公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗

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届いてきた手紙(お母様視点)

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 ルネリアがこのラーデイン公爵家に来てから、色々なことが変わった。
 私と夫との関係はもちろんのこと、彼女は兄弟達にも影響を与えている。イルフェアは最近以前にも増して明るくなったし、ウルスドは慈善事業や貴族としての役割に興味を持つようになった。さらに、エルーズも自身の体質を改善しようと努力するといってくれた。
 私にとって、それらは嬉しいことばかりだ。

「手紙?」
「ええ、そのようです」

 そんな風なことを思っている私の元に、とある知らせが届いてきた。それは、ルネリアがかつていた村から届いた知らせだ。

「つまり、あの子の母親が残していた手紙が見つかったの? その手紙の宛名が……」
「はい、奥様に宛てた手紙であるようです」
「なんてことなの……」

 メイドから伝えられた事実に、私は動揺していた。
 正直言って、私はルネリアの母親にはいい印象を抱いていない。あの子のことは別だと割り切れても、流石に彼女の母親まで許容できる訳ではないのだ。
 そんな彼女が、私に手紙を残していた。それに、私は混乱する。どうして、そんなものを書いたのだろうか。私に何を伝えようというのだろうか。

「……その手紙を、こちらに渡してもらえるかしら?」」
「奥様、大丈夫ですか?」
「ええ……大丈夫よ」
「……それでは、こちらです」
「ありがとう」

 私は、メイドから手紙を受け取った。封筒に包まれたその手紙には厚い。どうやら、それなりの文章量のようだ。
 その手紙を読まないという選択肢もあるだろう。しかし、私はその手紙を読むべきだと思った。
 理由は、自分でもよくわからない。もしかしたら、私の中にもう会うこともない因縁の相手に対する興味が、そうさせたのかもしれない。

「席を外してもらえるかしら?」
「……はい、失礼します」

 メイドが部屋を出るのを見届けてから、私はゆっくりと椅子に座る。

「アフィーリア様へ、ね……え?」

 私は、思わず手紙の封筒を二度見していた。そこには、私の名前が刻まれている。別におかしなことではない。私に宛てた手紙なのだから、私の名前があるのは当然だろう。
 しかし、疑問がある。この手紙の書いたルネリアの母親は、どうしてわざわざ私の名前を書いたのだろうか。例えば、ラーデイン公爵夫人と書くこともできたはずなのに。
 そもそも、彼女はどうして私の名前を知っているのだろうか。調べたのかもしれないが、わざわざそんなことをするだろうか。

「まあ、些細なことよね……」

 色々と疑問はあったが、私は手紙の中身を見てみることにした。もしかしたら、その疑問の答えが、そこにあるかもしれないからだ。
 少し緊張しながらも、私は封筒を開ける。すると、何枚もの紙が入っていた。これが全て、私への手紙なのだろうか。かなりの量である。

「……なんですって?」

 私は一番上に入っていた手紙を読んだ。そして、そこに書いている内容に驚愕する。
 そこには、ルネリアの母親の素性が記されていた。彼女の名前は、私がそれまで聞いていた名前とは異なるものだった。
 そして、その名前は私がよく知っている名前だったのだ。
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