身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。

木山楽斗

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14.一区切りついて

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 アルガール侯爵の葬儀から数日が経った後、私はオンラルト侯爵家の屋敷でお父様とお茶をしていた。
 中庭で紅茶を楽しむのは、なんだか随分と久し振りのような気がする。ここ最近は、本当に色々なことがあったので、こんな風に穏やかに話す機会には恵まれなかった。

「なんというか、ようやく一段落といった所か」
「アルガール侯爵の件に関しては、そうだと思います。ですが、まだ私の身の振り方が決まっていません」
「ああ、そうだったな……いや、もちろんそれはわかっている」

 お父様の様子に、私は思わず笑ってしまう。
 親友の葬儀というのは、お父様の中で本当に大切なものだったのだろう。一区切りがついたことで、今では元気をそれなりに取り戻している。
 娘としてそれは安心できることだ。アルガール侯爵が亡くなったからだろうか。最近はなんだか、父の心配をしていることが多い気がする。

「とはいえ、実の所それはあまり心配していない。葬儀で会ってわかったが、彼は噂とは違う人間であるらしい。それに、仲良さそうに話していた所から考えると、お前とも気が合う人だということだろう?」
「気が合う……それは、どうなのでしょうか? まあ確かに、話しやすいような気はしますけど……」
「それが、気が合うということさ」

 バルギード様と私の相性は、多分悪くないのだろう。自分でも話しやすいと思っているし、お父様もこう言っているのだからそれは間違いなさそうだ。
 それなら、婚約を受け入れるべきなのかもしれない。彼はランドラ様とは違って、まともな人であることはもうわかっているので、特に問題はないように思える。

「……参考までに聞かせていただきたいのですが、お父様はどうだったのですか?」
「ふむ? どうとは?」
「お母様とのことです」
「ああ、そういうことか……」

 私の質問に、お父様は苦笑いを浮かべた。
 お母様とのことを話すのは、やはり恥ずかしいのだろうか。
 だがそれは、是非とも聞いてみたいことである。私の知っている限り、二人は良好な関係を築いていたように思えるからだ。

「仲は悪くないと思っている。向こうがどう思っているかはわからないが、少なくとも気が合わないということはないだろう。とはいえ、彼女は奔放な性格だからね。本当なら、一緒に騒げるような人間の方が合っているのではないだろうか」
「そうでしょうか? お母様は隣に立ってくれるよりも、誰かを引っ張っている方が好きなような気がしますけれど……」
「もしもそうならいいが……さて、丁度話も出たことだし、こちらも読んでおこうか」
「あ、はい。そうですね」

 そこでお父様は、懐から二通の手紙を取り出した。
 それらの手紙が届くのは、ここ最近の定番である。遠くで暮らす二人の家族は、ほぼ必ず同じタイミングで手紙を送ってくるのだ。
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