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16.邪悪なる存在
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「ロメリア様……今の状況をあなたはわかっているのですか?」
「今の状況? 何が言いたいのかしら? いえ、そもそもあなたは私に何かを言えるような立場ではないわ」
私は、少し警戒しながらロメリア様に話しかけた。
恐らく、彼女は邪悪な存在の影響を受けている。その邪悪な存在を探るために、私は少しずつ彼女に近づいていく。
「……結界がこのように不完全なままでは、王都に様々な危機が訪れます。そうならないためにも、誰かが結界を用意しなければいけません」
「そんなことは、この場にいる魔法使い達がすればいいことよ」
「彼女達には無理です。人手が不足している中で、結界という大規模な魔法を完璧に作り出すのは至難の業です」
「偉そうに……」
私の言葉に対して、ロメリア様はまた表情を歪めていた。
ただ、彼女が怒っているかどうかなんて気にしている場合ではない。私はそれよりももっと重要な事実を突き止めなければならないのだ。
「……ロメリア。ラムーナさんの言うことを聞くんだ。いくらこの王城が君のものでも、王都が陥落してしまえばそれは意味のないものになるだろう」
「お兄様は、黙っていてください」
私は、だんだんと彼女の中にいる存在を認識し始めていた。
どうやら邪悪なる存在は、王都の中に既に入り込んでおり、さらに中枢まで入り込んでいたようである。
まず間違いなく、彼女の中には悪魔がいる。結界によって近づかせないようにしている悪意に、彼女は蝕まれているのだ。
「ロメリア様……少し失礼します」
「え?」
そこで私は、ロメリア様に対してゆっくりと手を伸ばした。
対悪魔のようの魔法についての知識はある。それを実践するのは初めてではあるが、とにかく今は彼女の中から悪魔を追い出さなければならない。
「ぬっ……ぐっ?」
「ラムーナさん、何を?」
「レムバル様、下がっていてください」
「がはっ!」
私が悪魔を払う聖なる魔法を行使したことによって、ロメリア様は口を大きく開けた。
そして次の瞬間、彼女の口から黒い塊がゆっくりと出てくる。その悪意の集合体はやがて地に落ち、その形を変化させていく。
「……流石は聖女といった所か。この俺の存在を嗅ぎつけるとは」
「……あなたは、悪魔?」
「その通り……ふん、せっかく上級の悪魔よりも先に人間の都に忍び込めたというのに、こんなに早く見つかってしまうとはな」
人のような形を取った黒い塊は、しわがれた声でそんなことを言ってきた。
彼からは、それ程大きな魔力は感じられない。自分でも言っている通り、悪魔としては低級なのだろう。
しかしそれでも、侮れないのが悪魔だ。例え低級でも彼らは、人間が扱えない不可思議な魔法を扱える。それが非常に厄介であるという話は、何度か聞いたことがある。
「な、あなたは一体何者なの? 私の中にいたというの?」
「ふふ、お前は本当に最高の宿主だった。これ程までに悪意を持った人間など早々いない……故に、手放すには惜しい」
「きゃあっ!」
そこで悪魔は突如その体を蛇のように変えて、ロメリア様の体に巻き付いた。
締め付けがきついからだろうか。彼女は苦しそうな顔をしている。
「は、がっ……」
「ふふ、力が漲ってくる……やはり、人間の悪意は極上だ」
「ロメリア様を離して!」
「離す訳がないだろう? こいつは人質だ。お前のような人間は、いくら憎んでいる相手でも手は出せまい」
「それは……」
悪魔の言葉に、私は何も言い返せなくなっていた。
この状況で攻撃したら、ロメリア様にも危害が及ぶ可能性がある。先程の方法は体内にある悪魔を払う方法なので、この状況で有効かはわからない。
様々なことを考慮した結果、私は動くことができなかった。悪魔の言う通り、相手がロメリア様であっても私は何もできなかったのである。
「ふふ、やはりな……」
「あ、がっ……」
「さて、それでは俺は失礼させてもらうとしよう。ゆっくりとこいつを養分にしなければならないからな」
「た、助け……ぐっ」
楽しそうに言葉を発した後、悪魔はロメリア様を引きずっていった。
当然、あの悪魔は排除しなければならない。しかしながら私は、彼らを追わなかった。それはロメリア様に恨みがあるかなどではなく、他にやることがあったからだ。
「……皆さん、今から結界を張り直します。あの悪魔のことは気になりますが、あの悪魔のような存在をこれ以上王都にいれないためにも、結界を完全なものにします」
「……は、はい」
「すぐに準備します」
私の言葉に、魔法使い達はすぐに動き始めてくれた。
そんな中で茫然と立ち尽くすレムバル様のことは気になったが、私は結界を張ることを優先して、彼のことを意識から外すのだった。
「今の状況? 何が言いたいのかしら? いえ、そもそもあなたは私に何かを言えるような立場ではないわ」
私は、少し警戒しながらロメリア様に話しかけた。
恐らく、彼女は邪悪な存在の影響を受けている。その邪悪な存在を探るために、私は少しずつ彼女に近づいていく。
「……結界がこのように不完全なままでは、王都に様々な危機が訪れます。そうならないためにも、誰かが結界を用意しなければいけません」
「そんなことは、この場にいる魔法使い達がすればいいことよ」
「彼女達には無理です。人手が不足している中で、結界という大規模な魔法を完璧に作り出すのは至難の業です」
「偉そうに……」
私の言葉に対して、ロメリア様はまた表情を歪めていた。
ただ、彼女が怒っているかどうかなんて気にしている場合ではない。私はそれよりももっと重要な事実を突き止めなければならないのだ。
「……ロメリア。ラムーナさんの言うことを聞くんだ。いくらこの王城が君のものでも、王都が陥落してしまえばそれは意味のないものになるだろう」
「お兄様は、黙っていてください」
私は、だんだんと彼女の中にいる存在を認識し始めていた。
どうやら邪悪なる存在は、王都の中に既に入り込んでおり、さらに中枢まで入り込んでいたようである。
まず間違いなく、彼女の中には悪魔がいる。結界によって近づかせないようにしている悪意に、彼女は蝕まれているのだ。
「ロメリア様……少し失礼します」
「え?」
そこで私は、ロメリア様に対してゆっくりと手を伸ばした。
対悪魔のようの魔法についての知識はある。それを実践するのは初めてではあるが、とにかく今は彼女の中から悪魔を追い出さなければならない。
「ぬっ……ぐっ?」
「ラムーナさん、何を?」
「レムバル様、下がっていてください」
「がはっ!」
私が悪魔を払う聖なる魔法を行使したことによって、ロメリア様は口を大きく開けた。
そして次の瞬間、彼女の口から黒い塊がゆっくりと出てくる。その悪意の集合体はやがて地に落ち、その形を変化させていく。
「……流石は聖女といった所か。この俺の存在を嗅ぎつけるとは」
「……あなたは、悪魔?」
「その通り……ふん、せっかく上級の悪魔よりも先に人間の都に忍び込めたというのに、こんなに早く見つかってしまうとはな」
人のような形を取った黒い塊は、しわがれた声でそんなことを言ってきた。
彼からは、それ程大きな魔力は感じられない。自分でも言っている通り、悪魔としては低級なのだろう。
しかしそれでも、侮れないのが悪魔だ。例え低級でも彼らは、人間が扱えない不可思議な魔法を扱える。それが非常に厄介であるという話は、何度か聞いたことがある。
「な、あなたは一体何者なの? 私の中にいたというの?」
「ふふ、お前は本当に最高の宿主だった。これ程までに悪意を持った人間など早々いない……故に、手放すには惜しい」
「きゃあっ!」
そこで悪魔は突如その体を蛇のように変えて、ロメリア様の体に巻き付いた。
締め付けがきついからだろうか。彼女は苦しそうな顔をしている。
「は、がっ……」
「ふふ、力が漲ってくる……やはり、人間の悪意は極上だ」
「ロメリア様を離して!」
「離す訳がないだろう? こいつは人質だ。お前のような人間は、いくら憎んでいる相手でも手は出せまい」
「それは……」
悪魔の言葉に、私は何も言い返せなくなっていた。
この状況で攻撃したら、ロメリア様にも危害が及ぶ可能性がある。先程の方法は体内にある悪魔を払う方法なので、この状況で有効かはわからない。
様々なことを考慮した結果、私は動くことができなかった。悪魔の言う通り、相手がロメリア様であっても私は何もできなかったのである。
「ふふ、やはりな……」
「あ、がっ……」
「さて、それでは俺は失礼させてもらうとしよう。ゆっくりとこいつを養分にしなければならないからな」
「た、助け……ぐっ」
楽しそうに言葉を発した後、悪魔はロメリア様を引きずっていった。
当然、あの悪魔は排除しなければならない。しかしながら私は、彼らを追わなかった。それはロメリア様に恨みがあるかなどではなく、他にやることがあったからだ。
「……皆さん、今から結界を張り直します。あの悪魔のことは気になりますが、あの悪魔のような存在をこれ以上王都にいれないためにも、結界を完全なものにします」
「……は、はい」
「すぐに準備します」
私の言葉に、魔法使い達はすぐに動き始めてくれた。
そんな中で茫然と立ち尽くすレムバル様のことは気になったが、私は結界を張ることを優先して、彼のことを意識から外すのだった。
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