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15.盛り上がる話題は(モブside)
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ミルガスは、オルファン侯爵家の屋敷に来ていた。
マードレッド侯爵家の面々に自自身の判断を否定された彼は、家にいる気分になれなかった。よって婚約者であるイルミナに頼んで、そちらの屋敷に滞在させてもらうことにしたのである。
イルミナは、彼からの申し出を快く受け入れてくれた。彼女の両親も反対していない。故にミルガスは、自分がオルファン侯爵家に認められたと感じていた。
「しかし、君の姉であるアルティア嬢とは随分と大胆なものなのだな?」
「あの人のことが、どうかしましたか?」
「いや、僕に婚約破棄されて、まさか家から出るなんて、なんとも愚かな話ではないか」
「ああ、それはそうですね。本当に、あの人は愚かな人です」
与えられた客室にイルミナを招いたミルガスは、アルティアに関することを口にした。
彼にとって、彼女と盛り上がることができる話とは、それだったのだ。イルミナは姉のことをひどく見下しており、彼女の罵倒には乗ると、ミルガスは思っていた。
しかし、イルミナの反応は思っていたものとは違った。彼女の口調というものは、明らかに盛り下がっているのだ。
「……でも、あの人のことなんてもう良いではありませんか?」
「もう良い? それはどういうことだ?」
「あんな人の話をする必要は、ないということです。ミルガス様も忘れてください。そもそも私に、姉なんていないのですから」
イルミナの言葉に、ミルガスは面食らっていた。
自分の言葉が否定されると、彼は思っていなかったのだ。
だが、事実としてイルミナから反発があった。それにミルガスは、少し機嫌を損ねる。彼にとって、自分の都合が良いようにことが運ばないことは、ひどく不快なものであったのだ。
「もちろん、僕もあの女のことなんてそこまで気にしてはいない。だが、忘れるということには無理があるだろう。オルファン侯爵家の血を引く彼女のことは、僕達のこれからのためにも考えておく必要がある」
「考えておく必要? そんなものはありません。あの人はもう、オルファン侯爵家の一員ではないのですから」
「……待て。もしかして、君は彼女の現在の所在などを把握してはいないのか?」
「……何故、あの人の所在なんてものを気にする必要があるのですか?」
自分の言葉に目を丸めるイルミナを見て、ミルガスは息を呑むことになった。
オルファン侯爵家から出たとはいえ、アルティアのことは把握しておくべきである。彼女が血を引く以上、それは必要なことだ。ミルガスはそう認識している。
そうイルミナが認識していないことに、ミルガスは焦ることになった。アルティアのことを一切見ないようにしている彼女に、彼は大きなずれを感じたのだ。
マードレッド侯爵家の面々に自自身の判断を否定された彼は、家にいる気分になれなかった。よって婚約者であるイルミナに頼んで、そちらの屋敷に滞在させてもらうことにしたのである。
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「しかし、君の姉であるアルティア嬢とは随分と大胆なものなのだな?」
「あの人のことが、どうかしましたか?」
「いや、僕に婚約破棄されて、まさか家から出るなんて、なんとも愚かな話ではないか」
「ああ、それはそうですね。本当に、あの人は愚かな人です」
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彼にとって、彼女と盛り上がることができる話とは、それだったのだ。イルミナは姉のことをひどく見下しており、彼女の罵倒には乗ると、ミルガスは思っていた。
しかし、イルミナの反応は思っていたものとは違った。彼女の口調というものは、明らかに盛り下がっているのだ。
「……でも、あの人のことなんてもう良いではありませんか?」
「もう良い? それはどういうことだ?」
「あんな人の話をする必要は、ないということです。ミルガス様も忘れてください。そもそも私に、姉なんていないのですから」
イルミナの言葉に、ミルガスは面食らっていた。
自分の言葉が否定されると、彼は思っていなかったのだ。
だが、事実としてイルミナから反発があった。それにミルガスは、少し機嫌を損ねる。彼にとって、自分の都合が良いようにことが運ばないことは、ひどく不快なものであったのだ。
「もちろん、僕もあの女のことなんてそこまで気にしてはいない。だが、忘れるということには無理があるだろう。オルファン侯爵家の血を引く彼女のことは、僕達のこれからのためにも考えておく必要がある」
「考えておく必要? そんなものはありません。あの人はもう、オルファン侯爵家の一員ではないのですから」
「……待て。もしかして、君は彼女の現在の所在などを把握してはいないのか?」
「……何故、あの人の所在なんてものを気にする必要があるのですか?」
自分の言葉に目を丸めるイルミナを見て、ミルガスは息を呑むことになった。
オルファン侯爵家から出たとはいえ、アルティアのことは把握しておくべきである。彼女が血を引く以上、それは必要なことだ。ミルガスはそう認識している。
そうイルミナが認識していないことに、ミルガスは焦ることになった。アルティアのことを一切見ないようにしている彼女に、彼は大きなずれを感じたのだ。
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