旦那様の不手際は、私が頭を下げていたから許していただけていたことをご存知なかったのですか?

木山楽斗

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22.元夫の現状

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「さてと、リメリア。バルハルドの前で、こういった話をするのはどうかと思うのだが……君に伝えておきたいことがある」
「私に、ですか?」

 エルヴァイン公爵は、バルハルド様の様子を伺いながら、すこし遠慮がちに言葉を発していた。
 バルハルド様の前で話しにくいこと、その言葉によって何を話すかは大体予想することができる。恐らく、ウルガド様の話ということだろう。

「エルヴァイン公爵、私は別に構いません。むしろリメリアの元夫に関する話は聞いておきたいくらいです。奴はリメリアに対して失礼な真似を働いた訳ですからね」
「君にしては珍しい感情の動き方だな、バルハルド。なるほど、君は心底リメリアのことを気に入っているらしい。それは良いことだ」

 バルハルド様の方も、何の話をするのか予想がついたようだ。
 彼は、少し目を細めている。それはウルガド様のことを快く思っていないからだろう。
 それは何も、私に関することだけが理由という訳ではない。ファナト様との関係なども、含めた感情であるだろう。

「それでエルヴァイン公爵、ウルガド様に何かあったのですか?」
「何かあった、という訳でもないのだが、彼は今苦境に立たされている」
「苦境、ですか?」
「君と離婚したことによって、数多の貴族から反感を買っている。それは当然といえば当然だ。今までウルガドは、その未熟さ故の過ちを君によって許してもらっていたのだからね」
「……そうなりましたか」

 ウルガド様の現状を聞いて、私はゆっくりとため息をついた。
 ひどいことを言われて離婚した訳ではあるのだが、別に彼の現状を聞いてもそれ程スッキリするという訳でもない。
 なんというか、呆れてしまっている。こうなることは予想できただろうに、本当にウルガド様は一時の感情で、大きな過ちを犯す人だと思ってしまう。

「とはいえ、それらの反感もヴォンドラ伯爵家を沈める程のものではないといえる。問題となるのはここからだ。失敗ばかりのウルガドだが、彼はある一点において多くの者達を欺いていた。これに関しては、私も君もまったく気付いていなかった重大なことだ」
「……どういうことですか?」
「まあ、言葉で説明するよりも先に会ってもらった方が早いだろう。エルガド、入り給え」

 エルヴァイン公爵は、そこでゆっくりと手を叩いた。
 すると部屋の戸が開き、一人の痩せた青年が部屋の中に入って来る。
 その青年の顔を見て、私もバルハルド様も驚いた。なぜなら彼のその顔からは、明らかなヴォンドラ伯爵家の血筋を感じたからだ。
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