妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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18.気が引けるが

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 私は、リオネル様とともに馬車に乗っていた。
 彼の発案で、デュオーラム伯爵家を訪ねることになったのである。
 それは私にとって、少々気が引けることでもあった。婚約破棄した相手の家を訪ねるなんて、まずしたくないことである。

「といっても、今回は訪問を快く受け入れてもらえましたよ。そもそも、デュオーラム伯爵夫妻はアルリア嬢の婚約破棄を非難したりしていなかったのでしょう?」
「ええ、まあ、そうですね……ですが、それでも気が引けます。それはもう、仕方ないことではないでしょうか?」

 私は婚約破棄を宣言した後、デュオーラム伯爵夫妻と話すことになった。
 二人の反応は、同じようなものだった。仕方ないことだと、そう言ってくれたのだ。恐らく、チャルリオ様の状態を考慮してくれたのだろう。
 それは私にとっては、とてもありがたいことである。ただ、同時に申し訳がない。私はそんな良い人達を、裏切ったのだから。

「しかしそれでも、行くことを決断したのでしょう?」
「はい。やっぱり、トゥーリア嬢も含めた三人のことが心配ですからね。今は私も、結構身軽な訳ですし……」
「消極的なのか大胆なのか、よくわかりませんね。でも、そこがアルリア嬢の良い所だと僕は思います」
「それは、皮肉みたいなことですか?」
「いいえ、本心からそう思っていますよ。それは本当です」

 リオネル様は、私に対して苦笑いを浮かべていた。
 彼は私がその思いを察していると言ってから、ずっとこんな感じだ。
 一体どうしてしまったのだろうか。私のことを嫌いになったとか。そういう訳ではなさそうだし、よくわからない。

「まあ、結局の所本人達に話を聞く以上にできることはありませんからね。行くという判断をしたのは、間違ってはいないでしょう」
「そうですね……というか、そういうことならリオネル様だって同じでしょう?」
「え?」
「トゥーリア嬢のことが心配だから、デュオーラム伯爵家を訪ねようとしているのではありませんか?」
「ああ、いや、それは……まあ、それもありますが、最も重要なことは違いますね」

 私の言葉を、リオネル様は誤魔化してきた。
 なんというか、その誤魔化し方は下手だ。そんなことでは、私はまったく騙せない。
 要するにリオネル様も、トゥーリア嬢を助けたいということなのだろう。そうでなければ、わざわざ自らデュオーラム伯爵家を訪ねようなんて、思わないはずだ。

「リオネル様素直ではないのですね? 少し意外です」
「いえ、僕は結構素直ですよ?」

 そのようにやり取りをしながら、私達は馬車で進んで行くのだった。
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