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13.激昂する王女
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「最近のあなたの活躍には、目を見張るものがあります」
今日のニルーア様は、珍しく機嫌が良かった。
それが返って不気味である。彼女がそういった態度を取った初日は、結果的に嫌がらせを受けていた訳だし。
「あなたが聖女に選ばれて、本当に良かったと思っています。あなたによって、この国は大きな利益を得ている。それは紛れもない事実ですから」
「それは良かったです」
やけに私のことを褒めて讃えるのも、初日と同じだ。
彼女はきっと、何かをしようとしている。私は確信めいたものを得ていた。
ただ、今日の業務に関しては既に終わっている。明日は休みであるし、もしかして休日を返上して働けなどと言いたいのだろうか。
「そうだ、月末ということもあって、今日はあなたにこれを渡さなければなりませんね」
「これは?」
「給与の明細です」
そこでニルーア様は、一枚の紙を渡してきた。
給与の明細らしいその紙に、私は目を通していく。そして私は、固まった。そこに記されている金額が、驚くべきものだったからだ。
「こ、これだけ……?」
「おや、どうかしましたか?」
私に対する給与は、明らかに少額であった。
聖女として働くにあたって、どれくらいの報酬が得られるかは知っていた。明細に記されている額は、実にその百分の一くらいの金額だ。
嫌がらせのこともあって、私はこの一か月身を粉にして働いてきた。平気であったとはいえ、それでも疲労はしていた。この給与は、明らかに労力に見合っていない。
「こ、これは流石に低すぎませんか?」
「低い? 何がですか?」
「給与の額です。こんな少額な訳が……」
「……黙りなさい!」
私の抗議に対して、ニルーア様は机を叩いて大きな声を出した。
彼女は、私を睨みつけている。その視線には、確かな怒りが宿っていた。
「平民如きが、調子に乗らないでください。あなたなんかが聖女になっただけでも、奇跡だというのに……」
「奇跡……?」
「過ぎたる地位を得ているだけでも、あなたにとっては幸福なことでしょう。その名声だけで充分ではありませんか。むしろ、それだけの額でも感謝して欲しいくらいです。私達は、あなたに聖女という重要な地位を明け渡しているのですから」
ニルーア様は、私のことをひどく見下して言葉を発してきていた。
聖女になれたから少額でも我慢しろなんて、滅茶苦茶だ。高額な報酬を得るために、私はここまで頑張ってきたというのに。
そもそも私は、名声なんてものを享受したこともない。聖女になってからは、忌み嫌われてばかりだ。この地位に価値など感じたことはない。
私はニルーア様の言葉に、激しい怒りを覚えていた。
今日という日まで、私は一体何のために頑張ってきたのだろうか。それがわからなくなっていた。
今日のニルーア様は、珍しく機嫌が良かった。
それが返って不気味である。彼女がそういった態度を取った初日は、結果的に嫌がらせを受けていた訳だし。
「あなたが聖女に選ばれて、本当に良かったと思っています。あなたによって、この国は大きな利益を得ている。それは紛れもない事実ですから」
「それは良かったです」
やけに私のことを褒めて讃えるのも、初日と同じだ。
彼女はきっと、何かをしようとしている。私は確信めいたものを得ていた。
ただ、今日の業務に関しては既に終わっている。明日は休みであるし、もしかして休日を返上して働けなどと言いたいのだろうか。
「そうだ、月末ということもあって、今日はあなたにこれを渡さなければなりませんね」
「これは?」
「給与の明細です」
そこでニルーア様は、一枚の紙を渡してきた。
給与の明細らしいその紙に、私は目を通していく。そして私は、固まった。そこに記されている金額が、驚くべきものだったからだ。
「こ、これだけ……?」
「おや、どうかしましたか?」
私に対する給与は、明らかに少額であった。
聖女として働くにあたって、どれくらいの報酬が得られるかは知っていた。明細に記されている額は、実にその百分の一くらいの金額だ。
嫌がらせのこともあって、私はこの一か月身を粉にして働いてきた。平気であったとはいえ、それでも疲労はしていた。この給与は、明らかに労力に見合っていない。
「こ、これは流石に低すぎませんか?」
「低い? 何がですか?」
「給与の額です。こんな少額な訳が……」
「……黙りなさい!」
私の抗議に対して、ニルーア様は机を叩いて大きな声を出した。
彼女は、私を睨みつけている。その視線には、確かな怒りが宿っていた。
「平民如きが、調子に乗らないでください。あなたなんかが聖女になっただけでも、奇跡だというのに……」
「奇跡……?」
「過ぎたる地位を得ているだけでも、あなたにとっては幸福なことでしょう。その名声だけで充分ではありませんか。むしろ、それだけの額でも感謝して欲しいくらいです。私達は、あなたに聖女という重要な地位を明け渡しているのですから」
ニルーア様は、私のことをひどく見下して言葉を発してきていた。
聖女になれたから少額でも我慢しろなんて、滅茶苦茶だ。高額な報酬を得るために、私はここまで頑張ってきたというのに。
そもそも私は、名声なんてものを享受したこともない。聖女になってからは、忌み嫌われてばかりだ。この地位に価値など感じたことはない。
私はニルーア様の言葉に、激しい怒りを覚えていた。
今日という日まで、私は一体何のために頑張ってきたのだろうか。それがわからなくなっていた。
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