたんだ」
「マルケスおじさん!!??」
「よくやった、カカラ」
レスター兄様が言う。
カカラがすぐに跪き頭を垂れる。
「もったいないお言葉、身に余る光栄でございます」
「もう少し頼む。このままクルミの侍女として付け」
「御意に」
◇◆◇
砦の城の殺風景な庭をクロム兄様と歩く。
天馬にのって続々と到着した人員が、瓦礫の山を片付けていくのが向こうに見える。
「ところでクルミは何故指輪を首に付けてるの?」
兄様は私のネックレスに通された指輪を見て言う。
「返さなきゃいけないものだと…………だからっ……指を通しては駄目だと……思って…………」
兄様の幼少期の翼の爪を加工して作った指輪。
兄様の魔力に包まれてる感覚がする。
「なぜ?その指輪は婚約指輪だよ?」
「いやだって…………」
私を守るために貸してくださったのかと思っていた。本来婚約指輪をそんな使い方はしないから、役目が終わったらお返しするものとばかり…………
「くるみは僕じゃ嫌?僕だいぶがんばったんだけど。クルミをお嫁さんに貰うために」
「へぁ!?」
ぎゃ、声裏返った!また全然可愛く無い声出た!
「陛下の幹部になる話をオッケーしたのはその為だし、母上から頂いた公爵領も貰った時より広げてる、公爵の位で僕らと同世代に男はいないからあとは実力と実績つんで外堀埋めてきた。まさか国外の王子が飛び込んで来るなんてね、迂闊だった」
「は、はい?」
国外の王子ってライの事?
「ら、ライとはそんなんじゃ…………」
「くるみ?ノーチェはこの国の古い言葉で胡桃だよ?」
「なっ………………!!!???」
「どこまでもその理由を貫くんだな…………有難い。こちらもノーチェの為に何かしてやりたいと思っていた。友として、嬉しく思う」
レスター兄様はライに頷いて見せ、クロム兄様に抱かれたままの私の方を向き頭を撫でた。
「頑張ったなクルミ。あとは俺らに任せろ」
「うん兄様、ありがとう。それと、ごめんなさい」
「それは親父と伯父上に言え。親父は殺気で周りの兵士を気絶させまくったし、伯父上なんて竜国全軍をマジで出そうとしたんだぞ」
「アイツ………………」
「兄上が偵察名目でずっとここにいたからね、伯父上を止める人がいないもん。アロンドのツッコミじゃ伯父上は止まらないから……」
秋がため息をついて言う。
クロム兄様ずっとここにいたの!?
最初から見られてた!?
めちゃくちゃ恥ずかしい!!!
ビックリして首にしがみついた腕を緩めて兄様を見ると、ニッコリと笑う。
「誰かが僕の宝に触れる様なら動いた。テトが始終威嚇してたから、エルダゾルク神を敵に回さなくて良かったよ」
「ほわっ!!??」
あ、やばい、また可愛く無い声出た。
「あっっっぶね~~~~~~!!兄上!マジでおやめ下さい!!」
「れ、レスター兄様達はクロム兄様の通信で全部知っていたの!?」
「いや?兄上の通信はこちらの戦況がメインだな。カカラが始終マルケスに通信してたんだよ。マルケスはちょうど買い出しに王都に戻ってたんだ」
「マルケスおじさん!!??」
「よくやった、カカラ」
レスター兄様が言う。
カカラがすぐに跪き頭を垂れる。
「もったいないお言葉、身に余る光栄でございます」
「もう少し頼む。このままクルミの侍女として付け」
「御意に」
◇◆◇
砦の城の殺風景な庭をクロム兄様と歩く。
天馬にのって続々と到着した人員が、瓦礫の山を片付けていくのが向こうに見える。
「ところでクルミは何故指輪を首に付けてるの?」
兄様は私のネックレスに通された指輪を見て言う。
「返さなきゃいけないものだと…………だからっ……指を通しては駄目だと……思って…………」
兄様の幼少期の翼の爪を加工して作った指輪。
兄様の魔力に包まれてる感覚がする。
「なぜ?その指輪は婚約指輪だよ?」
「いやだって…………」
私を守るために貸してくださったのかと思っていた。本来婚約指輪をそんな使い方はしないから、役目が終わったらお返しするものとばかり…………
「くるみは僕じゃ嫌?僕だいぶがんばったんだけど。クルミをお嫁さんに貰うために」
「へぁ!?」
ぎゃ、声裏返った!また全然可愛く無い声出た!
「陛下の幹部になる話をオッケーしたのはその為だし、母上から頂いた公爵領も貰った時より広げてる、公爵の位で僕らと同世代に男はいないからあとは実力と実績つんで外堀埋めてきた。まさか国外の王子が飛び込んで来るなんてね、迂闊だった」
「は、はい?」
国外の王子ってライの事?
「ら、ライとはそんなんじゃ…………」
「くるみ?ノーチェはこの国の古い言葉で胡桃だよ?」
「なっ………………!!!???」
2,095
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました
成実
恋愛
前世の記憶を思い出し、お菓子が食べたいと自分のために作っていた伯爵令嬢。
天候の関係で国に、収める税を領地民のために肩代わりした伯爵家、そうしたら、弟の学費がなくなりました。
学費を稼ぐためにお菓子の販売始めた私に、私が作ったお菓子が大好き過ぎてお菓子に恋した公爵令息が、作ったのが私とバレては溺愛されました。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる