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3.因縁の婚約
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婚約者がいるとお父様から告げられたのは、私が十二歳の時のことだった。
お父様は、下卑な笑みを浮かべながら、私の婚約者について語っていた。その醜悪な笑みは、今でもよく覚えている。
『呪われたお前が、バルキネス公爵家を不幸にしてくれることを願っているぞ?』
私が嫁ぐことになったのは、オルフェント公爵家の怨敵であるバルキネス公爵家だ。
お父様は、呪われている私が嫁ぐことで、あちらの家に不幸が起きると思い、今回の婚約を決めたらしい。
『お前のような厄介者を有効に使ってやるのだ。感謝しろ』
お父様に言われた言葉は、私の胸に突き刺さっていた。
自らの子供に対して、どうしてそのようなことが言えるのだろうか。私には、それがまったく理解できなかった。
前世において、私は温かい家庭で育った。
あちらの世界の家族にも欠点がなかった訳ではないが、この家族を体験した今は、彼らの元で生まれ育ったことがどれだけ幸せなことだったかを改めて実感する。
「君がエルファリナか?」
「ええ……」
「……僕の名前は、アルクルド・バルキネスだ。君の婚約者、ということになる」
そんなお父様が決めた婚約者も、少し問題がある人物だった。
初めて会った時に、それはすぐに理解できた。なぜなら、目の前の少年が私に明らかな敵意を向けていたからである。
それは、なんとなくわかっていたことではあった。
アルクルドという人物は乙女ゲームの登場人物であり、主人公と恋人関係になる攻略対象の一人である。
そんな彼の設定も、エルファリナとの関係も、彼のルートをクリアした私は知っているのだ。
「父上は、長きに渡る因縁を終わらせて、新たなる時代に進まなければならないと言っていたが、僕はそうは思わない」
「……」
「君達オルフェント公爵家を僕は許す気になれない。君には悪いが、この因縁を解消するなんてとてもできそうにない」
初対面で、彼はそんなことを言ってきた。
先祖の因縁、正直言って私はそんなことはどうでもよかった。
だが、彼にとってそれは何よりも気になることだったらしい。
「君と仲良くしようとは思っていない。それを君には把握しておいて欲しい」
「はい……」
彼は、私に淡々とそう言い切った。
仲良くするつもりはない。そんな言葉を受けて、私は思っていた。わかっていたことではあるが、本当にエルファリナに味方はいなかったのだと。
彼女及び私は、家族からも婚約者からも疎まれる存在なのである。
孤立無援、それが私達の立場なのだろう。
それを理解して、私は思わず笑みを浮かべていた。
もう笑うしかない。ここまで追い詰められる環境とは、なんと悲惨なものだろうか。
しかし、それで歪んでいい訳ではない。
そうなってしまえば、待っているのは破滅だけだ。
私は、耐え抜かなければならない。この苦しい環境を。
希望はある。いずれ、私は魔法学園に入学するはずだ。
そうなれば、ある程度の自由が手に入る。そこからなら、あらゆることが始められるだろう。
それまでは、我慢する日々を送るのだ。
心を強く持ち、耐え抜く。私はそれを誓うのだった。
お父様は、下卑な笑みを浮かべながら、私の婚約者について語っていた。その醜悪な笑みは、今でもよく覚えている。
『呪われたお前が、バルキネス公爵家を不幸にしてくれることを願っているぞ?』
私が嫁ぐことになったのは、オルフェント公爵家の怨敵であるバルキネス公爵家だ。
お父様は、呪われている私が嫁ぐことで、あちらの家に不幸が起きると思い、今回の婚約を決めたらしい。
『お前のような厄介者を有効に使ってやるのだ。感謝しろ』
お父様に言われた言葉は、私の胸に突き刺さっていた。
自らの子供に対して、どうしてそのようなことが言えるのだろうか。私には、それがまったく理解できなかった。
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「君がエルファリナか?」
「ええ……」
「……僕の名前は、アルクルド・バルキネスだ。君の婚約者、ということになる」
そんなお父様が決めた婚約者も、少し問題がある人物だった。
初めて会った時に、それはすぐに理解できた。なぜなら、目の前の少年が私に明らかな敵意を向けていたからである。
それは、なんとなくわかっていたことではあった。
アルクルドという人物は乙女ゲームの登場人物であり、主人公と恋人関係になる攻略対象の一人である。
そんな彼の設定も、エルファリナとの関係も、彼のルートをクリアした私は知っているのだ。
「父上は、長きに渡る因縁を終わらせて、新たなる時代に進まなければならないと言っていたが、僕はそうは思わない」
「……」
「君達オルフェント公爵家を僕は許す気になれない。君には悪いが、この因縁を解消するなんてとてもできそうにない」
初対面で、彼はそんなことを言ってきた。
先祖の因縁、正直言って私はそんなことはどうでもよかった。
だが、彼にとってそれは何よりも気になることだったらしい。
「君と仲良くしようとは思っていない。それを君には把握しておいて欲しい」
「はい……」
彼は、私に淡々とそう言い切った。
仲良くするつもりはない。そんな言葉を受けて、私は思っていた。わかっていたことではあるが、本当にエルファリナに味方はいなかったのだと。
彼女及び私は、家族からも婚約者からも疎まれる存在なのである。
孤立無援、それが私達の立場なのだろう。
それを理解して、私は思わず笑みを浮かべていた。
もう笑うしかない。ここまで追い詰められる環境とは、なんと悲惨なものだろうか。
しかし、それで歪んでいい訳ではない。
そうなってしまえば、待っているのは破滅だけだ。
私は、耐え抜かなければならない。この苦しい環境を。
希望はある。いずれ、私は魔法学園に入学するはずだ。
そうなれば、ある程度の自由が手に入る。そこからなら、あらゆることが始められるだろう。
それまでは、我慢する日々を送るのだ。
心を強く持ち、耐え抜く。私はそれを誓うのだった。
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