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68.目覚めた彼女は
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病院にやって来た私とリオネル様は、驚くことになった。
レメティア嬢が目覚めたという言葉を、お医者様から聞いたからだ。
私達は、すぐに彼女がいる病室に向かった。すると、きょとんとした顔をしたレメティア嬢が、こちらを見つめていた。
彼女からすれば、何故目覚めてすぐに私達が訪ねて来たかわからないのだろう。
それは当然のことである。彼女の記憶は、トレイル子爵に折檻を受けた時から止まっているのだから。
しかしとなると、彼女はこれから様々なことを知ることになる。その内容は、病み上がりの彼女には酷な内容であるだろう。少なくとも、今伝えることではない。
そもそもの話、私達は結局の所部外者である。そういったことを伝える立場ではない。詳しいことの説明は、トレイル子爵家の人々に任せるべきだろう。
ただ、全てが終わったということだけは知らせておいた方が良いかもしれない。それは彼女を安心させる情報だからだ。
「レメティア嬢、目が覚めたようで何よりです」
「あなた達は……どうしてここに?」
「レメティア嬢を見舞いに来たのです。色々と大変だったようですね。しかし、もう安心です、問題は解決しましたから」
「解決……そうですか。それは、良かった」
レメティア嬢は、ゆっくりとため息をついた。
その表情からは、安堵が読み取れる。やはり色々と心配していたのだろう。
彼女は、それ以上何かを聞こうとはしてこない。そこからトレイル子爵家の者達が伝える領分だと、理解しているのだろう。
「よくはわかりませんが、お二人には感謝する必要がありそうですね……」
「いいえ、そのようなことは気にしないでください。僕達はただ、居合わせたというだけですから」
「ええ、リオネル様の言う通りです」
「チャルリオ様の時もそうでしたが……お二人は良いコンビということなのでしょうね」
「え?」
「それは……」
レメティア嬢が笑みを浮かべて呟いた言葉に、私とリオネル様は顔を見合わせることになった。
私達が良いコンビ、それはどういうことだろうか。いや、他意がないことなどはわかっている。それはきっと、単にこのような事態へ対処する時の私達を言っているのだろう。
だが何故だろうか。私は少し別の意味に捉えていた。それはなんというか、おかしな話だ。
「トレイル子爵家のことは、どうかご心配なく……私達は私達で上手くやりますから」
「困ったことがあったら、僕に連絡してください。公爵家の力をお貸しします」
「それは心強い限りです。本当に、お二人ともありがとうございます」
声を震わせながらお礼を言うレメティア嬢に、私は自らの中にあったもやもやを振り払った。
これから彼女は、苦難の道を歩むことになる。今はそれが少しでも明るい道になるように、願うことに集中するとしよう。
レメティア嬢が目覚めたという言葉を、お医者様から聞いたからだ。
私達は、すぐに彼女がいる病室に向かった。すると、きょとんとした顔をしたレメティア嬢が、こちらを見つめていた。
彼女からすれば、何故目覚めてすぐに私達が訪ねて来たかわからないのだろう。
それは当然のことである。彼女の記憶は、トレイル子爵に折檻を受けた時から止まっているのだから。
しかしとなると、彼女はこれから様々なことを知ることになる。その内容は、病み上がりの彼女には酷な内容であるだろう。少なくとも、今伝えることではない。
そもそもの話、私達は結局の所部外者である。そういったことを伝える立場ではない。詳しいことの説明は、トレイル子爵家の人々に任せるべきだろう。
ただ、全てが終わったということだけは知らせておいた方が良いかもしれない。それは彼女を安心させる情報だからだ。
「レメティア嬢、目が覚めたようで何よりです」
「あなた達は……どうしてここに?」
「レメティア嬢を見舞いに来たのです。色々と大変だったようですね。しかし、もう安心です、問題は解決しましたから」
「解決……そうですか。それは、良かった」
レメティア嬢は、ゆっくりとため息をついた。
その表情からは、安堵が読み取れる。やはり色々と心配していたのだろう。
彼女は、それ以上何かを聞こうとはしてこない。そこからトレイル子爵家の者達が伝える領分だと、理解しているのだろう。
「よくはわかりませんが、お二人には感謝する必要がありそうですね……」
「いいえ、そのようなことは気にしないでください。僕達はただ、居合わせたというだけですから」
「ええ、リオネル様の言う通りです」
「チャルリオ様の時もそうでしたが……お二人は良いコンビということなのでしょうね」
「え?」
「それは……」
レメティア嬢が笑みを浮かべて呟いた言葉に、私とリオネル様は顔を見合わせることになった。
私達が良いコンビ、それはどういうことだろうか。いや、他意がないことなどはわかっている。それはきっと、単にこのような事態へ対処する時の私達を言っているのだろう。
だが何故だろうか。私は少し別の意味に捉えていた。それはなんというか、おかしな話だ。
「トレイル子爵家のことは、どうかご心配なく……私達は私達で上手くやりますから」
「困ったことがあったら、僕に連絡してください。公爵家の力をお貸しします」
「それは心強い限りです。本当に、お二人ともありがとうございます」
声を震わせながらお礼を言うレメティア嬢に、私は自らの中にあったもやもやを振り払った。
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