溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗

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15.父への揺さぶり

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「……お前が私を訪ねて来るなんて、どういう風の吹き回しだ?」
「……少し話したいことがありまして」

 私の来訪に、お父様は少し警戒しているようだった。
 実の娘が訪ねて来てその反応であるというのは、歪としか言いようがない。
 ただお父様は一応、私に対してひどいことをしていると理解しているようだ。それで報復などを恐れているというのが、彼が小物たる所以であるだろう。

「話したいこと、何の話だ」
「ロメリアのことです」
「ロメリア? ふん、あの子に何かされたのか?」
「いえ、そういう訳ではありませんが……」

 ロメリアのことを口にすると、お父様は嫌らしい笑みを浮かべていた。
 彼女に私を虐げたことを喜ぶその性根は、腐っているとしか言いようがない。
 この男の血が自分に流れているということには、嫌悪感を覚えてしまう。そういう意味では、今回の鑑定の結果によって、ロメリアのことが羨ましくなるかもしれない。

「彼女は、本当にお父様の娘なのでしょうか?」
「……何?」

 躊躇っても仕方ないため、私は早速本題を切り出した。
 それに対して、お父様は目を丸めている。その表情は、すぐに怒りのものに変わった。

「何を言い出すかと思えば、下らないことを言う。ロメリアが私の娘であることを疑う余地などないだろう」
「そうでしょうか? お義母様は、中々に奔放な女性だったと聞きますし……」
「あり得ない。ペルリナは一途な女だ」

 お父様の言葉に、私は少しだけ呆気に取られてしまった。
 まさか彼は、ペルリナのことを碌に調査していないのだろうか。血について既に調べたなどとも口にしないし、そもそも何も調べていないのかもしれない。
 それは貴族として、なんとも愚かなことだ。それだけ、ペルリナに心酔しているということなのだろうか。

「……バンガルという男性のことをご存知ですか?」
「バンガル? な、何故お前がその男のことを……」
「彼は、お義母様の幼馴染だったと聞いています。なんでも懇意にしていたとか」
「懇意? 馬鹿な。あれはストーカーで……いや、幼馴染だと?」

 バンガルさんの名前を出すと、お父様は少し焦ったような顔をした。
 その人を知ってはいるが、正しく認識していた訳ではないらしい。その顔に疑念が現れ始めた。これならもう、敢えて押す必要もないだろう。

「……まあ、私も小耳に挟んだだけですから、根も葉もない噂かもしれませんね。変なことを言ってしまって、申し訳ありません」
「いや……そうだ。そうだとも」

 私は、お父様にゆっくりと背を向けた。
 口では強がっているが、今彼の中では疑念が渦巻いている。
 その疑念を解消するために、お父様は必ず動くだろう。これでロメリアの真実は、わかるはずだ。
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