264 / 329
オヤの街のハーフリングとオーク
264.ハンソの魔法
しおりを挟む
制御出来る限界まで大きくした岩は、ハンソの体よりも一回り大きい。
『えっ、それって大丈夫なの?』
「えっ、マズいか?」
『ちょっと、やり過ぎじゃないかしら?ハンソの背中を押すというよりは、ハンソごと破壊しようとしてるようにしか見えないわよ』
やり過ぎる傾向のあるムーアに言われて、慌てて魔法を止めようと試みる。
「えっ、ダメだ···。制御出来ない」
『何言ってるの、あなたが行使した魔法でしょ!』
俺の意思とは反して、巨大な岩の塊はハンソに目掛けて進み始めて、それを見守る事しか出来ない。
ただここまで大きなストーンキャノンだと、俺の行使する場合は、初速はもっと遅くて加速にも時間がかかるはず。しかし、ハンソに向けて進むストーンキャノンはスムーズに加速してゆく。
「俺じゃない。恐らく、誰かがストーンキャノンを引き寄せている」
『もしかして、岩オニの仕業?』
「確証はないけど、ハンソのような気がする」
ハンソがストーンキャノンを引き寄せる事に、どんな意味があるのかは分からない。もしダメであるならば、ソースイが召喚解除すれば回避する事も十分に出来る。
さらに、ストーンキャノンはハンソに向けて加速し、ソースイもその事に気付いている。しかし岩オニを凝視したままで、ソースイに動く気配がない。
ドゴォーーン
そのまま、ハンソの背中にストーンキャノンが命中して、大きく砕ける音がする。しかし、砕けたのはストーンキャノンなのかハンソの体なのかは、後ろから見ているだけでは判断出来ない。ただ砕けた岩はハンソを中心として1つの大きな塊となっている。
しかしそれでも、依然としてハンソと岩オニの金棒がぶつかり合う構図は変わりはない。強いて言えば、金棒に押されていたのがハンソの動きが止まった程度で、押し返すことは出来ていない。
「変わっていないか···」
「カショウ、まだ終わっていないよ。まだ、引き寄せられてるよ」
そこでナレッジが見つけたのは、地面からハンソに引き寄せられる石で、土属性の魔法だけを引き寄せているわけではない。
「あれは、もしかしてハンソの欠片?」
「色からすると、多分そうだね。意図して、ハンソが何かをやろうとしているのかもしれないよ」
さらに魔法やハンソの砕けた岩が集まると、ハンソの顔まで隠されてしまい、表情や仕草も見えなくなってしまう。ただハンソの感情の声は、いつも以上に「エトッ、エトッ」を繰り返しているが、それが苦しいからなのか困惑しているのかを判断出来るのはソースイだけだろう。
「ガッタイ」
その時、誰かの声が響き渡る。
「誰の声だ?」
『前から···だったわよね?』
しかし前にいるのはソースイと岩オニとハンソの3人。気配探知にもクオンの聴覚でも、前にはその3人しか感じられない。
「もしかして、ハンソの声か?」
ハンソを見ると、岩が集まり団子状態となっていた体が徐々に変化し、5頭身くらいだった体型は手足が伸びてスリムな体型になっている。
ただ一番衝撃的だったのは、ハンソが“エトッ”と“ントッ”以外の言葉を話したことになる。だから、ハンソの声だとは信じれなかった。
『姿が変わったから、声も違って聞こえたのかしら?』
「そうだな、感情の声も違って聞こえる」
それは実際の行動にも表れ、いつもの指示待ちの自信なげなハンソとは違う動きを見せる。交差して金棒を受け止めていた両腕は、今までの劣性が嘘であったかのように簡単に金棒を押し返してしまい、さらには左手1本で金棒を掴む。
ハンソの左手一本に対して、岩オニは両腕で金棒を握っている。今まで無表情だった岩オニだが、そのことで表情が一変する。それは、まさに鬼の形相と呼ぶに相応しい、怒りに満ちた表情。
『まだ、岩オニにも感情は聞こえないわよね?』
「ああ、感情の声は聞こえてこない」
鬼の形相となっても、依然として岩オニの感情の声は聞こえない。それでも、岩オニの両手での攻撃を片手で抑えられた事が、奥底に眠っている本能を呼び覚ましたのかもしれない。
以前のハンソであれば、岩オニの鬼の形相に固まって動けなくなっているはずだが、今は全く気にした様子はない。
肩口に刺さっていたハンドアックスを右手で掴むと、何事もなかったかのよう一気に引き抜き、岩オニの頭に目掛けてハンドアックスを振り下ろす。
『えっ、それって大丈夫なの?』
「えっ、マズいか?」
『ちょっと、やり過ぎじゃないかしら?ハンソの背中を押すというよりは、ハンソごと破壊しようとしてるようにしか見えないわよ』
やり過ぎる傾向のあるムーアに言われて、慌てて魔法を止めようと試みる。
「えっ、ダメだ···。制御出来ない」
『何言ってるの、あなたが行使した魔法でしょ!』
俺の意思とは反して、巨大な岩の塊はハンソに目掛けて進み始めて、それを見守る事しか出来ない。
ただここまで大きなストーンキャノンだと、俺の行使する場合は、初速はもっと遅くて加速にも時間がかかるはず。しかし、ハンソに向けて進むストーンキャノンはスムーズに加速してゆく。
「俺じゃない。恐らく、誰かがストーンキャノンを引き寄せている」
『もしかして、岩オニの仕業?』
「確証はないけど、ハンソのような気がする」
ハンソがストーンキャノンを引き寄せる事に、どんな意味があるのかは分からない。もしダメであるならば、ソースイが召喚解除すれば回避する事も十分に出来る。
さらに、ストーンキャノンはハンソに向けて加速し、ソースイもその事に気付いている。しかし岩オニを凝視したままで、ソースイに動く気配がない。
ドゴォーーン
そのまま、ハンソの背中にストーンキャノンが命中して、大きく砕ける音がする。しかし、砕けたのはストーンキャノンなのかハンソの体なのかは、後ろから見ているだけでは判断出来ない。ただ砕けた岩はハンソを中心として1つの大きな塊となっている。
しかしそれでも、依然としてハンソと岩オニの金棒がぶつかり合う構図は変わりはない。強いて言えば、金棒に押されていたのがハンソの動きが止まった程度で、押し返すことは出来ていない。
「変わっていないか···」
「カショウ、まだ終わっていないよ。まだ、引き寄せられてるよ」
そこでナレッジが見つけたのは、地面からハンソに引き寄せられる石で、土属性の魔法だけを引き寄せているわけではない。
「あれは、もしかしてハンソの欠片?」
「色からすると、多分そうだね。意図して、ハンソが何かをやろうとしているのかもしれないよ」
さらに魔法やハンソの砕けた岩が集まると、ハンソの顔まで隠されてしまい、表情や仕草も見えなくなってしまう。ただハンソの感情の声は、いつも以上に「エトッ、エトッ」を繰り返しているが、それが苦しいからなのか困惑しているのかを判断出来るのはソースイだけだろう。
「ガッタイ」
その時、誰かの声が響き渡る。
「誰の声だ?」
『前から···だったわよね?』
しかし前にいるのはソースイと岩オニとハンソの3人。気配探知にもクオンの聴覚でも、前にはその3人しか感じられない。
「もしかして、ハンソの声か?」
ハンソを見ると、岩が集まり団子状態となっていた体が徐々に変化し、5頭身くらいだった体型は手足が伸びてスリムな体型になっている。
ただ一番衝撃的だったのは、ハンソが“エトッ”と“ントッ”以外の言葉を話したことになる。だから、ハンソの声だとは信じれなかった。
『姿が変わったから、声も違って聞こえたのかしら?』
「そうだな、感情の声も違って聞こえる」
それは実際の行動にも表れ、いつもの指示待ちの自信なげなハンソとは違う動きを見せる。交差して金棒を受け止めていた両腕は、今までの劣性が嘘であったかのように簡単に金棒を押し返してしまい、さらには左手1本で金棒を掴む。
ハンソの左手一本に対して、岩オニは両腕で金棒を握っている。今まで無表情だった岩オニだが、そのことで表情が一変する。それは、まさに鬼の形相と呼ぶに相応しい、怒りに満ちた表情。
『まだ、岩オニにも感情は聞こえないわよね?』
「ああ、感情の声は聞こえてこない」
鬼の形相となっても、依然として岩オニの感情の声は聞こえない。それでも、岩オニの両手での攻撃を片手で抑えられた事が、奥底に眠っている本能を呼び覚ましたのかもしれない。
以前のハンソであれば、岩オニの鬼の形相に固まって動けなくなっているはずだが、今は全く気にした様子はない。
肩口に刺さっていたハンドアックスを右手で掴むと、何事もなかったかのよう一気に引き抜き、岩オニの頭に目掛けてハンドアックスを振り下ろす。
0
あなたにおすすめの小説
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~
スィグトーネ
ファンタジー
年収が低く、非正規として働いているため、決してモテない男。
それが、この物語の主人公である【東龍之介】だ。
そんな30歳の弱者男は、飲み会の帰りに偶然立ち寄った神社で、異世界へと移動することになってしまう。
異世界へ行った男が、まず出逢ったのは、美しい紫髪のエルフ少女だった。
彼女はエルフの中でも珍しい、2柱以上の精霊から加護を受けるハイエルフだ。
どうして、それほどの人物が単独で旅をしているのか。彼女の口から秘密が明かされることで、2人のワークライフがはじまろうとしている。
※この物語で使用しているイラストは、AIイラストさんのものを使用しています。
※なかには過激なシーンもありますので、外出先等でご覧になる場合は、くれぐれもご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる