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オヤの街のハーフリングとオーク
241.包囲網
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「ケイヌ様、報告書をお持ちしました」
複数の監視からの報告がまとめられて、ケイヌの元へと届けられる。そしてケイヌの顔には、自然と笑みが浮かんでしまう。
パッとしない存在に見えたが、あの迷い人が再び守護者を倒した。精霊化だけでなく魔物化した呪われた迷い人だが、迷い人も精霊達も特殊なスキルや能力は使っていない。
そして守護者の倒し方を教えてくれた。まず狙うのはロードで、魔法吸収させつつ雷属性の魔法で動きを鈍らせる。次に、口臭ブレスを緩和させながらロードに近付き、あの短剣で魔石を一突き。最後は、キングの魔法を放出させ、動きが止まったところでロードと同様に短剣で魔石を一突き。
特殊なのは、守護者にトドメを刺した光る短剣と、口臭ブレスを緩和したマジックポーションだけ。両方ともアイテムの力でしかないが、もしかすると錬金術のようなスキルに長けているのかもしれない。
それに守護者の弱点は分かった。雷属性の攻撃は、オークに効果があり動きを遅くしてくれる。オヤの街で灯りとして使っているだけのウィル・オ・ウィプスで実験してみたが、ジェネラル相手でも効果は確認出来た。
「本当に、この内容で間違いないだろうな!」
「はっ、間違いはございません」
「迷い人ならではの、特殊なスキルは見当たらなかったのだな!見落としはないな!」
「はっ、間違いはございません」
「クックックックッ。それならば、お前達でも出来るだろ。物は用意してやる。守護者の魔石を取ってこい」
「いやっ、それは無理です。口臭ブレスを掻い潜ることも、キングの魔法から逃げることも難しいです。そう、あのヒト族はハーピーの翼があったからこそ、逃げられたのですから」
しかしケイヌは、すぐにそれを否定する。
「1人でダメなら2人。2人でダメなら3人。幾らでもやり方はある。必要な分だけ、マッツとプラハラードに用意させろ」
『カショウ、面倒な事って何なの?』
俺の独り言にも聞こえるが、ムーアには俺がキングと会話していたことは分かっている。
「オリジナルと話をしろってさ。無責任な話だろ」
『何を話するの?』
「俺を古の滅びた記憶持つ者と呼んでいた。それで、終わりの可能性について話をしろってさ。それ以上は、何の話かは分からない」
『ふ~ん、会いに行くのね?』
「まずは、これの処分をしてからだろう」
古の滅びた記憶を持っていることは知っているが、流石に倒したキングの魔石を持ったまま会いには行けない。それに、ハーフリング族が俺達と魔石の事を放っておかない。
オリジナルが現れる前に湿原から遠ざかるが、監視していたハーフリングが慌ただしく動き始めている。今では、いろいろな方向からハーフリング族の気配を感じ、俺達を逃がさない為の包囲網にさえ感じる。
そして、その包囲網の中から十数人の塊が近付いてくる。中央にいる1人はケイヌのような商人の格好をしているが、その周りには完全武装したハーフリング族と狼のような獣が付き従っている。笑みを浮かべているが、友好的な笑みとは程遠い。
その集団の中から、中央に居る商人風の男が進み出てきて両手を広げて話しかけてくる。
「カショウ殿、お見事ですな。感服しましたぞ♪」
「ケイヌの使いか?」
「私はケイヌ様の部下のウッダと申します。ケイヌ様とは別に取引をしに参りました」
「取引?ライの情報以外に、求めているものはないんだけどな?」
「まあ、そう言わずに話だけ聞いても損はないですよ。私どもが求めている物は、その腰にある短剣とポーションです。もちろん満足頂ける対価も用意しております」
「それは、ケイヌも知ってのことなのか?」
「残念ながらそれには、お答え出来ません」
「それならば、俺達は取引はしない。後々、面倒事には巻き込まれたくないんでな」
「対価は、安全です。ヒケン·タカオ·イスイには平和が必要でしょう。それを聞いても、取引はしませんか?」
その言葉に、ソースイ達も精霊達も身構えるが、それを右手を挙げて制する。
「俺達を脅すつもりか?」
「いえ、それを一番望んでいると思っただけですよ。それ以上の意味はありません」
「取引に応じれば、安全は保障される。それは、契約の精霊の前でも誓えるのか?」
「えっ、ええ、構いませんよ。何だって誓いましょう」
「ムーア、それならば契約出来るか?」
『何だって誓うと言うならば、命を懸けて契約してもらうわ』
複数の監視からの報告がまとめられて、ケイヌの元へと届けられる。そしてケイヌの顔には、自然と笑みが浮かんでしまう。
パッとしない存在に見えたが、あの迷い人が再び守護者を倒した。精霊化だけでなく魔物化した呪われた迷い人だが、迷い人も精霊達も特殊なスキルや能力は使っていない。
そして守護者の倒し方を教えてくれた。まず狙うのはロードで、魔法吸収させつつ雷属性の魔法で動きを鈍らせる。次に、口臭ブレスを緩和させながらロードに近付き、あの短剣で魔石を一突き。最後は、キングの魔法を放出させ、動きが止まったところでロードと同様に短剣で魔石を一突き。
特殊なのは、守護者にトドメを刺した光る短剣と、口臭ブレスを緩和したマジックポーションだけ。両方ともアイテムの力でしかないが、もしかすると錬金術のようなスキルに長けているのかもしれない。
それに守護者の弱点は分かった。雷属性の攻撃は、オークに効果があり動きを遅くしてくれる。オヤの街で灯りとして使っているだけのウィル・オ・ウィプスで実験してみたが、ジェネラル相手でも効果は確認出来た。
「本当に、この内容で間違いないだろうな!」
「はっ、間違いはございません」
「迷い人ならではの、特殊なスキルは見当たらなかったのだな!見落としはないな!」
「はっ、間違いはございません」
「クックックックッ。それならば、お前達でも出来るだろ。物は用意してやる。守護者の魔石を取ってこい」
「いやっ、それは無理です。口臭ブレスを掻い潜ることも、キングの魔法から逃げることも難しいです。そう、あのヒト族はハーピーの翼があったからこそ、逃げられたのですから」
しかしケイヌは、すぐにそれを否定する。
「1人でダメなら2人。2人でダメなら3人。幾らでもやり方はある。必要な分だけ、マッツとプラハラードに用意させろ」
『カショウ、面倒な事って何なの?』
俺の独り言にも聞こえるが、ムーアには俺がキングと会話していたことは分かっている。
「オリジナルと話をしろってさ。無責任な話だろ」
『何を話するの?』
「俺を古の滅びた記憶持つ者と呼んでいた。それで、終わりの可能性について話をしろってさ。それ以上は、何の話かは分からない」
『ふ~ん、会いに行くのね?』
「まずは、これの処分をしてからだろう」
古の滅びた記憶を持っていることは知っているが、流石に倒したキングの魔石を持ったまま会いには行けない。それに、ハーフリング族が俺達と魔石の事を放っておかない。
オリジナルが現れる前に湿原から遠ざかるが、監視していたハーフリングが慌ただしく動き始めている。今では、いろいろな方向からハーフリング族の気配を感じ、俺達を逃がさない為の包囲網にさえ感じる。
そして、その包囲網の中から十数人の塊が近付いてくる。中央にいる1人はケイヌのような商人の格好をしているが、その周りには完全武装したハーフリング族と狼のような獣が付き従っている。笑みを浮かべているが、友好的な笑みとは程遠い。
その集団の中から、中央に居る商人風の男が進み出てきて両手を広げて話しかけてくる。
「カショウ殿、お見事ですな。感服しましたぞ♪」
「ケイヌの使いか?」
「私はケイヌ様の部下のウッダと申します。ケイヌ様とは別に取引をしに参りました」
「取引?ライの情報以外に、求めているものはないんだけどな?」
「まあ、そう言わずに話だけ聞いても損はないですよ。私どもが求めている物は、その腰にある短剣とポーションです。もちろん満足頂ける対価も用意しております」
「それは、ケイヌも知ってのことなのか?」
「残念ながらそれには、お答え出来ません」
「それならば、俺達は取引はしない。後々、面倒事には巻き込まれたくないんでな」
「対価は、安全です。ヒケン·タカオ·イスイには平和が必要でしょう。それを聞いても、取引はしませんか?」
その言葉に、ソースイ達も精霊達も身構えるが、それを右手を挙げて制する。
「俺達を脅すつもりか?」
「いえ、それを一番望んでいると思っただけですよ。それ以上の意味はありません」
「取引に応じれば、安全は保障される。それは、契約の精霊の前でも誓えるのか?」
「えっ、ええ、構いませんよ。何だって誓いましょう」
「ムーア、それならば契約出来るか?」
『何だって誓うと言うならば、命を懸けて契約してもらうわ』
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