刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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25.変身の謎③

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 私とリルフは、しばらくの間遊んだ。気づくと、既に夕方である。
 この時間帯は、最もお客さんが来る可能性が高い。そのため、私はとりあえず様子を見に行くことにした。
 置いていくと寂しがると思って、リルフも連れて行くことにする。私の胸の中で大人しくしてくれているので、お客さんに迷惑をかけたりはしないだろう。

「あら? フェリナ……うん? あれ? リルフが、元の姿に戻っている?」
「あ、はい。また、こっちの姿になったんです」
「へえ……不思議なものね」
「ええ、不思議なものなんです」
「ピピィ」

 受付に行くと、エルッサさんが困惑した。当然のことではあるが、リルフが元の姿に戻ったことに驚いているようだ。
 そんな様子を見ていて、私はあることを理解した。これだけ余裕そうだということは、今日はまだお客さんが来ていないのだろう。

「エルッサさん、お客さんは?」
「ええ、来ていないわ。まあ、まだ来る可能性はあるけど……正直、低いような気がするわね」
「まあ、常連さんは来る次期が決まっていますからね。それに、事前に連絡があることも多いですし」
「そうなのよ……」

 この宿屋には、常連さんがいる。決まった時期に、このアルバナスへ仕事に来る人がいるのだ。
 実は、昨日ここを利用していた人達は、そういう人達だった。あの人達が来るのは、大体一か月後になるだろうか。
 何かあって、急に来ることになることもあるが、そういう時にもあの人達は事前に手紙を出してくる。そのため、急に来ることは少ないのだ。

「突発的なお客さんは、滅多にないですよね?」
「まあ、この町には観光地もないからね」
「旅人さんが来るかどうかという所でしょうか?」
「ええ、そんな所ね」

 ここに突発的に来る可能性があるのは、旅人くらいである。そういう旅人は、年に十人くらいしか来ない。来る可能性は、とても低いのだ。
 つまり、この宿は町で仕事をする人々のためのものであるといっても、いいくらいの宿である。幸い、そういう人達が必ず利用するので、この商売は成り立っている。ただ、もう少しお客さんが来て欲しいと、従業員としては思う所だ。

「まあ、お客さんが来すぎても、大変だからね。私とあなただけでなんとかなっているのも、お客さんが少ないからだし……」
「お客さんが少ないから、二人だけともいえるのでは?」
「それは……言わない約束というものよ」

 私の言葉に、エルッサさんは複雑な顔をする。こういう話をすると、いつも少しだけ悲しい空気になってしまうのだ。
 という訳で、この話はやめるべきだろう。もっと、明るい話題に切り替えるべきである。
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