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8.主人への報告(モブ視点)
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「その……それで、明日奥様は友人に会うためにお出掛けするそうなんですが」
「ふむ……」
メイドのサラティナは、主人であるアルフェルグにとある事実を伝えていた。
それは、アルフェルグの妻であるラフィティアから頼まれた伝言を伝えに来ただけ、という訳ではない。実の所、彼女はそれ以上のことを主人に伝えている。
「そのお相手の方、恐らく男性なんです。差出人を見ましたが、女性の名前とは思えませんでした……」
「異性の友人か……」
「ええ、そうなりますね……」
サラティナからの報告に、アルフェルグはその表情を少しだけ歪めていた。
その表情を見ながら、サラティナは考える。この事実を伝えるべきだったのかどうかということを。
サラティナは、アルフェルグによって雇われているメイドである。そのため、主人に事実を伝えることがおかしいことという訳ではない。
ただ、ともに過ごす時間が長いラフィティアにも義理は感じていた。故に、秘密にすることも考えていたのである。
ただ、悩んだ結果、彼女は話すことを選んだ。
いくら情があるといっても、いや情があるからこそ、ラフィティアの不貞を見逃すわけにはいかなかったのである。
「まあ、あり得ない話という訳ではないだろうが……」
「ええ、それも考えたんです。奥様は、なんだかとても軽い感じでしたし……でも、そうだとしたらそれはそれで問題だと思うんです。異性に対する意識が薄い訳ですからね」
サラティナは、もう一つの可能性についても考えていた。
ただ、どちらにしても伝えるべきだと結論を出した。アルフェルグの助力が、必須であると考えたのである。
そのアルフェルグは、考えるような表情をしていた。彼としても、この事実は重く受け止めざるを得ないようだ。
「あまり気は進まないが……ラフィティアに尾行をつけるしかないか」
「尾行、ですか?」
「ああ、明日君達で事実を確かめてくれ」
そこでサラティナは、隣にいる執事のドライトと顔を見合わせた。
アルフェルグの身の周りのお世話を担当している彼は、気まずそうな笑みを浮かべている。
「仕方ないか。サラティナ、明日はよろしく頼む」
「ええ、重要な役割ですからね。一緒に頑張りましょう」
サラティナもドライトも、気持ちは同じだった。
ラフィティアに申し訳ないと、思っているのである。
しかしそれでも、尾行は遂行しなければならなかった。主人からの命令ではあるし、何よりラフィティア自身のためにも、それは必要なことなのだ。
「ふむ……」
メイドのサラティナは、主人であるアルフェルグにとある事実を伝えていた。
それは、アルフェルグの妻であるラフィティアから頼まれた伝言を伝えに来ただけ、という訳ではない。実の所、彼女はそれ以上のことを主人に伝えている。
「そのお相手の方、恐らく男性なんです。差出人を見ましたが、女性の名前とは思えませんでした……」
「異性の友人か……」
「ええ、そうなりますね……」
サラティナからの報告に、アルフェルグはその表情を少しだけ歪めていた。
その表情を見ながら、サラティナは考える。この事実を伝えるべきだったのかどうかということを。
サラティナは、アルフェルグによって雇われているメイドである。そのため、主人に事実を伝えることがおかしいことという訳ではない。
ただ、ともに過ごす時間が長いラフィティアにも義理は感じていた。故に、秘密にすることも考えていたのである。
ただ、悩んだ結果、彼女は話すことを選んだ。
いくら情があるといっても、いや情があるからこそ、ラフィティアの不貞を見逃すわけにはいかなかったのである。
「まあ、あり得ない話という訳ではないだろうが……」
「ええ、それも考えたんです。奥様は、なんだかとても軽い感じでしたし……でも、そうだとしたらそれはそれで問題だと思うんです。異性に対する意識が薄い訳ですからね」
サラティナは、もう一つの可能性についても考えていた。
ただ、どちらにしても伝えるべきだと結論を出した。アルフェルグの助力が、必須であると考えたのである。
そのアルフェルグは、考えるような表情をしていた。彼としても、この事実は重く受け止めざるを得ないようだ。
「あまり気は進まないが……ラフィティアに尾行をつけるしかないか」
「尾行、ですか?」
「ああ、明日君達で事実を確かめてくれ」
そこでサラティナは、隣にいる執事のドライトと顔を見合わせた。
アルフェルグの身の周りのお世話を担当している彼は、気まずそうな笑みを浮かべている。
「仕方ないか。サラティナ、明日はよろしく頼む」
「ええ、重要な役割ですからね。一緒に頑張りましょう」
サラティナもドライトも、気持ちは同じだった。
ラフィティアに申し訳ないと、思っているのである。
しかしそれでも、尾行は遂行しなければならなかった。主人からの命令ではあるし、何よりラフィティア自身のためにも、それは必要なことなのだ。
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