ブラコン姉妹は、天使だろうか?【ブラてん】

三城 谷

文字の大きさ
17 / 68
美羽ルート

ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(2)

しおりを挟む
 放課後に待ってて欲しいという美羽の言葉に従い、幸一は携帯で時間を確認しながら校門で待機していた。
 放課後という事もあってか。部活動を行う生徒や帰路に着く生徒だったり、寄り道する生徒だったりと目の前を通って行く。そんな中で幸一はただ一人、校門の前で空を仰いでいた。

 「あちぃ……夏らしい天気でございますねぇ。何か飲み物でも買って来ようかな」

 肌にべたりと付いたシャツのボタンを開けて、風通しを良くする為にパタパタと扇ぐ。だがベタ付いている所為で、大した涼しさに包まれる事は無い。余計に身体を動かした為、腕の生暖かさが少し増す。

 「やらなきゃ良かった……」
 「何が?」
 「うぉっ!?」
 「お待たせ、兄者!」
 「お、おう」

 鞄を後ろでに持ち、ぱぁっと輝いた笑顔を浮かべる美羽。そんな様子を見た幸一は、小さく息を吐いて足を前に出した。
 今すぐにこの中途半端な人混みから抜けたいという考えだったが、美羽はそれを良しとはしなかった。歩き出そうとした幸一の腕を抱き締めて、ぴたりとくっ付いて口角を上げて言った。

 「さ、兄者!デートしよ、デート♪」
 「わ、分かったからあまり引っ付くな。暑苦しいだろうが」
 「あ~、照れてるぅ?兄者が照れてるぅ~、きゃはは」
 「汗臭いはずだが、それは気にしないのか?一応、美羽も女の子だろ?」
 「美羽は良いの。女の子だからケアもちゃんとしてるし、問題無いのだぁ。どやぁ♪」
 「はいはい。さいですか」

 ニコニコと笑みを浮かべる美羽に、何を言っても無駄だと思った幸一。そんな幸一は暑苦しくも我慢しつつ、腕に絡み付く美羽に問い掛けるのだった。

 「んで美羽、放課後デートって言ってたけど……何処に行きたいんだ?」
 「ちょっとそこら辺♪」
 「はい?」
 「それじゃただの散歩じゃねぇか。お前がしたいデートって、そういうのなのか?」
 「違うけど……」
 「けど、何だ?」

 言葉を詰まらせる美羽の様子が気になり、幸一は顔を覗かせるようにして問い掛ける。やがて黙っていた美羽は、あはは、と笑いながら口を開いたのだった。まるで今思い付いたような様子で……。

 「えっと、ほら……美羽はデート誰ともした事無いし、兄者にレクチャーしてもらおうかなぁって思って」
 「俺もした事は無いんだが?」
 「………………」
 「つまりはノープランって事で良いのか?」
 「え、えっと~、そ、そのぉ……あはは」

 誤魔化すようにして、苦笑いをする美羽。そんな美羽の様子を眺める幸一は、小さく溜息を吐きながら口を開いた。

 「ちょうど今日の夕飯の買い物に行こうと思ってたんだ。何処にも行く予定が無いのなら、その買い物を一緒に行くでも良いか?」
 「……うんっ!!さっすが兄者!!」
 「あ、こら引っ付くなっての!!」
 「え~、なんでさー!」
 「暑苦しいってさっき言ったろうが!!ほら、手を繋ぐ程度なら大丈夫だから……」
 「むぅ……ケチぃ」

 先程まで腕組みも含めて、妹とはいえ抱き着かれるのは気恥ずかしい。そう思った幸一は、妥協点として美羽に手を差し出した。手を繋ぐぐらいなら、兄妹としてなら大丈夫だと思ったからだろう。
 その伸ばされた手を取り、渋々ながらも嬉しそうに美羽はその手を取る。並んで歩く幸一たちは、何も知らない人から見られればどう見えるのだろうか。そんな事を思いながら、美羽は幸一に話し掛けるのだった。

 「今日の夜ご飯は何?」
 「今日は、さぁな。作ってからのお楽しみだな」
 「ええー、教えてくれても良いじゃーん!美咲には言わないから、ねぇ教えて?」
 
 そんな会話をしている彼らの様子を眺めながら、こっそり着いてくる人物が居るのを彼らは知らないのであった――。

 
 「み、美羽……お兄様に変な事したら許さないからね……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...