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15.あの二人なら
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社交界では、噂というものは一瞬で広まっていくものだ。
私とアドルヴ殿下との婚約というものも、ほんの一瞬で国の端まで広まっているようだ。
それは仕方ないことではある。とはいえ、中々に怖いものだ。
「ラルリア姉様、あまり噂というものを気にしてはなりませんよ」
「ええ、もちろんわかっているわ」
弟のルドールは、私のことを心配そうに見つめていた。
私の部屋を訪ねて来た彼は、私が落ち込んでいることを予想していたのだろう。
実際の所、少々落ち込んではいる。覚悟はしていたが、流れて来る噂というものは私にとって良いものではなかったのだ。
「噂なんてものは、聞き流した方が良いものです。そういったものには、得てして尾ひれがつくものですからね。誇張されているともいいます。ですから、皆が皆本当に心の底から噂になっているようなことを考えている訳ではありません」
ルドールはまだ幼いながらも、てきぱきと意見を述べていた。
やっとのことで生まれたバレリア公爵家の次期当主は、立派に成長しているといえるだろう。
その真っ直ぐさというものには、私も時々驚かされる。思春期であるというのに、姉である私にも優しいし、なんとも良い子に育っているものだ。逆に少し心配になってしまう。
「ありがとう、ルドール。でもね。真っ当な意見だってあると思うのよ。客観的に見た時に、私とリルルナのどちらが王妃になるべきかは明白だもの」
「そうでしょうか?」
「リルルナは優秀だもの。彼女が王妃になれば、レジエート王国はもっと成長するわ」
「リルルナ姉様に関しては、色々な意味で問題があると思います。具体的には、人格面においてリルルナ姉様は苛烈な所があります」
ルドールは、リルルナとも仲良くしている。ただ彼女に関してものを述べる時は、少々辛辣だ。
それは仲の良さの裏返しだろうか。遠慮のないその言葉に、私は苦笑いを浮かべる。
「でもリルルナは、きちんと人のことを思いやることができる人だから。家族である私達にはもちろん色々と言うでしょうけれど、それでも務めは果たしてくれると、私は思っているわ」
ルドールもわかっているとは思うが、私は念のために釘を刺しておいた。
リルルナは、立派な人間だ。優れた能力を自分のためではなく、人のために活かそうとしている。
彼女は、私利私欲で動くような人間ではない。王妃になれば、この国に尽くして豊かにしていくことだろう。
そんな彼女が王妃になった方が良いという貴族達の意見は、間違っていない。
そう思っているからこそ、私もアドルヴ殿下とリルルナの婚約を提言した。尊敬できるあの二人なら、きっとこの国のために正しい判断をしてくれるはずだ。
私とアドルヴ殿下との婚約というものも、ほんの一瞬で国の端まで広まっているようだ。
それは仕方ないことではある。とはいえ、中々に怖いものだ。
「ラルリア姉様、あまり噂というものを気にしてはなりませんよ」
「ええ、もちろんわかっているわ」
弟のルドールは、私のことを心配そうに見つめていた。
私の部屋を訪ねて来た彼は、私が落ち込んでいることを予想していたのだろう。
実際の所、少々落ち込んではいる。覚悟はしていたが、流れて来る噂というものは私にとって良いものではなかったのだ。
「噂なんてものは、聞き流した方が良いものです。そういったものには、得てして尾ひれがつくものですからね。誇張されているともいいます。ですから、皆が皆本当に心の底から噂になっているようなことを考えている訳ではありません」
ルドールはまだ幼いながらも、てきぱきと意見を述べていた。
やっとのことで生まれたバレリア公爵家の次期当主は、立派に成長しているといえるだろう。
その真っ直ぐさというものには、私も時々驚かされる。思春期であるというのに、姉である私にも優しいし、なんとも良い子に育っているものだ。逆に少し心配になってしまう。
「ありがとう、ルドール。でもね。真っ当な意見だってあると思うのよ。客観的に見た時に、私とリルルナのどちらが王妃になるべきかは明白だもの」
「そうでしょうか?」
「リルルナは優秀だもの。彼女が王妃になれば、レジエート王国はもっと成長するわ」
「リルルナ姉様に関しては、色々な意味で問題があると思います。具体的には、人格面においてリルルナ姉様は苛烈な所があります」
ルドールは、リルルナとも仲良くしている。ただ彼女に関してものを述べる時は、少々辛辣だ。
それは仲の良さの裏返しだろうか。遠慮のないその言葉に、私は苦笑いを浮かべる。
「でもリルルナは、きちんと人のことを思いやることができる人だから。家族である私達にはもちろん色々と言うでしょうけれど、それでも務めは果たしてくれると、私は思っているわ」
ルドールもわかっているとは思うが、私は念のために釘を刺しておいた。
リルルナは、立派な人間だ。優れた能力を自分のためではなく、人のために活かそうとしている。
彼女は、私利私欲で動くような人間ではない。王妃になれば、この国に尽くして豊かにしていくことだろう。
そんな彼女が王妃になった方が良いという貴族達の意見は、間違っていない。
そう思っているからこそ、私もアドルヴ殿下とリルルナの婚約を提言した。尊敬できるあの二人なら、きっとこの国のために正しい判断をしてくれるはずだ。
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