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48.彼とともに
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「……オルファン侯爵、イルミナ嬢の出自には疑いがありますが、それはあなたの行いに対して手心を加える理由にはなりません」
「ル、ルーアス殿下、お待ちください。私は……」
「これ以上、あなたと話すつもりはありません。それは有意義な時間になり得ない」
私とのやり取りを見届けた後、ルーアス殿下はお父様に言葉をかけた。
その言葉からは、どこか突き放すような意図が感じられる。いや、実際にそうなのだろう。お父様とこれ以上話すのは、時間の無駄なのだから。
ルーアス殿下は、ホラリーナ様の方に視線を向けた。彼女は先程から黙っている。色々な事情から、言葉を発するのを躊躇っているようだ。
「ホラリーナさん、あなたにどのような意図があったかは知りませんが、あなたの行動によってオルファン侯爵は大きく揺るぐことになりました。この国を統治する者の一人として、その行動は快いものではありません」
「そ、それは……」
「あなたにも然るべき罰は受けてもらいます」
「う、くっ……」
ルーアス殿下の言葉に、ホラリーナ様は言葉を詰まらせていた。
そのまま彼女は、ゆっくりと項垂れる。今回の件が、かなり堪えているようだ。それがその表情から伝わってくる。
そんな彼女のことを気にせず、ルーアス殿下はイルミナの方に目を向けた。次は彼女に言葉をかけるつもりなのだろう。
「ふふっ……」
「……イルミナ嬢?」
そこでイルミナは、笑みを浮かべた。それは生気のない乾いた笑みだ。
今までお父様に夢中で気付いていなかったが、イルミナも自らの出自に関しては、強いショックを受けていたようである。
それは、当然のことかもしれない。今まで自分が信じてきたものが崩れ去れば、誰だってそうなることだろう。
「私は一体……」
「……今のあなたとも有意義な話はできないか」
イルミナを見ながら、ルーアス殿下は首を横に振った。
確かに今の彼女は、まともに話ができる状態ではない。恐らく、こちらの言葉も聞こえていないだろう。今はそっとしておくべきなのかもしれない。
「……アルティア嬢、これからのことについては話していた通りに進めるつもりだ。あなたもそれで構わないな?」
「あ、はい」
「オルファン侯爵家のことはあなたに任せる――と私が言うのはおかしな話か」
「いいえ、任せてください。私がオルファン侯爵家を正しき道に戻してみせます」
ルーアス殿下の言葉に対して、私は力強く頷く。
オルファン侯爵家には、色々なことがあった。今その評価というものは、地に落ちているとさえいえるだろう。
そんな家を建て直すために、これから私は頑張らなければならない。ただ、それ程悲観していない。
「……一緒に頑張りましょう、アルティア嬢」
「ええ、よろしくお願いします、フレイル様」
私はフレイル様と、そのように言葉を交わした。
私には、フレイル様という心強い味方がいてくれる。だからきっと、大丈夫だ。これからの困難も、乗り越えていける。
そう思いながら、私はフレイル様と笑い合うのだった。
END
「ル、ルーアス殿下、お待ちください。私は……」
「これ以上、あなたと話すつもりはありません。それは有意義な時間になり得ない」
私とのやり取りを見届けた後、ルーアス殿下はお父様に言葉をかけた。
その言葉からは、どこか突き放すような意図が感じられる。いや、実際にそうなのだろう。お父様とこれ以上話すのは、時間の無駄なのだから。
ルーアス殿下は、ホラリーナ様の方に視線を向けた。彼女は先程から黙っている。色々な事情から、言葉を発するのを躊躇っているようだ。
「ホラリーナさん、あなたにどのような意図があったかは知りませんが、あなたの行動によってオルファン侯爵は大きく揺るぐことになりました。この国を統治する者の一人として、その行動は快いものではありません」
「そ、それは……」
「あなたにも然るべき罰は受けてもらいます」
「う、くっ……」
ルーアス殿下の言葉に、ホラリーナ様は言葉を詰まらせていた。
そのまま彼女は、ゆっくりと項垂れる。今回の件が、かなり堪えているようだ。それがその表情から伝わってくる。
そんな彼女のことを気にせず、ルーアス殿下はイルミナの方に目を向けた。次は彼女に言葉をかけるつもりなのだろう。
「ふふっ……」
「……イルミナ嬢?」
そこでイルミナは、笑みを浮かべた。それは生気のない乾いた笑みだ。
今までお父様に夢中で気付いていなかったが、イルミナも自らの出自に関しては、強いショックを受けていたようである。
それは、当然のことかもしれない。今まで自分が信じてきたものが崩れ去れば、誰だってそうなることだろう。
「私は一体……」
「……今のあなたとも有意義な話はできないか」
イルミナを見ながら、ルーアス殿下は首を横に振った。
確かに今の彼女は、まともに話ができる状態ではない。恐らく、こちらの言葉も聞こえていないだろう。今はそっとしておくべきなのかもしれない。
「……アルティア嬢、これからのことについては話していた通りに進めるつもりだ。あなたもそれで構わないな?」
「あ、はい」
「オルファン侯爵家のことはあなたに任せる――と私が言うのはおかしな話か」
「いいえ、任せてください。私がオルファン侯爵家を正しき道に戻してみせます」
ルーアス殿下の言葉に対して、私は力強く頷く。
オルファン侯爵家には、色々なことがあった。今その評価というものは、地に落ちているとさえいえるだろう。
そんな家を建て直すために、これから私は頑張らなければならない。ただ、それ程悲観していない。
「……一緒に頑張りましょう、アルティア嬢」
「ええ、よろしくお願いします、フレイル様」
私はフレイル様と、そのように言葉を交わした。
私には、フレイル様という心強い味方がいてくれる。だからきっと、大丈夫だ。これからの困難も、乗り越えていける。
そう思いながら、私はフレイル様と笑い合うのだった。
END
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