嫌われ者の王弟殿下には、私がお似合いなのでしょう? 彼が王になったからといって今更離婚しろなんて言わないでください。

木山楽斗

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22.王城に戻って

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 私は、ロナード様とともに王城に来ていた。
 レオルード様が亡くなったため、ロナード様が帰ってくることはわかっていたのだろう。特に慌てることもなく、それは受け入れられた。
 だが、王城内はロナード様の帰還をそこまで喜んでいないように思える。それはやはり、彼が嫌われ者の王弟殿下だからだろう。

「……お帰りなさいませ、ロナード殿下」
「ああ、ただいま。エリクシス」

 そんな中、ロナード様に対してゆっくりと跪いて挨拶をする者がいた。
 それは、この国の騎士団の団長であるエリクシスさんである。彼は、この国でもかなり名が知られている人物だ。レオルード様の腹心の一人であり、彼が最も信頼している部下とされる人物である。

「この度はご愁傷さまです。心よりお悔やみ申し上げます」
「ああ、ありがとう」

 エリクシスさんは、ロナード様に敬意を払っているように思える。
 レオルード様の腹心ということで、ロナード様のことを侮っているのではないかと思ったが、そうではないらしい。尊敬している主君の無能な弟に思う所などはないのだろうか。
 そう考えてから、私の中に別の考えが浮かんできた。もしかしたら腹心だからこそ、ロナード様の本当の一面を知っているのではないかと。

「まあ、とりあえず頭をあげて兄上の元に案内してくれよ」
「はい、仰せの通りに」
「……正直な所、まだ実感が湧かないんだよな。本当に兄上が亡くなったのか……まあ、顔を見れば嫌でもわかることになるのかもしれないが」

 ロナード様は、そのように呟いた。
 確かに、まだレオルード様の死は手紙で知らされただけである。それだけでは、実感というものは湧かないのかもしれない。
 それ程に、彼の死は突然だった。一体、何が起こったというのだろうか。それも気になる所だ。

「死因なんかは、まだわかっていないのか?」
「ええ、現在調査中です」
「……暗殺とかの可能性はないのか?」
「それも含めて調査しています」

 ロナード様も疑問に思っていたのか、そのような質問をエリクシスさんにした。
 暗殺の可能性、それはとても恐ろしいものだ。誰かがレオルード様を陥れたとなれば、大きな問題となるだろう。
 病死だった場合は、そういった問題はない。病死だからいいという訳ではない。だが、暗殺ではない方がいいと思ってしまう。

「こちらの部屋に、レオルード様がいらっしゃいます」
「そうか……それじゃあ、失礼させてもらおうか」

 色々と考えている内に、レオルード様がいる部屋に辿り着いた。
 偉大なる賢王が、ここで眠っている。いよいよロナード様も、彼の死という事実に対面することになりそうだ。
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