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27.乗り気な二人
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「ウェルリグル侯爵家の事情ですか……それは僕も考えが及んでいませんでした」
「あ、いえ、エクティス様に非はありません」
エクティス様の言葉に、私は首を横に振った。
ウェルリグル侯爵家の事情など、彼が考慮するべきことではない。それは彼には、まったく関係がない事柄なのだから。
「しかし僕も噂は聞いていましたから……充分に考慮することはできたと思います」
「結構有名なんですね。家の事情は……」
「えっと……すみません」
私とエクティス様がお互いに気を落としていると、アルメリアがすごく遠慮がちに手を上げた。それはつまり、何か聞きたいことがあるということなのだろう。
その内容は、概ね察することができる。恐らく、彼女は私の事情をわかっていないのだろう。貴族社会のことを知らない彼女ならそれは当然のことだ。
「アルメリアさん、実の所私には兄弟がいっぱいいるのです。その兄弟が当主争いをしていて、それにウェルド様を巻き込むことになりかねないと……」
「あ、いえ、それはわかっています。今までの話から、察することができました」
「あら、そうでしたか……」
私の予測は大きく外れていた。聡い彼女は、話の内容から事態を理解していたようだ。
「しかしそれなら、一体どうしたのですか?」
「ラナトゥーリ様は、ウェルド様と婚約したいと思っているのですか?」
「え?」
「その……前に話した時にはそこまで乗り気ではなかったような気がしたので」
「それは……」
アルメリアの指摘に、私は言葉を詰まらせた。
確かによく考えてみれば、私はまるでウェルド様と婚約するかのように話を進めている。それはおかしな話だ。私はどちらかというと、この婚約に懐疑的だったはずなのに。
なんというか、私も段々と乗り気になってしまっていたようだ。私はウェルド様となら、夫婦になるのもいいと思っているのだろうか。
「ウェルド様は……素敵な方だと思っています。だから、私もこの婚約はできることなら実現させたいと思っているのかもしれません」
「……まだ確信が得られている訳ではないのですか?」
「そうですね……自分の心ですが、まだそれ程整理はできていないかと」
「そういうものだと思います」
私の言葉に、アルメリアは笑顔を見せてくれた。
多分、彼女もそうだったのだろう。確かにゲームの中でも、彼女は色々と悩んでいたような気がする。
「はっきりと言ってしまいますが……兄上も今回の婚約には乗り気だと思います」
「……そうなのですか?」
「ええ、そうです。まあ、口にした訳ではありませんから、これは弟の勘でしかないのですが……」
「なるほど……」
エクティス様の言葉に、私は自然と笑みを零していた。
それはつまり、ウェルド様が乗り気であるのが嬉しいということなのだろう。そう思うくらいには、私も乗り気なのかもしれない。
「……一度、ウェルド様と話をしてみようと思います」
「ええ、それがいいと思います」
とりあえず私は、ウェルド様と話をしてみようと思った。
彼が私をどう思っているのか、また私が彼をどう思っているか、それはきっと話してみなければわからない事柄である。
「あっ、そういえば……」
「アルメリアさん? どうかしたのですか?」
「その……とある噂を耳にしたのですが」
「噂?」
「今回の魔物襲撃事件の最中、ラナトゥーリ様が男性と抱き合っていたとお聞きしました。それからその男性のお見舞いもしているとも」
「ああ、それは僕も聞きましたね……」
アルメリアの言葉に、エクティス様はゆっくりと頷いた。
確かに、私はあの戦いの中でルシウスと抱き合った。それにお見舞いにも行っている。毎日欠かさずに。
それはよく考えてみれば、変な噂になるようなことかもしれない。まさか貴族の令息が冒険者をしているなんて思わないだろうし。
「あれは弟なんです」
「やはりそういうことでしたか……冒険者をしているのですか?」
「ええ、そうなんです」
「まあ、なんとなくそんな所だろうとは思っていましたが……」
私の言葉に、エクティス様は苦笑いを浮かべていた。
噂というものは、中々に怖いものである。これは特定の人だけではなく、もっと多くの人にルシウスが弟であることを話しておいた方がいいかもしれない。
「……大丈夫でしょうか?」
「うん?」
「ウェルド様が勘違いなどしていなければいいと思って……」
「それは……」
アルメリアの指摘に、私はまたも言葉を詰まらせることになった。
確かに、その可能性はない訳ではない。もしも勘違いしていたら、ウェルド様はどんな反応をするのだろうか。私はそれを少し不安に思うのだった。
「あ、いえ、エクティス様に非はありません」
エクティス様の言葉に、私は首を横に振った。
ウェルリグル侯爵家の事情など、彼が考慮するべきことではない。それは彼には、まったく関係がない事柄なのだから。
「しかし僕も噂は聞いていましたから……充分に考慮することはできたと思います」
「結構有名なんですね。家の事情は……」
「えっと……すみません」
私とエクティス様がお互いに気を落としていると、アルメリアがすごく遠慮がちに手を上げた。それはつまり、何か聞きたいことがあるということなのだろう。
その内容は、概ね察することができる。恐らく、彼女は私の事情をわかっていないのだろう。貴族社会のことを知らない彼女ならそれは当然のことだ。
「アルメリアさん、実の所私には兄弟がいっぱいいるのです。その兄弟が当主争いをしていて、それにウェルド様を巻き込むことになりかねないと……」
「あ、いえ、それはわかっています。今までの話から、察することができました」
「あら、そうでしたか……」
私の予測は大きく外れていた。聡い彼女は、話の内容から事態を理解していたようだ。
「しかしそれなら、一体どうしたのですか?」
「ラナトゥーリ様は、ウェルド様と婚約したいと思っているのですか?」
「え?」
「その……前に話した時にはそこまで乗り気ではなかったような気がしたので」
「それは……」
アルメリアの指摘に、私は言葉を詰まらせた。
確かによく考えてみれば、私はまるでウェルド様と婚約するかのように話を進めている。それはおかしな話だ。私はどちらかというと、この婚約に懐疑的だったはずなのに。
なんというか、私も段々と乗り気になってしまっていたようだ。私はウェルド様となら、夫婦になるのもいいと思っているのだろうか。
「ウェルド様は……素敵な方だと思っています。だから、私もこの婚約はできることなら実現させたいと思っているのかもしれません」
「……まだ確信が得られている訳ではないのですか?」
「そうですね……自分の心ですが、まだそれ程整理はできていないかと」
「そういうものだと思います」
私の言葉に、アルメリアは笑顔を見せてくれた。
多分、彼女もそうだったのだろう。確かにゲームの中でも、彼女は色々と悩んでいたような気がする。
「はっきりと言ってしまいますが……兄上も今回の婚約には乗り気だと思います」
「……そうなのですか?」
「ええ、そうです。まあ、口にした訳ではありませんから、これは弟の勘でしかないのですが……」
「なるほど……」
エクティス様の言葉に、私は自然と笑みを零していた。
それはつまり、ウェルド様が乗り気であるのが嬉しいということなのだろう。そう思うくらいには、私も乗り気なのかもしれない。
「……一度、ウェルド様と話をしてみようと思います」
「ええ、それがいいと思います」
とりあえず私は、ウェルド様と話をしてみようと思った。
彼が私をどう思っているのか、また私が彼をどう思っているか、それはきっと話してみなければわからない事柄である。
「あっ、そういえば……」
「アルメリアさん? どうかしたのですか?」
「その……とある噂を耳にしたのですが」
「噂?」
「今回の魔物襲撃事件の最中、ラナトゥーリ様が男性と抱き合っていたとお聞きしました。それからその男性のお見舞いもしているとも」
「ああ、それは僕も聞きましたね……」
アルメリアの言葉に、エクティス様はゆっくりと頷いた。
確かに、私はあの戦いの中でルシウスと抱き合った。それにお見舞いにも行っている。毎日欠かさずに。
それはよく考えてみれば、変な噂になるようなことかもしれない。まさか貴族の令息が冒険者をしているなんて思わないだろうし。
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「ええ、そうなんです」
「まあ、なんとなくそんな所だろうとは思っていましたが……」
私の言葉に、エクティス様は苦笑いを浮かべていた。
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「……大丈夫でしょうか?」
「うん?」
「ウェルド様が勘違いなどしていなければいいと思って……」
「それは……」
アルメリアの指摘に、私はまたも言葉を詰まらせることになった。
確かに、その可能性はない訳ではない。もしも勘違いしていたら、ウェルド様はどんな反応をするのだろうか。私はそれを少し不安に思うのだった。
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