10 / 16
10.過保護な義兄
しおりを挟む
「お兄様、お兄様は過保護な行為の数々について、どう考えているのですか?」
「それらは必要な措置だったというだけに過ぎない。問題などはなかった。そしてこれからも、問題はない。俺はイルネシアを導いていく。それはアルリシアとの約束でもある」
カルードお義兄様は、胸を張って言葉を発していた。つまり、その言葉について疑問や迷いなどは持ち合わせていないということになる。
しかしカルードお義兄様が過保護であるということは、最早疑いようのない事実だ。それは私も、段々とわかってきた。
お姉様との間に約束はあったにしても、それは変わらない。というかお姉様だって、そこまでは望んではいなかっただろうし。
「イルネシアの婚約者というものが、どれだけ大切なものであるのか、お前はわかっているのか? その者はウェーデル伯爵家を背負うことになるのだぞ? 信用できる者でなければ、務まらない」
「それはもちろんわかっていますよ。でも、お兄様が望んでいるような方はいないと思います。あまりにも要求することが多過ぎるので」
「イルネシアは既に一度婚約で失敗している。万全を尽くすのは当然のことだ。俺は、自身の判断というものを間違っているとは思わない。少なくとも俺が納得できるくらいの男でなければ、婚約は認められない」
カルードお義兄様の語気は、段々と強くなっていた。
それ程までに私のことを思ってくれていること自体は、嬉しく思う。ただクレリナ嬢の言っていることももっともだ。カルードお義兄様の要求するような人は、多分いない。それ程までに高望みをしていることは、その言葉の節々からもわかった。
「具体的な候補者などを思いついているんですか?」
「それはもちろん、これから考えることだ」
「その時点で、いないと言っているようなものですよ。私は少なくとも、イルネシアお姉様に相応しい人を既に一人思い浮かべていますから」
「……何?」
「ちょっと、睨み過ぎですよ」
クレリナ嬢の発言に、カルードお義兄様は鋭い視線を向けていた。
やはりなんというか、私の婚約について並々ならぬ思いを抱いているようだ。
そのことに私は、苦笑いを浮かべる。カルードお義兄様の思いはありがたいのだが、やはり過激であるようだった。
しかしながら、クレリナ嬢が言っていることは気になる。私に相応しい婚約者、それは一体誰なのだろうか。
それは聞いておいた方が、いいような気がする。当然のことながら、私にとっても婚約というものは大切なことである訳だし。
「クレリナ嬢、それは一体誰なのですか?」
「ああ、多分、イルネシアお姉様も知っている人ですよ。まあ有名な方ですからね」
「え?」
クレリナ嬢は、私を見ながら笑みを浮かべていた。
彼女が誰のことを言っているのかは、私にはわからない。ただ自信はありそうなので、詳しく話を聞いてみるべきかもしれない。
「それらは必要な措置だったというだけに過ぎない。問題などはなかった。そしてこれからも、問題はない。俺はイルネシアを導いていく。それはアルリシアとの約束でもある」
カルードお義兄様は、胸を張って言葉を発していた。つまり、その言葉について疑問や迷いなどは持ち合わせていないということになる。
しかしカルードお義兄様が過保護であるということは、最早疑いようのない事実だ。それは私も、段々とわかってきた。
お姉様との間に約束はあったにしても、それは変わらない。というかお姉様だって、そこまでは望んではいなかっただろうし。
「イルネシアの婚約者というものが、どれだけ大切なものであるのか、お前はわかっているのか? その者はウェーデル伯爵家を背負うことになるのだぞ? 信用できる者でなければ、務まらない」
「それはもちろんわかっていますよ。でも、お兄様が望んでいるような方はいないと思います。あまりにも要求することが多過ぎるので」
「イルネシアは既に一度婚約で失敗している。万全を尽くすのは当然のことだ。俺は、自身の判断というものを間違っているとは思わない。少なくとも俺が納得できるくらいの男でなければ、婚約は認められない」
カルードお義兄様の語気は、段々と強くなっていた。
それ程までに私のことを思ってくれていること自体は、嬉しく思う。ただクレリナ嬢の言っていることももっともだ。カルードお義兄様の要求するような人は、多分いない。それ程までに高望みをしていることは、その言葉の節々からもわかった。
「具体的な候補者などを思いついているんですか?」
「それはもちろん、これから考えることだ」
「その時点で、いないと言っているようなものですよ。私は少なくとも、イルネシアお姉様に相応しい人を既に一人思い浮かべていますから」
「……何?」
「ちょっと、睨み過ぎですよ」
クレリナ嬢の発言に、カルードお義兄様は鋭い視線を向けていた。
やはりなんというか、私の婚約について並々ならぬ思いを抱いているようだ。
そのことに私は、苦笑いを浮かべる。カルードお義兄様の思いはありがたいのだが、やはり過激であるようだった。
しかしながら、クレリナ嬢が言っていることは気になる。私に相応しい婚約者、それは一体誰なのだろうか。
それは聞いておいた方が、いいような気がする。当然のことながら、私にとっても婚約というものは大切なことである訳だし。
「クレリナ嬢、それは一体誰なのですか?」
「ああ、多分、イルネシアお姉様も知っている人ですよ。まあ有名な方ですからね」
「え?」
クレリナ嬢は、私を見ながら笑みを浮かべていた。
彼女が誰のことを言っているのかは、私にはわからない。ただ自信はありそうなので、詳しく話を聞いてみるべきかもしれない。
78
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された侯爵令嬢、帝国最強騎士に拾われて溺愛される
夜桜
恋愛
婚約者である元老院議員ディアベルに裏切られ、夜会で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢ルイン。
さらにバルコニーから突き落とされ、命を落としかけた彼女を救ったのは、帝国自由騎士であるジョイアだった。
目を覚ましたルインは、落下のショックで記憶を失っていた。
優しく寄り添い守ってくれるジョイアのもとで、失われた過去と本当の自分を探し始める。
一方、ルインが生きていると知ったディアベルと愛人セリエは、再び彼女を排除しようと暗躍する。
しかし、ルインの中に眠っていた錬金術師としての才能が覚醒し、ジョイアや父の助けを得て、裏切った元婚約者に立ち向かう力を取り戻していく。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
「影の薄い女」と嘲笑された私ですが、最強の聖騎士団長に見初められました
有賀冬馬
恋愛
「君のような影の薄い女では、僕の妻に相応しくない」――そう言って、侯爵子息の婚約者は私を捨てた。選んだのは、華やかな公爵令嬢。居場所を失い旅立った私を救ってくれたのは、絶大な権力を持つ王国の聖騎士団長だった。
「あなたの心の傷ごと、私が抱きしめてあげましょう」
彼の隣で、私は新しい人生を歩み始める。そしてやがて、元婚約者の家は裏切りで没落。必死に復縁を求める彼に、私は告げる……。
愛人の子を育てろと言われた契約結婚の伯爵夫人、幼なじみに溺愛されて成り上がり、夫を追い出します
深山きらら
恋愛
政略結婚でレンフォード伯爵家に嫁いだセシリア。しかし初夜、夫のルパートから「君を愛するつもりはない」と告げられる。さらに義母から残酷な命令が。「愛人ロザリンドの子を、あなたの子として育てなさい」。屈辱に耐える日々の中、偶然再会した幼なじみの商人リオンが、セシリアの才能を信じて事業を支援してくれる。
婚約破棄された令嬢は“図書館勤務”を満喫中
かしおり
恋愛
「君は退屈だ」と婚約を破棄された令嬢クラリス。社交界にも、実家にも居場所を失った彼女がたどり着いたのは、静かな田舎町アシュベリーの図書館でした。
本の声が聞こえるような不思議な感覚と、真面目で控えめな彼女の魅力は、少しずつ周囲の人々の心を癒していきます。
そんな中、図書館に通う謎めいた青年・リュカとの出会いが、クラリスの世界を大きく変えていく――
身分も立場も異なるふたりの静かで知的な恋は、やがて王都をも巻き込む運命へ。
癒しと知性が紡ぐ、身分差ロマンス。図書館の窓辺から始まる、幸せな未来の物語。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる