精霊のジレンマ

さんが

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オヤの街のハーフリングとオーク

233.ケイヌとの商談

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「ライですか?他に情報はないのですか?」

「銀髪のライ、それしか分からない。見た目は青年かもしれないし、老人であるかもしれない。ただ銀髪でライという男を知っていれば、どんな情報でも構わない」

『カショウ、待って。初めて会ったハーフリングに、そこまで話して大丈夫なの?』

「商人なら、それなりの情報網があるだろ。俺達が動くよりも沢山の情報を集めれる。それに、俺達が知っている情報はそれしかないんだから」

「すいませんが、私は聞いた事はないですし、もしかすると何も情報は集まらない可能性もありますよ。それでも構いませんか?」

『カショウ、せめて契···』

ムーアが何かを言いかけるが、それを右手を挙げて制する。

「大丈夫だ、俺の勘を信用しろ!」

『そう、あなたがそこまで言うなら私は何も言わないわ』

「それでは、商談成立という事でよろしいですかな?」

「ケイヌ、その前に守護者の情報を教えてくれ。守護者と遭遇する事自体が難しい事であれば、俺達はそこまで時間をかける事は出来ない」

ケイヌの話では、オークキングとロードの守護者と呼ばれるオークは3組存在し、湿地帯の北・北東・東側の3ヶ所に配置されている。ちなみに俺達の倒した守護者は、北側の一組になる。
それぞれの守護者の強さはどれも大きくは変わらないが、この数百年はどのオークも倒された事すらないが、守護者が倒されるとキングやオークが現れると云われている。

「だいたい決まった場所に守護者は現れるんだな」

「そこまで意識せずとも、湿地帯に向かっていけば守護者が現れますな」

「ハーフリング族は、守護者と戦った事があるのか?」

「まさか、そんな事はしないですよ。ハーフリング族の戦う適正が低い事は、見てお分かりでしょう」

「でも、オークの魔石で商売をしているのだろう。少なくても、ゴブリンのような下位種が相手じゃないから、それなりに戦闘能力がなければ難しいだろ」

「それは、私からは答えれませんね。ただ私のような商人は多いですし、ハーフリング族が扱っているのはジェネラルクラス以下の魔石という事だけです」

ケイヌの言葉に嘘は感じられないし、俺達の中では1番ハーフリングの事を知っているチェンも頷き肯定している。

「じゃあ、なぜ守護者が先に現れると言いきれるんだ?オリジナルのキングやロードが現れる可能性は否定出来ないだろ」

「勘と言っていた割には、なかなか信用はしては貰えないようですな。まあイイでしょう。私どもも商談を成立させる為には、努力は惜しみません」

数年に一度は守護者挑戦しようとする者が現れる。幾らオリジナルのキングやロードより劣るといっても魔石の性能は高く、ジェネラルクラスとは比較出来ない性能を持っている。
そして、ハーフリング族も守護者に挑戦する者を止めようとはしない。あくまでも自己責任の範疇であって、挑戦する者に干渉するのは地下にあるオヤの街に影響を及ぼしそうな時のみになる。

「その挑戦した者の話なのか?」

「残念ですが、挑戦した者の話を聞けた事はありません。生きて帰ってきた者はいないのですから」

「だから、覗き見してるのか?助けようとはしないんだな」

「あくまでも、自己責任です。それに私どもがいても、逆に足手まといになるだけですから」

「じゃあ、なんで覗き見してるんだ?守護者の魔石を求めて来ているのだから、商売にはならないだろう。倒し方を真似する為じゃないのか?」

「それは違いますよ。一応は草原もハーフリング族の領地です。結果を残された者に伝えてやる事が、せめてもの領主としての務めと思っております。まだ他にも聞きたい事はありますか?」

嫌だとは言っているが、それでも領主としての責任なのかプライドなのか、ケイヌの口調は少しだけ強くなる。俺との距離を詰めてくるケイヌを左手で制して、最後の質問をする。

「分かったよ、これが最後だ。数百年も守護者が倒されていないのに、どうして守護者が倒されるとロードとキングが現れると信じれるんだ?」

「そんな事ですか。最後に倒したのが、エルフ族だからですよ。エルフ族の依頼を受けているならば、プラハラード様に聞いてもらえれば分かります」

「ああ、分かったよ。俺から聞きたい事は以上だ」

「それではカショウ殿、ライという男の情報と守護者の魔石の交換でよろしいですね」
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