「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗

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31.これからのために

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「なんだか、大変なことになってしまいましたね……まあ、身から出た錆である訳ですが」
「あなたが悪い訳ではないだろう。全ての始まりは、ニルーア殿下だ……というよりも、この国の上層部が腐ったことが原因だったといえる」
「そうですね。でもまあ、私から喧嘩を売った部分もありますから」

 ニルーア様が去った後、私はラベルグ様と話をしていた。
 あの王女殿下がああ言っていた以上、この村は襲われることになるだろう。
 そのことについて、村の皆は不安を感じている。気丈に振る舞っていたが、それは間違いない。

 当然のことながら、村は守り切ってみせる。それは、そこまで難しいことという訳でもない。私ならできることだ。
 この辺境の村では、基本的に自給自足で生活している。物資の供給が絶たれても問題はないだろう。

 とはいえ、周辺の村などの交流などがなければ、衰退していくだけだ。
 その辺りに関しては、なんとかしなければならない。ただそれも、そこまで難しくはないような気がする。この国では王族に対して、反感を持っている人の方が多い。特に私のことなどには、怒りを覚えて味方してくれるのではないだろうか。

「まあ、楽観的なことは言えませんからね……とりあえずニルーア様を追いかけることにします」
「追いかける?」
「脅しをかけるんです。怒ったまま返すよりは、多分その方が良いと思います。何もしてこないなら、それが一番いいですからね」
「まあ、一度その手が通じている訳だし、その方が良いか」

 ニルーア様は、私と本気でやり合うつもりであるだろう。怒ったまま帰っていったし、彼女ならそうすると思っている。
 ただ、それはこのまま帰した場合の話だ。もう一度脅してみれば、案外彼女も戦意を失うかもしれない。意外と、小心者であるようだし。

「そういうことなら、俺も同行するとしよう。何があるかわからないからな……もっとも、あなたなら一人でも問題はないかもしれないが」
「いいえ、心強いですよ」
「……さて、それは良いのだがこの石化した者達はどうするのだ?」
「ああ……」

 追う段取りをしている最中、ラベルグ様は石化した者達のことを指摘してきた。
 それについては、どうするべきか迷っている。ニルーア様などに連れて帰ってもらいたかったのだが、それは無理な話だっただろうか。

「とりあえず今は、放っておきましょうか。ニルーア様のことが優先です」
「意識などはあるのか?」
「単純な石化は、優れた魔法使い程意識が保てると言われています。まあ、この人達は王城で働いていた訳ですから……」
「悲惨なものだな……」

 石像のことは、とりあえず後で考えることにした。
 今はとにかく、ニルーア様を追わなければならない。彼女達のことを考えている暇はないのだ。
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