妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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46.判断すべきは

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「どうされますか? トゥーリア嬢……」
「その判断は、私にはできません。お父様やお母様に聞かないと……」
「なるほど、確かにそれが道理ですか……わかりました。それでは俺はそれをお待ちしましょう」

 レーゼル様の言葉に対して、トゥーリア嬢は無難な回答を返した。
 デュオーラム伯爵夫妻の判断を仰ぐのは、間違ってはいない。これは、家としての問題だ。トゥーリア嬢だけの独断で決められることではないだろう。
 それにレーゼル様は、納得しているようだった。ただ結局の所、彼の意見は取り下げられた訳ではない。チャルリオ様の命は、揺れているのだ。

「……お兄様を連れて行ってください」
「あ、はい」

 トゥーリア嬢は、使用人に指示を出してチャルリオ様を連れて行かせた。
 彼はその間も、特に動いたりしていない。トゥーリア嬢に拒絶されたことで、まだ意気消沈しているようだ。もしかしたら先程の会話すらも、聞いていなかったかもしれない。
 そのまま彼は、使用人によって連れて行かれた。しっかりと拘束されるだろうし、これでとりあえず一安心だ。

「ふう……」
「トゥーリア嬢、大丈夫ですか?」
「ええ、問題ありません」

 チャルリオ様がその場から去った後、トゥーリア嬢はその場にうずくまった。
 その頬の傷は、確実にチャルリオ様からつけられた時よりも悪化している。彼につけられた傷を自分でなぞったのだから、間違いない。
 救急箱を頼んだメイドさん達は、まだ戻って来ていなかった。もうすぐ戻ってくるとは思うが、本当にトゥーリア嬢は大丈夫だろうか。

「無茶なことをしましたね……」
「自分でもそう思っています。だけど、いいのです。これは私がお兄様に打ち勝った証ですから」
「素晴らしい心掛けです。妻に迎え入れたいと思ってしまいます」
「え?」

 トゥーリア嬢は、レーゼル様の言葉に驚いていた。
 チャルリオ様の話をする前も、レーゼル様はそのような旨のことを言っていたような気がする。その次の話も色々と衝撃的だったため、私もトゥーリア嬢もそれを忘れていた。

「あの、レーゼル様……」
「あなたは、婿を迎え入れる立場になるでしょう。フェリバー辺境伯である私としては相容れないというのが残念です」
「そ、そうですね……」

 困惑するトゥーリア嬢の横で、私は苦笑いを浮かべていた。
 レーゼル様は、やはり普通とは違う感性を持った人なのだろう。それはよくわかった。
 ただ私としては、彼のその点について今は好ましく思っている。顔の傷を貴族の多くは忌避する者も多い。そんな中でレーゼル様の存在は、トゥーリア嬢の救いになると思ったのだ。
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