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美咲ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美咲√(21)
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「……むぅ」
ファミリーレストランに入ったきり、幸一と美咲が出て来る様子は未だにない。ここでいつまでも待ってると不審者に見られる可能性だってある事も含め、美羽は少し離れた場所からアイスを舐めながら彼らを眺めていた。
そんな美羽の背後から、ニヤニヤと笑みを浮かべながら近付く影があった。
「神楽坂美羽さん♪そのアイス、美味しそうですねぇ」
「……へ?」
「あむ」
「あぁ!み、美羽のミラクルレインボータワーアイスがっ!」
「う~ん、なんか微妙な味ですねぇ。でもクセになりそうな味ですね、もうひとくち……」
「っ!!」
アイスに再び口を近付けた人物の頭を鷲掴み、涙目で潤ませながらその人物の正体を見た。頭を鷲掴みにされながら、むぅっと髪の毛を整えようとする彼女――小鳥遊幽の姿がそこにはあった。
「み、美羽のアイスをよくも~~~……!!」
「まぁ落ち着いて。ほら、アイスでも食べて」
「それは美羽が買ったアイス!自分が買ったような空気を出さないで!」
「要らないんですか?ではボクが代わりに食べてあげましょう。勿体無いですからね」
「美羽のアイス返して!!あ、何処行くのさ!!」
「もー、うるさいですね。――店員さん、これとこれとこれ、全てタワーで下さい」
チョコ、バニラ、ソーダ……それぞれを選んでアイス屋の店員に注文する。その他にもトッピングを注文したのか、美羽の元へと戻って来たアイスはピラミッド状態となって返って来た。そんなアイスピラミッドの光景を見せられた美羽は、水を得た魚……いや、獲物を見つけた猛獣のような様子でスプーンを突き刺した。
「~~~~~~~♪♪♪」
「気に入っていただけたようで何よりです。あむ……」
財布を閉じて、幽は美羽から頂戴したアイスに口を付ける。しばらく黙々とアイスを食べ続けながら、ファミリーレストランの中に居る二人の様子を観察していた幽。そして疑問に思った事が出て来たのか、幽は向かいの席でアイスを頬張り続けている美羽に問い掛けた。
「一つお聞きしたいのですが」
「ふぁにぃ~?(なに~?)あむあむ」
「神楽坂美羽さんは先輩――お兄さんの事を諦めた、という事で良いんでしょうか?」
「ぶふ――――!!!な、何の話かなぁ。み、美羽良く分かんないなぁ~。~~♪」
「口笛、吹けてませんからね。(何て分かりやすい動揺)」
美羽の反応を眺めていた幽は、溜息を吐きながらも残りのアイスを平らげた。そして目を細め、目の前で口笛を吹いた振りを続けている美羽に言った。いや、聞いてみたと言った方が正しいだろう。
「――お兄さんの事をお好きなのは、神楽坂姉妹についての話では十分過ぎる情報を噂されてます。中等部で事が起きても、新聞部のボクの元へ噂が流れてくる程に。ですが、一つだけ分からない事があるんですよボクには」
「……?」
「神楽坂美羽さん。……貴女は何故、簡単にお兄さんを譲ってしまったんですか?貴女自身の気持ちも、彼女と同様に本気なのに」
その時、美羽はアイスを食べる手を止めずにはいられなかった。いや、止めざるを得なかった。強制に止められてしまう程に彼女、小鳥遊幽の視線が真剣で、鋭く、冷たかったからだ。このまま逃げず、本当の事を言うまで逃がさない。そんな意志を感じた美羽は、スプーンを置いて向き合って言ったのである。
「……これで良いんです。美羽は……ううん。私は駄目なんですよ。私はお姉ちゃんで、お兄ちゃんが好きだけど……美咲の事も大好きだからっ、私――神楽坂美羽は、兄である椎名崎幸一に惚れていますよ。けれど、私が兄と付き合ったら泣いちゃうから」
「そうですか。……」
「え?」
そう告げた美羽に対して、幽は着ていたパーカーを脱いで美羽に被せた。そして席を移動して、美羽の隣に来て頭に手を乗せて言ったのだった。
「少し意地悪な質問をしてしまいましたね、謝罪します。……今はそれを被ってて良いですよ、ちょうど先輩たちが移動を開始しました。ボクが盾になってるので、今は――」
「っ……!」
「――全部泣いて、吐き出して良いですよ。ボクが全部、受け止めてあげますから」
「ぐっ……ぅう、―――――――!」
美羽は幽の胸へと抱き着き、顔を埋めながら泣いた。周囲にバレないようにしながら静かに、そして全ての気持ちを消す努力をする為に泣き続けた。これ以上、未練の出来ないように。妹である美咲の負担や迷惑にならないようにする為に。
美羽自身が前に進む為に……。
「どうした?美咲」
「……いえ、行きましょうお兄様。デートはこれからですから。(美羽……ごめんなさい。ありがとう)」
ファミリーレストランに入ったきり、幸一と美咲が出て来る様子は未だにない。ここでいつまでも待ってると不審者に見られる可能性だってある事も含め、美羽は少し離れた場所からアイスを舐めながら彼らを眺めていた。
そんな美羽の背後から、ニヤニヤと笑みを浮かべながら近付く影があった。
「神楽坂美羽さん♪そのアイス、美味しそうですねぇ」
「……へ?」
「あむ」
「あぁ!み、美羽のミラクルレインボータワーアイスがっ!」
「う~ん、なんか微妙な味ですねぇ。でもクセになりそうな味ですね、もうひとくち……」
「っ!!」
アイスに再び口を近付けた人物の頭を鷲掴み、涙目で潤ませながらその人物の正体を見た。頭を鷲掴みにされながら、むぅっと髪の毛を整えようとする彼女――小鳥遊幽の姿がそこにはあった。
「み、美羽のアイスをよくも~~~……!!」
「まぁ落ち着いて。ほら、アイスでも食べて」
「それは美羽が買ったアイス!自分が買ったような空気を出さないで!」
「要らないんですか?ではボクが代わりに食べてあげましょう。勿体無いですからね」
「美羽のアイス返して!!あ、何処行くのさ!!」
「もー、うるさいですね。――店員さん、これとこれとこれ、全てタワーで下さい」
チョコ、バニラ、ソーダ……それぞれを選んでアイス屋の店員に注文する。その他にもトッピングを注文したのか、美羽の元へと戻って来たアイスはピラミッド状態となって返って来た。そんなアイスピラミッドの光景を見せられた美羽は、水を得た魚……いや、獲物を見つけた猛獣のような様子でスプーンを突き刺した。
「~~~~~~~♪♪♪」
「気に入っていただけたようで何よりです。あむ……」
財布を閉じて、幽は美羽から頂戴したアイスに口を付ける。しばらく黙々とアイスを食べ続けながら、ファミリーレストランの中に居る二人の様子を観察していた幽。そして疑問に思った事が出て来たのか、幽は向かいの席でアイスを頬張り続けている美羽に問い掛けた。
「一つお聞きしたいのですが」
「ふぁにぃ~?(なに~?)あむあむ」
「神楽坂美羽さんは先輩――お兄さんの事を諦めた、という事で良いんでしょうか?」
「ぶふ――――!!!な、何の話かなぁ。み、美羽良く分かんないなぁ~。~~♪」
「口笛、吹けてませんからね。(何て分かりやすい動揺)」
美羽の反応を眺めていた幽は、溜息を吐きながらも残りのアイスを平らげた。そして目を細め、目の前で口笛を吹いた振りを続けている美羽に言った。いや、聞いてみたと言った方が正しいだろう。
「――お兄さんの事をお好きなのは、神楽坂姉妹についての話では十分過ぎる情報を噂されてます。中等部で事が起きても、新聞部のボクの元へ噂が流れてくる程に。ですが、一つだけ分からない事があるんですよボクには」
「……?」
「神楽坂美羽さん。……貴女は何故、簡単にお兄さんを譲ってしまったんですか?貴女自身の気持ちも、彼女と同様に本気なのに」
その時、美羽はアイスを食べる手を止めずにはいられなかった。いや、止めざるを得なかった。強制に止められてしまう程に彼女、小鳥遊幽の視線が真剣で、鋭く、冷たかったからだ。このまま逃げず、本当の事を言うまで逃がさない。そんな意志を感じた美羽は、スプーンを置いて向き合って言ったのである。
「……これで良いんです。美羽は……ううん。私は駄目なんですよ。私はお姉ちゃんで、お兄ちゃんが好きだけど……美咲の事も大好きだからっ、私――神楽坂美羽は、兄である椎名崎幸一に惚れていますよ。けれど、私が兄と付き合ったら泣いちゃうから」
「そうですか。……」
「え?」
そう告げた美羽に対して、幽は着ていたパーカーを脱いで美羽に被せた。そして席を移動して、美羽の隣に来て頭に手を乗せて言ったのだった。
「少し意地悪な質問をしてしまいましたね、謝罪します。……今はそれを被ってて良いですよ、ちょうど先輩たちが移動を開始しました。ボクが盾になってるので、今は――」
「っ……!」
「――全部泣いて、吐き出して良いですよ。ボクが全部、受け止めてあげますから」
「ぐっ……ぅう、―――――――!」
美羽は幽の胸へと抱き着き、顔を埋めながら泣いた。周囲にバレないようにしながら静かに、そして全ての気持ちを消す努力をする為に泣き続けた。これ以上、未練の出来ないように。妹である美咲の負担や迷惑にならないようにする為に。
美羽自身が前に進む為に……。
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