婚約破棄されてから義兄が以前にも増して過保護になりました。

木山楽斗

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10.過保護な義兄

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「お兄様、お兄様は過保護な行為の数々について、どう考えているのですか?」
「それらは必要な措置だったというだけに過ぎない。問題などはなかった。そしてこれからも、問題はない。俺はイルネシアを導いていく。それはアルリシアとの約束でもある」

 カルードお義兄様は、胸を張って言葉を発していた。つまり、その言葉について疑問や迷いなどは持ち合わせていないということになる。
 しかしカルードお義兄様が過保護であるということは、最早疑いようのない事実だ。それは私も、段々とわかってきた。
 お姉様との間に約束はあったにしても、それは変わらない。というかお姉様だって、そこまでは望んではいなかっただろうし。

「イルネシアの婚約者というものが、どれだけ大切なものであるのか、お前はわかっているのか? その者はウェーデル伯爵家を背負うことになるのだぞ? 信用できる者でなければ、務まらない」
「それはもちろんわかっていますよ。でも、お兄様が望んでいるような方はいないと思います。あまりにも要求することが多過ぎるので」
「イルネシアは既に一度婚約で失敗している。万全を尽くすのは当然のことだ。俺は、自身の判断というものを間違っているとは思わない。少なくとも俺が納得できるくらいの男でなければ、婚約は認められない」

 カルードお義兄様の語気は、段々と強くなっていた。
 それ程までに私のことを思ってくれていること自体は、嬉しく思う。ただクレリナ嬢の言っていることももっともだ。カルードお義兄様の要求するような人は、多分いない。それ程までに高望みをしていることは、その言葉の節々からもわかった。

「具体的な候補者などを思いついているんですか?」
「それはもちろん、これから考えることだ」
「その時点で、いないと言っているようなものですよ。私は少なくとも、イルネシアお姉様に相応しい人を既に一人思い浮かべていますから」
「……何?」
「ちょっと、睨み過ぎですよ」

 クレリナ嬢の発言に、カルードお義兄様は鋭い視線を向けていた。
 やはりなんというか、私の婚約について並々ならぬ思いを抱いているようだ。
 そのことに私は、苦笑いを浮かべる。カルードお義兄様の思いはありがたいのだが、やはり過激であるようだった。

 しかしながら、クレリナ嬢が言っていることは気になる。私に相応しい婚約者、それは一体誰なのだろうか。
 それは聞いておいた方が、いいような気がする。当然のことながら、私にとっても婚約というものは大切なことである訳だし。

「クレリナ嬢、それは一体誰なのですか?」
「ああ、多分、イルネシアお姉様も知っている人ですよ。まあ有名な方ですからね」
「え?」

 クレリナ嬢は、私を見ながら笑みを浮かべていた。
 彼女が誰のことを言っているのかは、私にはわからない。ただ自信はありそうなので、詳しく話を聞いてみるべきかもしれない。
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