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100.きっとこれからも
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「おはようございます、イルリア嬢」
「おはようございます、マグナード様」
私とマグナード様は、朝の挨拶を交わした。
隣の席で、彼は背筋を伸ばして座っている。そういった仕草は、一学期の時と何ら変わらない。
「今日から二学期ですか。なんというか、少しやる気が出ませんね」
「マグナード様がそのように言うなんて、驚きです。まあ、その意見には同意しかないのですが」
「イルリア嬢と過ごす時間が、とても楽しかったですからね。魔法学園では、こうして教室で顔を合わせることしかできません。それが今から、少し億劫です」
私とマグナード様は、夏休みをそれなりに長い時間一緒に過ごした。
しかし、魔法学園ではそういう訳にはいかない。寮暮らしであり、異性の寮に入ることができない以上、会えるのは学び舎の中だけになる。
「放課後もぎりぎりまで一緒に過ごしましょう。もっとも、それでも一目はありますから、大胆なことはできませんが……」
「いいえ、それでもイルリア嬢と一緒に過ごせる時間が今は欲しいですね。まだ夏休みの気分が抜けていませんから、少なくともこちらの生活に慣れるまでは、そういった時間を増やしていくとしましょう」
私達の気持ちは、概ね同じだといえるだろう。
夏休みという時間を一緒に過ごせたことは、幸せなことだったといえる。
だが、その時間は幸せ過ぎたのかもしれない。このままでは、学園生活に支障が出てしまいそうだ。
ただ、それではいけないことは、私もマグナード様もわかっている。
私達はルヴィード子爵家を背負うためにも、この学園でしっかりと学ばなければならない。決して、恋愛にうつつを抜かしてばかりではならないのだ。
「……まあ後は、今学期を平和に過ごせることを願うべきでしょうね。ただでさえ、私とマグナード様の関係が公表されたことによって、鋭い視線を感じますし」
「イルリア嬢……あなたのことは、僕が守ります」
「ええ、特に心配はしていません。マグナード様のことは、信頼していますから。でも、何もないにこしたことはないですからね」
「それはまあ、そうだとしか言いようがありませんね」
一学期の時から考えて、今後私の身に何かしらの火の粉がかかってくる可能性はあるだろう。
そうならないことを祈っているのだが、それは中々に難しいことなのかもしれない。恋愛的な事柄から貴族としての事柄まで、敵を作る理由がいくらでもあってしまうからだ。
しかしそれでも、きっと大丈夫だろう。
隣にいる彼は、私のことを必ず守ってくれる。これからも、ずっと。
END
「おはようございます、マグナード様」
私とマグナード様は、朝の挨拶を交わした。
隣の席で、彼は背筋を伸ばして座っている。そういった仕草は、一学期の時と何ら変わらない。
「今日から二学期ですか。なんというか、少しやる気が出ませんね」
「マグナード様がそのように言うなんて、驚きです。まあ、その意見には同意しかないのですが」
「イルリア嬢と過ごす時間が、とても楽しかったですからね。魔法学園では、こうして教室で顔を合わせることしかできません。それが今から、少し億劫です」
私とマグナード様は、夏休みをそれなりに長い時間一緒に過ごした。
しかし、魔法学園ではそういう訳にはいかない。寮暮らしであり、異性の寮に入ることができない以上、会えるのは学び舎の中だけになる。
「放課後もぎりぎりまで一緒に過ごしましょう。もっとも、それでも一目はありますから、大胆なことはできませんが……」
「いいえ、それでもイルリア嬢と一緒に過ごせる時間が今は欲しいですね。まだ夏休みの気分が抜けていませんから、少なくともこちらの生活に慣れるまでは、そういった時間を増やしていくとしましょう」
私達の気持ちは、概ね同じだといえるだろう。
夏休みという時間を一緒に過ごせたことは、幸せなことだったといえる。
だが、その時間は幸せ過ぎたのかもしれない。このままでは、学園生活に支障が出てしまいそうだ。
ただ、それではいけないことは、私もマグナード様もわかっている。
私達はルヴィード子爵家を背負うためにも、この学園でしっかりと学ばなければならない。決して、恋愛にうつつを抜かしてばかりではならないのだ。
「……まあ後は、今学期を平和に過ごせることを願うべきでしょうね。ただでさえ、私とマグナード様の関係が公表されたことによって、鋭い視線を感じますし」
「イルリア嬢……あなたのことは、僕が守ります」
「ええ、特に心配はしていません。マグナード様のことは、信頼していますから。でも、何もないにこしたことはないですからね」
「それはまあ、そうだとしか言いようがありませんね」
一学期の時から考えて、今後私の身に何かしらの火の粉がかかってくる可能性はあるだろう。
そうならないことを祈っているのだが、それは中々に難しいことなのかもしれない。恋愛的な事柄から貴族としての事柄まで、敵を作る理由がいくらでもあってしまうからだ。
しかしそれでも、きっと大丈夫だろう。
隣にいる彼は、私のことを必ず守ってくれる。これからも、ずっと。
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