八つ当たりで、聖女をクビになりました。失恋した王子の乱心によって、王国は危機的状況です。

木山楽斗

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第13話 数年前の戦い

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 今から十年程前、レバデイン王国は、ある者達と戦っていた。
 悪魔。それは、異界から現れた異形の者達である。
 彼らは、とある理由から人間を攻めてきた。それにより勃発した戦いは悪魔大戦と呼ばれており、今の人々の記憶に鮮明に残っている。

「悪魔達の目的は、今から遥か昔に封印された魔神と呼ばれる者達の復活でした。その魔神達が封印されている場所に、ディルトレイはかなり近い」
「かつて悪魔が目覚めさせようとした魔神を、スルーガ様は復活させようとしているのでしょうか? いくらなんでも、そんなことは……」
「今、彼がその地に行く理由が他に見当たらないのです。振られて、自暴自棄になり、魔神を目覚めさせる破滅の道を選んだ。そう考えることが、できてしまうのです」

 セルトス様の言葉は、説得力があった。
 振られたスルーガ様は、私をクビにする程、乱心している。そんな彼が、そういう思考になる可能性は充分にあるだろう。
 だが、スルーガ様もあの戦いの悲惨さは記憶に刻まれているはずだ。それなのに、その原因となった者達を目覚めさせるなどあり得るのだろうか。

「もし仮に、彼が魔神を目覚めさせたなら、今は大人しくしている悪魔達も再び動き出すかもしれません。そうなると、第二次悪魔大戦が勃発します。それは、なんとしても阻止しなければなりません」
「第二次悪魔大戦……」

 セルトス様の口にした言葉に、私は思わず震えてしまった。
 私や孤児院の皆の家族を奪った戦い。それがまた起こるなど、考えたくないことである。
 また多くの命が奪われることになるだろう。絶対に避けなければならないことだ。



◇◇◇



 私達は、マルグが今住んでいる町、ディルトレイに来ていた。
 先に出て行ったスルーガ様は、私達より先にこの町に着いているはずだ。
 という訳で、私達はスルーガ様を探している。兵士達も数名連れて来ているが、私も町の中を駆けまわっていた。一人でも多くが探した方が、早いと思ったからだ。
 それは、スルーガ様が魔神を目覚めさせようとしているかもしれないという不安からの行動である。どちらにしても、早く彼を見つけたいのだ。

「リステラ! 大変だ!」
「マルグ! どうかしたの?」
「第三王子が、町の外に出っていったらしい! しかも、それは……」
「わかった。早く、セルトス様と合流しよう」

 そんな私に、マルグが焦った様子で声をかけてきた。
 どうやら、スルーガ様の情報を得たようだ。町の外に向かっている。それは、悲報としかいいようがない。
 いよいよ、セルトス様の言葉が現実味を帯びてきた。彼は、本当に魔神を目覚めさせようとしているのかもしれない。

「くそっ……第三王子という奴は、どこまで馬鹿なんだ。性格が悪いのかもしれないが、これは明らかにそれを越えているぜ」
「うん……褒められた人間ではなかったけど、ここまでするなんて……」

 私達は必死に走った。
 とにかく、スルーガ様を止めなければならない。その一心で。
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