龍馬の息子 知識チートで海援隊と共に明治を駆け抜け日露戦争を楽勝にする!

葉山宗次郎

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第一部 日露開戦編

鯉之助による海龍商会と海援隊の発展

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「鯉之助の製品と特許から得られる金のお陰で海龍商会と海援隊は息を吹き返したんじゃ」

 鯉之助が発明した商品の特許によって得られた資金の一部は鯉之助の手に渡り、様々な事業を展開した。
 この頃になると第二次樺太戦争により樺太の統治権が日本――正確には守りきった海龍商会と海援隊のものであると確立されたが、多大な戦費、戦争の被害――それまでの投資も灰燼に帰したところもありで左前になっていた。
 だが、鯉之助が現れた事により、資金が補充され、新たな開発が進んだ。
 本来なら明治二一年に見つかるはずの夕張炭鉱を明治一桁時代に見つけ出し、倶知安の鉄鉱山も見つけ、その石炭と鉄鉱石で室蘭に作った製鉄所で製鉄業および造船業を始めたりした。
 オホーツク海の漁業事業もそうだ。
 ニシン漁の近代化で利益を得たり、カニ缶を作り上げて売りまくった。
 カニ缶は缶詰の金属がカニの身を紫に変色させてしまう問題があり、品質に問題はないが見た目が悪かった。
 そこで鯉之助は中性紙で身をくるみ金属との接触を断つことで変色を防いだ。
 紙に入った中身のある缶詰が珍しいこともあり、高級品として売れて樺太での生活を豊かにしてくれた。
 他にも様々な機械を考案し、製作を依頼した。
 はじめは器械方の宮重一之助が付き合っていたが対応できなくなり東京の田中製作所の田中久重にいらいするようになった。
 出来た発明品は飛ぶように売れた上に役に立ち、樺太・北海道のみならず日本の役に立った。

「一通り北海道と樺太の開拓が済んだが金は仰山あったからのう。いよいよ海外へ進出していったんじゃ」

 溢れるほど得られた資金を元に海龍商会と鯉之助はアメリカ、ヨーロッパに進出し投資事業を行った。
 発明を行っても営業力が小さい海龍商会と海援隊では十分な販売できず利益が少ない。
 そこで世界へ資金を持ち出し、今後発展が見込める産業や会社に投資してその配当金によって海援隊を運営する方針をとったのだ。
 勿論海龍商会でも海運業や入植、開発も行うが、その資金源として金融及び投資を行った。
 投資対象は、鯉之助がチート知識で知っている今後発展する大企業。
 モルガンカンパニー、カーネギー鉄鋼、スタンダード石油、GE、ボフォース、クルップ、ホワイトヘッド、コカコーラなど。
 二〇世紀に有名になる企業の株は殆ど購入し、歴史通りに発展して株価も上昇し配当金も手に入れた。

「で、鯉之助はその金を元に新たな事業を世界中で起こし始めたんじゃ」

 投資で利益を得ると、鯉之助はそれを有望な発明家、パーソンズ、テスラ、マルコーニなどに投資し蒸気タービン、交流発電機、無線などを史実から数年単位で開発完成を早め海援隊に導入した。
 他にも政治的な関与も行っている。
 日本がロシアと領有権を争っていた樺太及び千島を海龍商会の陸奥宗光の交渉もあって買い取って得たのも未来の知識を元にしたからだ。
 特に大きかったのが一八九三年に結んだアラスカ購入だった。
 ハワイ併合を米国が諦める代わりに、海援隊が購入を打診したのだ。
 アラスカは六九年にトルコとの戦争で財政難になっていたロシアから当時の国務長官スワードが購入した。だが当時のアラスカは寒さが厳しく毛皮が取れるだけで何もない荒涼とした土地で、購入は負担でしか無く、強引に購入したスワードを皮肉り<スワードの巨大な冷蔵庫>と呼ばれ、お荷物扱いされていた。
 そこへ厄介者であるアラスカを鯉之助がハワイから手を引く代わりに投資で得ていた二千万ドル、当時の最新鋭装甲巡洋艦七隻分の金額で購入したのだ。
 ロシアから購入したのが七五〇万ドルだったから、米国が元を取るには十分な金額だった。
 当時の米国は九三年の恐慌により財政難に陥っていたのと、鯉之助はその恐慌で空売りを行い莫大な利益を得ていたこともあり、購入資金を確保していたのだ。
 こうしてアラスカは日本政府所有、海援隊管理の土地となった。
 だが、直後に鯉之助が前世のチート知識で覚えていたアラスカの金鉱地帯へ送り込んだ調査隊が金を発見し、ゴールドラッシュが到来。
 金目当ての移民が大量に押しかけ、彼らに日用品を売ったことで投資金額以上の利益を海龍商会が獲得。
 さらに彼らの金を買い上げることで、大量の金を保有し海龍商会が発行する商品券の価値を大きく高め、信用を得て世界各地で通用する事実上の通貨にした。
 もっとも、そのお陰で購入に同意した当時の大統領クリーブランドは、国富を売り渡したと対立候補のマッキンレーに非難され九六年の大統領選挙で敗北していた。
 閑話休題、こうして海援隊は創設四〇年足らずで、特に後半の鯉之助が加わって以降、海援隊と海龍商会は世界を股に掛ける一大コンツェルン、日本の東インド会社と呼ばれる程に発展した理由はこの投資事業だった。
 それらの多く、少なくともここ最近の海龍商会の発展は鯉之助の功績であった。
 巨大化した海龍商会は日本への投資や新製品生産工場の建設により安価な製品を大量にアジアへ輸出した。
 それは日本の国力増大となり、史実の日本以上の国力を持つに至った。
 しかし、歴史の流れ、ロシアの南下政策は止まらず、日露の激突が起きた。
 そして鯉之助は、その最前線に立っていた。

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