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第一部 日露開戦編
鯉之助とウサギブーム
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「……ウサギですか?」
「そうじゃ」
秋山の反応を愉快そうに見ながら龍馬は語る。
「欧州のウサギが欲しいと頼んできたのじゃ」
鯉之助が最初に手を打ったのが日本に行く前にハワイから電報でヨーロッパからウサギを、それも珍しい種類のウサギを購入して日本に送って貰うことだった。
幼くして初めて行く土地に、逸れも人質として行くのだから、せめて苦労させたくないと願いを聞き入れた。
龍馬は愛玩動物として飼うと思っていたが、鯉之助のもくろみは違った。注文された種類と量が膨大であった。
不審に思いながらも龍馬は了承し、日本の冬になれるために初めは東京に滞在している鯉之助の元に送った。
当時、明治五、六年の日本は近代日本で最初のバブル、ウサギバブルが起きていた。
開国したばかりで西洋への憧れもあってヨーロッパの珍種が特に珍しがられ、明治の人々はウサギを求めた。
ウサギの値上がりは激しく時に三百倍の値が付くことさえあった。
それを鯉之助はチート知識で知っており先手を打って海援隊の伝を使い、欧州から珍しい品種を中心に購入し日本に輸送させた。
東京で受け取るとウサギを繁殖させ、富裕層を中心に販売していった。
舶来品を扱う海龍商会は富裕層との取引も多くウサギは高値で販売できた。
「これだけでも大したものじゃが、鯉之助はここで終わりはせんかった。ウサギの販売以外にも関連した商売を始めたんじゃ」
鯉之助は海外からのウサギの飼育道具や専用の餌の輸入、のちに国産化して販売した。さらに品種改良による新種開発、ウサギの図鑑出版、家系図、血統書の製作販売などの部門を作り、ブランド化して更に煽り商売の規模は大きくなった。
この影響で民衆もブームの煽りで投機の対象としてウサギを求め、収入は更に上がった。
だが、そのブームもすぐに終わる。
ウサギは多産で、販売したウサギがすぐに子供を産み大量のウサギが市中に増えていき値の上昇は鈍化した。
最終的にブームの過熱に危機感を持った政府によってウサギ税が導入されバブルははじけた。
だが、課税までの販売で十分な収入を得たし、飼育用具販売、血統書作成などの体制を構築しブランド化した部分は後々まで収入を得られた。
血統書の作り方などは海援隊の仏具売却の来歴作成の経験が生かされており、導入は簡単だった。
「ブームが終わっても愛好家が沢山生まれ、彼らを相手に商売を存続させることが出来た。しかも、おまけ付きじゃ」
何より鯉之助はウサギバブルが弾けた後、市中に余ったウサギ――投機狙いで繁殖させ売り先がなくなったウサギを一手に引き取り、大量のウサギを手に入れる事が出来た。
殆ど二束三文で手に入れたウサギを引き取り処分する部署を設立し工場を建設すると、ウサギの肉を干し肉や缶詰に加工し、毛皮を防寒着に加工した。
これは樺太移住へ備えての事であり、肉は食料に、毛皮を防寒具にするためだった。
こうしてウサギバブルを利用して物資を整えた鯉之助は満を持して樺太に渡る。
「樺太や北海道の開拓者たちは鯉之助を幼い子供と侮っていたが、大量に持っている缶詰と毛皮を見て態度を変えたわ」
樺太に到着した鯉之助は早速、大量の食料と防寒着そして海援隊隊長の息子という立場を利用して、環境を改善し始めた。
オンドルを手本に竈から煙を引いて床暖房にすると共に壁に土を塗ったり二重の壁にする事で断熱性を向上させ室内を暖かくした。
子供の思いつきと大人達は思っただろうが、ウサギの缶詰と防寒着と引き換えに入植者達は工事を請け負い、短い時間で家を作り上げ、無事に全床暖房の家を作り上げて冬を越すことが出来た。
この家を見た他の入植者は早速真似して、同じような家を建設し、入植地の住環境は劇的に改善した。
何時しか鯉之助は入植地の救世主として祭り上げられる。
「で、冬に籠もっておる間、様々な製品を作り出したんじゃ」
長い冬の間、鯉之助は転生前に覚えた知識を使って発明品やアイディアを考えた。
その一つがロケットストーブだ。
ロケットストーブは二〇世紀に作られたストーブで燃焼効率が良い。構造上、燃料が大量に投入できないため、持久時間は小さいが薪が少なく済むのが良かった。
併設したベンジャミンストーブ、中に仕切りを作って熱を籠もりやすくして煙突からの廃熱を抑えるタイプのストーブを常用にして、料理の時にロケットストーブで作ることで薪を減らし、常に暖かい部屋を作った。
この商品は海援隊で売られてヒット商品になった。
継続的な収入源にするために鯉之助は特許を取得するように依頼した。国際特許を取得し特許料を得ることで海援隊の資金源にしようというのだ。
これは明治六年の政変で下野し海援隊に入った江藤新平に頼んだ。
正義感が強く司法、法律分野に強い彼により特許制度が作られ、諸外国へも特許を出願する体制を構築。
その後誕生する新製品の特許料が海龍商会と海援隊を支える。
「そうじゃ」
秋山の反応を愉快そうに見ながら龍馬は語る。
「欧州のウサギが欲しいと頼んできたのじゃ」
鯉之助が最初に手を打ったのが日本に行く前にハワイから電報でヨーロッパからウサギを、それも珍しい種類のウサギを購入して日本に送って貰うことだった。
幼くして初めて行く土地に、逸れも人質として行くのだから、せめて苦労させたくないと願いを聞き入れた。
龍馬は愛玩動物として飼うと思っていたが、鯉之助のもくろみは違った。注文された種類と量が膨大であった。
不審に思いながらも龍馬は了承し、日本の冬になれるために初めは東京に滞在している鯉之助の元に送った。
当時、明治五、六年の日本は近代日本で最初のバブル、ウサギバブルが起きていた。
開国したばかりで西洋への憧れもあってヨーロッパの珍種が特に珍しがられ、明治の人々はウサギを求めた。
ウサギの値上がりは激しく時に三百倍の値が付くことさえあった。
それを鯉之助はチート知識で知っており先手を打って海援隊の伝を使い、欧州から珍しい品種を中心に購入し日本に輸送させた。
東京で受け取るとウサギを繁殖させ、富裕層を中心に販売していった。
舶来品を扱う海龍商会は富裕層との取引も多くウサギは高値で販売できた。
「これだけでも大したものじゃが、鯉之助はここで終わりはせんかった。ウサギの販売以外にも関連した商売を始めたんじゃ」
鯉之助は海外からのウサギの飼育道具や専用の餌の輸入、のちに国産化して販売した。さらに品種改良による新種開発、ウサギの図鑑出版、家系図、血統書の製作販売などの部門を作り、ブランド化して更に煽り商売の規模は大きくなった。
この影響で民衆もブームの煽りで投機の対象としてウサギを求め、収入は更に上がった。
だが、そのブームもすぐに終わる。
ウサギは多産で、販売したウサギがすぐに子供を産み大量のウサギが市中に増えていき値の上昇は鈍化した。
最終的にブームの過熱に危機感を持った政府によってウサギ税が導入されバブルははじけた。
だが、課税までの販売で十分な収入を得たし、飼育用具販売、血統書作成などの体制を構築しブランド化した部分は後々まで収入を得られた。
血統書の作り方などは海援隊の仏具売却の来歴作成の経験が生かされており、導入は簡単だった。
「ブームが終わっても愛好家が沢山生まれ、彼らを相手に商売を存続させることが出来た。しかも、おまけ付きじゃ」
何より鯉之助はウサギバブルが弾けた後、市中に余ったウサギ――投機狙いで繁殖させ売り先がなくなったウサギを一手に引き取り、大量のウサギを手に入れる事が出来た。
殆ど二束三文で手に入れたウサギを引き取り処分する部署を設立し工場を建設すると、ウサギの肉を干し肉や缶詰に加工し、毛皮を防寒着に加工した。
これは樺太移住へ備えての事であり、肉は食料に、毛皮を防寒具にするためだった。
こうしてウサギバブルを利用して物資を整えた鯉之助は満を持して樺太に渡る。
「樺太や北海道の開拓者たちは鯉之助を幼い子供と侮っていたが、大量に持っている缶詰と毛皮を見て態度を変えたわ」
樺太に到着した鯉之助は早速、大量の食料と防寒着そして海援隊隊長の息子という立場を利用して、環境を改善し始めた。
オンドルを手本に竈から煙を引いて床暖房にすると共に壁に土を塗ったり二重の壁にする事で断熱性を向上させ室内を暖かくした。
子供の思いつきと大人達は思っただろうが、ウサギの缶詰と防寒着と引き換えに入植者達は工事を請け負い、短い時間で家を作り上げ、無事に全床暖房の家を作り上げて冬を越すことが出来た。
この家を見た他の入植者は早速真似して、同じような家を建設し、入植地の住環境は劇的に改善した。
何時しか鯉之助は入植地の救世主として祭り上げられる。
「で、冬に籠もっておる間、様々な製品を作り出したんじゃ」
長い冬の間、鯉之助は転生前に覚えた知識を使って発明品やアイディアを考えた。
その一つがロケットストーブだ。
ロケットストーブは二〇世紀に作られたストーブで燃焼効率が良い。構造上、燃料が大量に投入できないため、持久時間は小さいが薪が少なく済むのが良かった。
併設したベンジャミンストーブ、中に仕切りを作って熱を籠もりやすくして煙突からの廃熱を抑えるタイプのストーブを常用にして、料理の時にロケットストーブで作ることで薪を減らし、常に暖かい部屋を作った。
この商品は海援隊で売られてヒット商品になった。
継続的な収入源にするために鯉之助は特許を取得するように依頼した。国際特許を取得し特許料を得ることで海援隊の資金源にしようというのだ。
これは明治六年の政変で下野し海援隊に入った江藤新平に頼んだ。
正義感が強く司法、法律分野に強い彼により特許制度が作られ、諸外国へも特許を出願する体制を構築。
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