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9.公爵への処置
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ボルガン公爵の血を引く者は、本当に大勢いるらしい。
ハルベルト様とテレシアさんから話を聞かされたが、その人達は色々な分野に点在しているようだ。ハルベルト様を含む認知されている子供で、それらの人達を探し当てていったそうだ。
それが困難な道であったことは、想像するまでもないことである。
しかし結果的に、兄弟達は団結したそうだ。真の悪が誰であるか、その意見はすぐに一致したらしい。
「な、何をする……」
「ボルガン公爵、少し黙っていてください」
「じっとしている方が、早く終わりますよ?」
地下室の一室では、その諸悪の根源であるボルガン公爵に対する処置が行われていた。
行っているのは、ハルベルト様の兄と姉にあたる二人だ。それぞれ医師と魔法使いであり、人体に関しては詳しいそうである。
「うああ、あぐっ……!」
地下室から聞こえてくるボルガン公爵の声は、とても悲痛なものだった。
彼が悪辣な人間であるということはわかっているが、それでもあまり聞きたい声ではない。私は少し距離を取ることにする。
「ソフィーナ嬢、大丈夫ですか?」
「え、ええ……」
「すみませんね。このような場に同席させるべきではありませんでした。こちらの配慮不足です」
「いいえ、私が自分で来た訳ですから……」
ボルガン公爵に何が行われるのか、私は事前に知っていた。その上でここに来たのだから、ハルベルト様に何か言うつもりはない。
しかし彼はなんとも、涼しい顔をしている。あのような叫びを聞いてそのような顔でいられるというのは、すごいことだ。
いや、彼――というよりも彼らは、ボルガン公爵に私よりも詳しい。私でも悪辣と思っているのだから、ハルベルト様達にとってはそれ以上のものということだろう。
「しかし、恐ろしいものですね。医師や魔法使いが集まれば、人を意のままに変えてしまうことが可能なんて……」
「……もちろん、本来であればこのようなことは許されません」
「ああ、別に責めている訳ではないんです。ただなんだか少し、気になってしまって……こんな光景を、私はどこかで見たような気がするんです。どこかでかは思い出せませんが」
「それは……」
ハルベルト様は、私の言葉に目を丸めていた。それは仕方ないことだろう。自分でも変なことを言ったものだという自覚はある。
だがボルガン公爵の状況に既視感があるというのは、紛れもない事実だ。私の記憶があやふやな時に、スウェンリー男爵家でも同じようなことが起こっていたのだろうか。いやそれは流石に、考え過ぎかもしれない。
ハルベルト様とテレシアさんから話を聞かされたが、その人達は色々な分野に点在しているようだ。ハルベルト様を含む認知されている子供で、それらの人達を探し当てていったそうだ。
それが困難な道であったことは、想像するまでもないことである。
しかし結果的に、兄弟達は団結したそうだ。真の悪が誰であるか、その意見はすぐに一致したらしい。
「な、何をする……」
「ボルガン公爵、少し黙っていてください」
「じっとしている方が、早く終わりますよ?」
地下室の一室では、その諸悪の根源であるボルガン公爵に対する処置が行われていた。
行っているのは、ハルベルト様の兄と姉にあたる二人だ。それぞれ医師と魔法使いであり、人体に関しては詳しいそうである。
「うああ、あぐっ……!」
地下室から聞こえてくるボルガン公爵の声は、とても悲痛なものだった。
彼が悪辣な人間であるということはわかっているが、それでもあまり聞きたい声ではない。私は少し距離を取ることにする。
「ソフィーナ嬢、大丈夫ですか?」
「え、ええ……」
「すみませんね。このような場に同席させるべきではありませんでした。こちらの配慮不足です」
「いいえ、私が自分で来た訳ですから……」
ボルガン公爵に何が行われるのか、私は事前に知っていた。その上でここに来たのだから、ハルベルト様に何か言うつもりはない。
しかし彼はなんとも、涼しい顔をしている。あのような叫びを聞いてそのような顔でいられるというのは、すごいことだ。
いや、彼――というよりも彼らは、ボルガン公爵に私よりも詳しい。私でも悪辣と思っているのだから、ハルベルト様達にとってはそれ以上のものということだろう。
「しかし、恐ろしいものですね。医師や魔法使いが集まれば、人を意のままに変えてしまうことが可能なんて……」
「……もちろん、本来であればこのようなことは許されません」
「ああ、別に責めている訳ではないんです。ただなんだか少し、気になってしまって……こんな光景を、私はどこかで見たような気がするんです。どこかでかは思い出せませんが」
「それは……」
ハルベルト様は、私の言葉に目を丸めていた。それは仕方ないことだろう。自分でも変なことを言ったものだという自覚はある。
だがボルガン公爵の状況に既視感があるというのは、紛れもない事実だ。私の記憶があやふやな時に、スウェンリー男爵家でも同じようなことが起こっていたのだろうか。いやそれは流石に、考え過ぎかもしれない。
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