妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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53.久し振りの家

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 色々とあったため、実家であるエポイル伯爵家の屋敷にはしばらく帰っていなかった。
 思えば長い旅だったものである。疲労があったためか、昨晩はぐっすりと眠った。
 そして今日になって待っていたのは、両親からの追及であった。少し出て行くと言ってから、結構長い間帰って来なかった私のことを、心配していたようだ。

「……まあ、俺はある程度の事情は察していたが、父上と母上は気が気ではなかっただろうな」
「そういうものでしょうか?」
「二人はお前が出て行く前に、お前の婚約破棄に詰め寄っていただろう。あれによって家出したのではないか、と考えたのだろう」
「なるほど……」

 お兄様の言葉に、私は少し唸ることになった。
 そういった観点で、物事を考えてはいなかったからである。私は両親から叱責を受けたことについて、既に忘れていたくらいだ。

「まあ、その辺りは俺が上手く伝えておいた。俺が行き先を知っていると言っておいたからな。嘘という訳でもない」
「そうですね……」
「しかしまさか、公爵家に伯爵家、それに辺境伯の元まで回っていたとは驚きだ。随分と長い旅をしていたのだな」
「ええ、我ながらよく移動したものだと思っています」

 今回の旅では、結果的に色々な所へと赴くことになった。
 その多くは、チャルリオ様の動向に振り回されたからだ。
 そんな彼も、今は大人しくしていることだろう。牢屋の中で、反省してくれていると良いのだが。

「チャルリオの件に関して一報が入った時は、両親もお前の行いが正当なものだったと理解していたぞ」
「ああ、その件については謝られました。立派な貴族として、役目を果たしたと褒めてもらえましたよ。これからはある程度のことは私で判断しても良いとも言われました」
「それは素晴らしいことだな。とはいえ、ことは慎重に判断するべきだぞ? いざという時に、取り返しがつかないことになるかもしれない」
「肝に銘じておきます」

 貴族の肩にのしかかってくる責任というものは、今回の事件でより強く意識することになった。
 私の失敗が、エポイル伯爵家の破滅に繋がる可能性があるのだ。それは恐ろしいことである。私もその辺りに関しては、しっかりと意識しておかなければならないだろう。

「む……」
「お兄様? どうかされましたか?」

 そこでお兄様は、驚いたように目を丸めた。
 いつも冷静なお兄様がそういった反応をすることは珍しい。一体どうしたのだろうか。

「これはお前が来る前に見ていた新聞だ。そこに気になる記述があった」
「新聞、ですか……」

 私は、お兄様から新聞を受け取った。
 それを見て、私は驚く。そこには見覚えがある名前があった。レメティア嬢の名前があったのだ。
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