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20.村での一時
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予想していた通り、ラベルグ様はすぐに村に馴染んでいた。
彼は言っていた通り、困ったことがあるとなんでも手伝っていた。
ラベルグ様はきっと、それを騎士として当たり前のことだと思っているのだろう。それが前任のゼボールさんと重なって、村の人も受け入れやすかったのだろう。
「ふう……」
「ラベルグ様、お疲れ様です」
「ああ、フェルーナか。こちらこそお疲れ様と言いたい所だな。農作業をしていたのだろう?」
「ええ、流石に疲れますね。慣れているはずなのですけれど……」
聖女になる前、私は村で農家として働いていた。
父と母が残してくれた畑で、作物を育てていたのだ。
といっても、それは多くの人達の助けがあってできていたことである。いや、それは今でも変わっていない。今回に関しても、村の皆は私がいない間畑を整備してくれていた。
「慣れているというなら、俺も人助けは慣れていたはずなのだがな……いつからか、そういった心を忘れてしまっていた。今はそれを実感している」
「そうなのですか?」
「騎士団の拠点は王都だ。その王都を守れることに誇りを覚えていたものだが、今はそれが下らないものに思えてくる。こうして人々に直接寄り添える方が、騎士としての本懐を遂げられているという気がするからな」
「そういうものですか……」
ラベルグ様は、騎士というものにかなり思い入れがあるようだ。
その辺りに関しては、私にはよくわからない。ただ彼がそうだと思っているなら、そうなのだろう。
結局の所、本人がどう思うかが一番大事なのだと思っている。私のことだってそうだ。今こうして村で平和に暮らせている方が、私には性に合っている。
思えば、聖女になって幸せだと感じたことなどほとんどない。
私が聖女になって得られたものといえば、ラベルグ様やルナーラ様との繋がりくらいだろうか。
それ自体は、喜ぶべきものではある。苦しい中でも、良き出会いがあったと思う。
「フェルーナ? どうかしたのか?」
「ああいえ、なんでもありません。ふと、聖女がどうなっているのか気になっただけで」
「聖女か。まあ、色々と問題にはなっているようだが、それはもうあなたには関係がないことだ」
「……そうですね」
私は、ラベルグ様の言葉にゆっくりと頷いた。
現在、この国は聖女のことで少々揉めている。ルナーラ様が、私の後任となることを蹴ったらしいのだ。
そのことについて、私から言えることが何かあるという訳でもない。ラベルグ様も言っている通り、それはもう私には関係がないことなのだ。
彼は言っていた通り、困ったことがあるとなんでも手伝っていた。
ラベルグ様はきっと、それを騎士として当たり前のことだと思っているのだろう。それが前任のゼボールさんと重なって、村の人も受け入れやすかったのだろう。
「ふう……」
「ラベルグ様、お疲れ様です」
「ああ、フェルーナか。こちらこそお疲れ様と言いたい所だな。農作業をしていたのだろう?」
「ええ、流石に疲れますね。慣れているはずなのですけれど……」
聖女になる前、私は村で農家として働いていた。
父と母が残してくれた畑で、作物を育てていたのだ。
といっても、それは多くの人達の助けがあってできていたことである。いや、それは今でも変わっていない。今回に関しても、村の皆は私がいない間畑を整備してくれていた。
「慣れているというなら、俺も人助けは慣れていたはずなのだがな……いつからか、そういった心を忘れてしまっていた。今はそれを実感している」
「そうなのですか?」
「騎士団の拠点は王都だ。その王都を守れることに誇りを覚えていたものだが、今はそれが下らないものに思えてくる。こうして人々に直接寄り添える方が、騎士としての本懐を遂げられているという気がするからな」
「そういうものですか……」
ラベルグ様は、騎士というものにかなり思い入れがあるようだ。
その辺りに関しては、私にはよくわからない。ただ彼がそうだと思っているなら、そうなのだろう。
結局の所、本人がどう思うかが一番大事なのだと思っている。私のことだってそうだ。今こうして村で平和に暮らせている方が、私には性に合っている。
思えば、聖女になって幸せだと感じたことなどほとんどない。
私が聖女になって得られたものといえば、ラベルグ様やルナーラ様との繋がりくらいだろうか。
それ自体は、喜ぶべきものではある。苦しい中でも、良き出会いがあったと思う。
「フェルーナ? どうかしたのか?」
「ああいえ、なんでもありません。ふと、聖女がどうなっているのか気になっただけで」
「聖女か。まあ、色々と問題にはなっているようだが、それはもうあなたには関係がないことだ」
「……そうですね」
私は、ラベルグ様の言葉にゆっくりと頷いた。
現在、この国は聖女のことで少々揉めている。ルナーラ様が、私の後任となることを蹴ったらしいのだ。
そのことについて、私から言えることが何かあるという訳でもない。ラベルグ様も言っている通り、それはもう私には関係がないことなのだ。
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