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11.夫との離婚
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ドミラス様の失踪から三日が経って、私はアーキス侯爵からあることを告げられた。
彼は捜索と並行して、もう一つ手続きを行っていたらしい。
それは私と彼との離婚手続きである。
十中八九表沙汰になる問題によって、私及びラーバイン伯爵家が被害を受けないためにそうしてくれていたらしい。
ただ私としては、少し釈然としていない部分はある。これで二つの家の関係が終わりなんて、そんなことで良いのだろうか。
「……お父様はきっと、アーキス侯爵を見捨てませんよ」
「……そうでしょうね」
「お兄様などは反対するでしょうが、それでも友情を重んじる方です。貴族として良い判断とは言えませんが、それはもう仕方ないことでしょう」
ロレイナの意見は、私の意見とも概ね一致していた。
お父様はアーキス侯爵を見捨てない。それはもちろんそうだろう。
しかし私は、他の要素もあると思っている。それは多分、ロレイナも口に出していないだけで考えていることだろう。
お父様は基本的に、娘に甘い。私の望みというものもよくわかっているだろうし、そのために取り計らうような気がするのだ。
もちろんそれには、自身の友情も含まれてのことだろうが、それでも私にとって都合が良い結論を出してくれるような気がする。
「エリファル様とお話してきてください。私は一度ラーバイン伯爵家に戻って、色々と事情を伝えてきますから」
「ロレイナ……」
「ご心配なく。私はもう大丈夫です。お姉様とエリファル様の幸せ、それが今の私の願いですから」
ロレイナは、私の目を真っ直ぐに見つめていた。
ドミラス様の本性がわかったのは、彼女が動いたお陰だ。エリファル様の襲撃もあったが、その前にあの事実がわかっていたことは大きなことだといえる。
「ありがとう、ロレイナ」
「ええ……」
「行ってくるわ」
私はロレイナに背を向けて、エリファル様の方に向かっていく。
感謝の一言、それ以外に言葉は見つからなかった。ただそれでも、妹には気持ちが伝わっていると思う。
「……難儀なものだな」
「それはきっと、お互い様ですよ、フェルド様」
「俺は別に……」
「ふふ、素直ではありませんね……」
去っていく最中、フェルド様とロレイナの声が聞こえてきた。
二人は何やら話し込んでいるようだが、その内容の意味は考えないことにする。
きっとそれは、私が考えるべきことではない。二人の気持ちについて首を突っ込むのは野暮だ。そう判断した。
だから私は、エリファル様の元に急いだ。
彼は今、自室に待機しているはずだ。ドミラス様の捜索、その成果が出るまでは休息すると言っていた。
「……あれ?」
しかし私は、道中でその足を止めることになった。
それは屋敷の中庭で佇んでいるエリファル様を見つけたからだ。
彼は天を仰ぎ、少し険しい表情をしている。色々と考えているということだろうか。
声をかけるべきか、私は一瞬思案した。
だが躊躇っていても仕方ないことに気付いた。私達は長い間離れていたのだから、その空白を埋めるためには踏み込まなければならないのだ。
故に私は、中庭に足を踏み入れた。するとエリファル様の顔が、こちらを向いた。
彼は捜索と並行して、もう一つ手続きを行っていたらしい。
それは私と彼との離婚手続きである。
十中八九表沙汰になる問題によって、私及びラーバイン伯爵家が被害を受けないためにそうしてくれていたらしい。
ただ私としては、少し釈然としていない部分はある。これで二つの家の関係が終わりなんて、そんなことで良いのだろうか。
「……お父様はきっと、アーキス侯爵を見捨てませんよ」
「……そうでしょうね」
「お兄様などは反対するでしょうが、それでも友情を重んじる方です。貴族として良い判断とは言えませんが、それはもう仕方ないことでしょう」
ロレイナの意見は、私の意見とも概ね一致していた。
お父様はアーキス侯爵を見捨てない。それはもちろんそうだろう。
しかし私は、他の要素もあると思っている。それは多分、ロレイナも口に出していないだけで考えていることだろう。
お父様は基本的に、娘に甘い。私の望みというものもよくわかっているだろうし、そのために取り計らうような気がするのだ。
もちろんそれには、自身の友情も含まれてのことだろうが、それでも私にとって都合が良い結論を出してくれるような気がする。
「エリファル様とお話してきてください。私は一度ラーバイン伯爵家に戻って、色々と事情を伝えてきますから」
「ロレイナ……」
「ご心配なく。私はもう大丈夫です。お姉様とエリファル様の幸せ、それが今の私の願いですから」
ロレイナは、私の目を真っ直ぐに見つめていた。
ドミラス様の本性がわかったのは、彼女が動いたお陰だ。エリファル様の襲撃もあったが、その前にあの事実がわかっていたことは大きなことだといえる。
「ありがとう、ロレイナ」
「ええ……」
「行ってくるわ」
私はロレイナに背を向けて、エリファル様の方に向かっていく。
感謝の一言、それ以外に言葉は見つからなかった。ただそれでも、妹には気持ちが伝わっていると思う。
「……難儀なものだな」
「それはきっと、お互い様ですよ、フェルド様」
「俺は別に……」
「ふふ、素直ではありませんね……」
去っていく最中、フェルド様とロレイナの声が聞こえてきた。
二人は何やら話し込んでいるようだが、その内容の意味は考えないことにする。
きっとそれは、私が考えるべきことではない。二人の気持ちについて首を突っ込むのは野暮だ。そう判断した。
だから私は、エリファル様の元に急いだ。
彼は今、自室に待機しているはずだ。ドミラス様の捜索、その成果が出るまでは休息すると言っていた。
「……あれ?」
しかし私は、道中でその足を止めることになった。
それは屋敷の中庭で佇んでいるエリファル様を見つけたからだ。
彼は天を仰ぎ、少し険しい表情をしている。色々と考えているということだろうか。
声をかけるべきか、私は一瞬思案した。
だが躊躇っていても仕方ないことに気付いた。私達は長い間離れていたのだから、その空白を埋めるためには踏み込まなければならないのだ。
故に私は、中庭に足を踏み入れた。するとエリファル様の顔が、こちらを向いた。
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