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28.騎士団長の休息
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私が訪ねると、ウェルド様は快く話に応じてくれた。
思えばエクティス様から婚約の話を持ち掛けられてから、私は彼と会っていなかった。理由は単純で、お互いに予定が合わなかったからである。
騎士団長であるウェルド様は、当然とても忙しい。私も曲がりなりにも魔法の研究の中心的な人物であるため中々融通が利かず、話し合うのは先送りになっていたのだ。
「事後処理などがあったのですが、それもやっと落ち着きましてね。まあ、私にも少々休息が必要だと部下に言われて、こうして暇している次第です」
今日のウェルド様は、どうやらプライベートであるらしい。そのような時に私の相手をさせてしまうのは、少々申し訳がなかった。
ただこれから私達が話すのはプライベートなことだ。そう考えると、この時間に話すことが正しいような気もする。
「……そういえば、ウェルド様はいつもいつ休んでいるんですか?」
「はい?」
「いえその……考えてみれば、いつも働いているような印象があったので」
そこで私は、思わずそのような質問をしていた。
しかしそれは愚問だったかもしれない。単純に私が彼と会っていない時に休んでいるというだけなのだろうし。
「あまり休んではいませんね……」
「……え?」
「騎士団長ですからね。中々休む訳にもいかないのです」
ウェルド様の言葉に、私は驚いていた。
あまり休んでいない。それはかなりまずいのではないだろうか。
もちろん、騎士団長は有事の際には指揮などをする必要がある立場だ。中々持ち場を離れることができないということは、理解することができる。
だが、それでも休息は必要であるだろう。働き詰めでは、限界が来てしまう。
「もう少しご自愛した方がいいと思いますけど……」
「問題はありません。特に業務がない時などは暇していますからね。この間騎士団を案内した時などもそうです。実はあの時は暇していたのです。もっとも、その後に会議が控えていましたが……」
「すみません。私のせいで……」
「いえ、勝手にやったことですので」
ウェルド様も、一応働き詰めという訳でもないらしい。
ただいくら暇があるといっても、結局は騎士団長として構えておかなければならないというのは、やはり窮屈なのではないだろうか。
休む時は休む、働く時は働く。そうやってメリハリをつける方が、私にはいいように思えてしまう。
「ウェルド様、差し出がましいかもしれませんが、きちんと休日を設けた方がいいのではないでしょうか?」
「……部下にも同じことを言われました。ですから、今は休んでいるのです」
「ちなみに、何日程休む予定なのですか?」
「今日と明日は休むことにしています」
「二日ですか……」
魔物の襲撃があってから、ウェルド様は確実に働き詰めだったはずだ。
戦場で指揮を執ってその後色々な後始末をして、一週間以上忙しくしていただろう。
口振りからして、その前から休んでいないはずだ。もちろん些細な休息などはあったのだと思うが、休日というものはなかっただろう。
「もう少し休んだ方がいいと思います」
「……騎士団長が長く離れることなどできません」
「部下を信頼することも、騎士団長として必要なことだと私は思います。ウェルド様は副団長などを信頼できませんか?」
「いえ、そのようなことはありませんが……」
「それなら、休んでも問題ないのではありませんか?」
「む……」
私の言葉に、ウェルド様は少し怯んでいた。
反論がないということは、言葉の意味がわかってもらえたということだろうか。
「……確かに、副団長は私よりも優秀な人間です。私がいなくても特に問題はないでしょうね」
「あ、いえ、私が言いたいのはそういうことではなくてですね……」
ウェルド様は、少し落ち込んでいた。
私が余計なことを言ってしまったから、彼のコンプレックスを刺激してしまったらしい。
やはり、ウェルド様には色々と弱い部分がある。そんな彼を支える人が必要だというエクティス様の言葉を、私は改めて理解するのだった。
思えばエクティス様から婚約の話を持ち掛けられてから、私は彼と会っていなかった。理由は単純で、お互いに予定が合わなかったからである。
騎士団長であるウェルド様は、当然とても忙しい。私も曲がりなりにも魔法の研究の中心的な人物であるため中々融通が利かず、話し合うのは先送りになっていたのだ。
「事後処理などがあったのですが、それもやっと落ち着きましてね。まあ、私にも少々休息が必要だと部下に言われて、こうして暇している次第です」
今日のウェルド様は、どうやらプライベートであるらしい。そのような時に私の相手をさせてしまうのは、少々申し訳がなかった。
ただこれから私達が話すのはプライベートなことだ。そう考えると、この時間に話すことが正しいような気もする。
「……そういえば、ウェルド様はいつもいつ休んでいるんですか?」
「はい?」
「いえその……考えてみれば、いつも働いているような印象があったので」
そこで私は、思わずそのような質問をしていた。
しかしそれは愚問だったかもしれない。単純に私が彼と会っていない時に休んでいるというだけなのだろうし。
「あまり休んではいませんね……」
「……え?」
「騎士団長ですからね。中々休む訳にもいかないのです」
ウェルド様の言葉に、私は驚いていた。
あまり休んでいない。それはかなりまずいのではないだろうか。
もちろん、騎士団長は有事の際には指揮などをする必要がある立場だ。中々持ち場を離れることができないということは、理解することができる。
だが、それでも休息は必要であるだろう。働き詰めでは、限界が来てしまう。
「もう少しご自愛した方がいいと思いますけど……」
「問題はありません。特に業務がない時などは暇していますからね。この間騎士団を案内した時などもそうです。実はあの時は暇していたのです。もっとも、その後に会議が控えていましたが……」
「すみません。私のせいで……」
「いえ、勝手にやったことですので」
ウェルド様も、一応働き詰めという訳でもないらしい。
ただいくら暇があるといっても、結局は騎士団長として構えておかなければならないというのは、やはり窮屈なのではないだろうか。
休む時は休む、働く時は働く。そうやってメリハリをつける方が、私にはいいように思えてしまう。
「ウェルド様、差し出がましいかもしれませんが、きちんと休日を設けた方がいいのではないでしょうか?」
「……部下にも同じことを言われました。ですから、今は休んでいるのです」
「ちなみに、何日程休む予定なのですか?」
「今日と明日は休むことにしています」
「二日ですか……」
魔物の襲撃があってから、ウェルド様は確実に働き詰めだったはずだ。
戦場で指揮を執ってその後色々な後始末をして、一週間以上忙しくしていただろう。
口振りからして、その前から休んでいないはずだ。もちろん些細な休息などはあったのだと思うが、休日というものはなかっただろう。
「もう少し休んだ方がいいと思います」
「……騎士団長が長く離れることなどできません」
「部下を信頼することも、騎士団長として必要なことだと私は思います。ウェルド様は副団長などを信頼できませんか?」
「いえ、そのようなことはありませんが……」
「それなら、休んでも問題ないのではありませんか?」
「む……」
私の言葉に、ウェルド様は少し怯んでいた。
反論がないということは、言葉の意味がわかってもらえたということだろうか。
「……確かに、副団長は私よりも優秀な人間です。私がいなくても特に問題はないでしょうね」
「あ、いえ、私が言いたいのはそういうことではなくてですね……」
ウェルド様は、少し落ち込んでいた。
私が余計なことを言ってしまったから、彼のコンプレックスを刺激してしまったらしい。
やはり、ウェルド様には色々と弱い部分がある。そんな彼を支える人が必要だというエクティス様の言葉を、私は改めて理解するのだった。
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