婚約破棄されてから義兄が以前にも増して過保護になりました。

木山楽斗

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11.婚約者候補は

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 私の目の前には、四人の男性がいた。
 その男性達は、この国サディール王国において多大な権力を持つ人達だ。故に私も、緊張してしまう。彼らは、王子達なのである。
 コークス公爵家は、王家とは血縁にあたる公爵家だ。現国王様とコークス公爵家は兄弟の関係にあり、目の前の四人はカルードお義兄様やクレリナ嬢のいとこにあたる。

「初めまして、という訳ではなかったよな。とりあえず王城にようこそ、イルネシア嬢」
「は、はい。ザベルス殿下」

 私に最初に声をかけてきたのは、第一王子――王太子であるザベルス殿下だ。
 彼のことは、当然知っている。というか、王子達のことはこの国で生きていれば聞かないことはない。四人とも面識はそれ程ない訳ではあるが、どんな人かくらいはわかっている。
 ザベルス殿下は、とても正義感に溢れており、リーダーシップがある人だ。この国の次期国王様として、かなり期待されているらしい。

「あなたのことは、もちろん歓迎しよう。コークス公爵家の嫁の妹ともなると、こちらとしても親族同然だからな」
「あ、ありがとうございます」
「クレリナも、歓迎しよう。こうして顔を合わせるのは、思えば久し振りだな」
「ええ、そうですね」
「……しかし、お前のことは歓迎していないぞ、カルード」

 私とクレリナ嬢に対して、柔和な笑みを浮かべて居たザベルス殿下は、カルードお義兄様に対して鋭い視線を向けていた。
 それに私は驚く。ただ隣のクレリナ嬢も他の王子達も、苦笑いを浮かべている。どうやらこれは、珍しいことではないらしい。

「こちらも別に、お前に会いたいなどとは思っていない。成り行き上、こうしてイルネシアを紹介している訳ではあるが、本来であれば会わせたくもない程だ」
「なんだと?」
「そもそも俺を歓迎していない時点で、品性というものを疑わざるを得ない。それがいとこに向ける態度か?」
「そっちこそ、態度が悪いだろうが」

 カルードお義兄様とザベルス殿下は、睨み合っていた。
 かなり険悪なようだが、本当に大丈夫なのだろうか。私は少し、心配になってきた。

「……イルネシア嬢、ご心配なく。これはいつものことですから」
「え?」

 そんな私に声をかけてきたのは、四人の王子の一人であった。
 その人物は、私にザベルス殿下よりも柔らかな笑みを向けてきている。私は思わず、それに見惚れてしまう。

「兄上とカルード兄様は、あんな風ですが本当は仲が良いですから」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、あれはじゃれ合っているだけです。犬とか猫とかが、喧嘩しているように見えても仲が良いのと同じですから、何も問題はありません」

 未だに言い合っているカルードお義兄様とザベルス殿下に対して、目の前の第四王子は苦笑いを浮かべていた。
 そうやって彼の言葉を聞いていると、なんだか少し安心することができた。どうやら優しく穏やかと評判なセルーグ殿下は、その評判通りの人物であるらしい。
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