妹のように思っているからといって、それは彼女のことを優先する理由にはなりませんよね?

木山楽斗

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54.事故の記事

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「レメティア嬢……」
「事故にあったようだな。それも些細な事故ではないだろう。新聞に載るくらいだからな」
「事故、ですか……」

 レメティア嬢の記事は、そこまで大きなものではなかった。
 ただ、それでも新聞に載っているということは、小さな事故ではないだろう。些細な事故であるならば、わざわざ新聞に載るはずはない。
 とりあえず私は、記事を読んでいく。するとそこには、レメティア嬢が重傷を負っていると記載されていた。

「重傷……」
「心配か?」
「え? ええ、そうですね……まあ、一応は知り合いですからね。友好的な関係かどうかは、微妙な所ですけれど」

 レメティア嬢とは、微妙な関係である。敵という程に敵対はしていないが、味方と言える程に友好的ではない。
 とはいえ、知り合いであるのは確かだ。そんな人が重傷と聞いたら、当然動揺してしまう。
 しかも時期的に考えると、私達と会った後に事故にあった可能性が高い。それはなんとも、寝覚めが悪くなりそうなことだ。私が関係している訳もないのだが、気になってしまう。

「今回の件には無関係であるということでいいのか?」
「それは……」

 そこでお兄様は、質問を投げかけてきた。
 それは私も頭の片隅で考えていたことだ。改めて考えておいた方が、良いのかもしれない。
 お兄様が危惧しているのは、これがチャルリオ様によって引き越されたのではないか、ということだろう。その可能性は、ないとは言い切れない。

「私とリオネル様は、レメティア嬢と別れてからデュオーラム伯爵家に行きました。そこでレーゼル様が襲われたことを聞いた訳ですから……レメティア嬢の事故が発生している。帰り道でチャルリオ様に襲われたのかもしれません」
「一人の人間が馬車を襲って、重傷を負わせられるのかは微妙な所だがな」
「それはそうですね……記述からして、これは恐らく馬車の横転ですよね?」
「そのようなことがチャルリオにできると思うか?」
「どうでしょうか……? いや、無理ですよね……」

 チャルリオ様一人で、馬車を横転させられるとは思えない。
 一瞬、火事場の馬鹿力のようなものが働いたのかとも考えたが、それでも難しそうだ。

「レメティア嬢や御者から話を聞ければいいのですが……少なくともレメティア嬢の方は意識が戻っていないようですね。とりあえずトレイル子爵家に問い合わせてみましょうか」
「……また旅に出るのか?」
「そうなりそうです」

 私は、ゆっくりと立ち上がった。
 デュオーラム伯爵夫妻は、チャルリオ様が正しい償いをすることを望んでいる。彼がもしもさらに罪を犯していたのだとしたら、知らせなければならない。
 とはいえ、まずはトレイル子爵家に行ってみるべきだろう。事故の知らせを聞いて、友人として訪ねれば、少しくらいは事情を教えてもらえるはずだ。

「まあ、行ってこい。父上と母上のことは俺に任せておけ」
「はい」

 私は、お兄様の言葉に返事をしてから行動を開始した。
 真実を知るためには、迅速の行動が必要だ。すぐにトレイル子爵家の屋敷まで向かうとしよう。
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