59 / 70
59.調べるべきかは
しおりを挟む
私とリオネル様は、ほとんど追い出されるような形でトレイル子爵家の屋敷から出ることになった。
トレイル子爵は、結局事故に関しては何も教えてくれていない。何を聞かれても、わからないと言うだけだったのだ。
ただトレイル子爵の反応からわかることはあった。彼は何か隠している。それは確実だ。
「さてと、どうするべきかを考えますか?」
「リオネル様、念のためお尋ねしますが、手を引くつもりはないのですよね?」
「おや……」
トレイル子爵家の屋敷の前で、私はリオネル様に問いかけることにした。
今回、私がレメティア嬢のことを調べようと思ったことの発端は、チャルリオ様の関与が気になったからだ。
その可能性が低いことは、既にわかっている。そのため私は、今回の件に首を突っ込むべきかどうかをもう一度思案する必要があると考えた。
「アルリア嬢は、手を引きたいと思っているのですか?」
「いいえ、思っていません」
「やはりそうですか」
私は、リオネル様からの質問に即答した。
実の所、私の方は既に決意を固めている。私とレメティア嬢の関係は薄い。しかしそれでも、もしも彼女が誰かによってひどいことをされたというなら、助けたいと思う。
そこには理屈なんてものはない。ただ感情の問題だ。私はそれに従おうと思っている。
「僕も同じ気持ちです。そもそも、僕は話を聞いた時点から気になっていました。レメティア嬢とトレイル子爵の仲は険悪だったようですし、彼女がチャルリオ伯爵令息と不穏な関係にあることは社交界に知れ渡っていましたからね」
「……なるほど、リオネル様はそれが原因でレメティア嬢がトレイル子爵に害されたと、考えている訳ですね」
「ええ、最初から最後までこの件には首を突っ込むつもりでした」
リオネル様は、私から話を聞いた時から既に覚悟を決めていたようだ。
つまり私の心配は、杞憂だったということだろうか。
「リオネル様はお優しいですね」
「……それはアルリア嬢にも言えることでしょう」
「いいえ、リオネル様が優しいことは重要です。公爵令息であるあなたがそういう人であることは、この国の未来にも関係してくることですからね」
「それもアルリア嬢にも当てはまることです。伯爵家の令嬢なのですから」
「私は……どうなるかわかりません。婚約破棄しましたからね」
「それなら……いえ、なんでもありません」
リオネル様は、何かを言いかけて言葉を呑み込んだ。
それは気になる反応である。ただ彼は前を向いていた。何か言いたくないことなのだろうか。
結局私は、それ以上聞きはしなかった。レメティア嬢の事故を解明することを優先することにしたのだ。
トレイル子爵は、結局事故に関しては何も教えてくれていない。何を聞かれても、わからないと言うだけだったのだ。
ただトレイル子爵の反応からわかることはあった。彼は何か隠している。それは確実だ。
「さてと、どうするべきかを考えますか?」
「リオネル様、念のためお尋ねしますが、手を引くつもりはないのですよね?」
「おや……」
トレイル子爵家の屋敷の前で、私はリオネル様に問いかけることにした。
今回、私がレメティア嬢のことを調べようと思ったことの発端は、チャルリオ様の関与が気になったからだ。
その可能性が低いことは、既にわかっている。そのため私は、今回の件に首を突っ込むべきかどうかをもう一度思案する必要があると考えた。
「アルリア嬢は、手を引きたいと思っているのですか?」
「いいえ、思っていません」
「やはりそうですか」
私は、リオネル様からの質問に即答した。
実の所、私の方は既に決意を固めている。私とレメティア嬢の関係は薄い。しかしそれでも、もしも彼女が誰かによってひどいことをされたというなら、助けたいと思う。
そこには理屈なんてものはない。ただ感情の問題だ。私はそれに従おうと思っている。
「僕も同じ気持ちです。そもそも、僕は話を聞いた時点から気になっていました。レメティア嬢とトレイル子爵の仲は険悪だったようですし、彼女がチャルリオ伯爵令息と不穏な関係にあることは社交界に知れ渡っていましたからね」
「……なるほど、リオネル様はそれが原因でレメティア嬢がトレイル子爵に害されたと、考えている訳ですね」
「ええ、最初から最後までこの件には首を突っ込むつもりでした」
リオネル様は、私から話を聞いた時から既に覚悟を決めていたようだ。
つまり私の心配は、杞憂だったということだろうか。
「リオネル様はお優しいですね」
「……それはアルリア嬢にも言えることでしょう」
「いいえ、リオネル様が優しいことは重要です。公爵令息であるあなたがそういう人であることは、この国の未来にも関係してくることですからね」
「それもアルリア嬢にも当てはまることです。伯爵家の令嬢なのですから」
「私は……どうなるかわかりません。婚約破棄しましたからね」
「それなら……いえ、なんでもありません」
リオネル様は、何かを言いかけて言葉を呑み込んだ。
それは気になる反応である。ただ彼は前を向いていた。何か言いたくないことなのだろうか。
結局私は、それ以上聞きはしなかった。レメティア嬢の事故を解明することを優先することにしたのだ。
343
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
側近という名の愛人はいりません。というか、そんな婚約者もいりません。
gacchi(がっち)
恋愛
十歳の時にお見合いで婚約することになった侯爵家のディアナとエラルド。一人娘のディアナのところにエラルドが婿入りする予定となっていたが、エラルドは領主になるための勉強は嫌だと逃げ出してしまった。仕方なく、ディアナが女侯爵となることに。五年後、学園で久しぶりに再会したエラルドは、幼馴染の令嬢三人を連れていた。あまりの距離の近さに友人らしい付き合い方をお願いするが、一向に直す気配はない。卒業する学年になって、いい加減にしてほしいと注意したディアナに、エラルドは令嬢三人を連れて婿入りする気だと言った。
9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から言いたいことを言えずに、両親の望み通りにしてきた。
結婚だってそうだった。
良い娘、良い姉、良い公爵令嬢でいようと思っていた。
夫の9番目の妻だと知るまでは――
「他の妻たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは9番と呼んでいるんだ」
嫉妬する側妃の嫌がらせにうんざりしていただけに、ターズ様が側近にこう言っているのを聞いた時、私は良い妻であることをやめることにした。
※最後はさくっと終わっております。
※独特の異世界の世界観であり、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
その手をとって、反撃を
gacchi(がっち)
恋愛
第二王子ロドルフと婚約している侯爵令嬢ナディアは魔力なしだった。そのせいか婚約者は幼馴染の侯爵令嬢レベッカとの結婚を望み、ナディアとの婚約を破棄しようと企む。夜会の最中にナディアに醜聞沙汰を起こさせようとするロドルフたちだったが、それに気がついた魔術師の塔の管理人をおりたばかりのシリウスに助けられる。ナディアの母方の親戚だというシリウスに魔術を教えてもらうことになったナディアは、シリウスの協力を得て反撃に出ることにした。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる