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異性のトイレ
しおりを挟む体が入れ替わった大輔と奈々には、他にも乗り越えなければならない壁があった。それは、異性のトイレを使うことだった。
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### **大輔の場合**
昼休みのオフィスで、奈々の体の大輔はふと気づいた。
「あ、トイレ行きたい…でも…。」
女性社員たちが行き交う中、女性用トイレに向かうべきだと頭ではわかっている。だが、入り口の前で足が止まる。
「いや、俺、入っていいんだよな?今、奈々さんなんだから…でも…中ってどうなってんだ?」
ドキドキしながら周囲を見渡す。誰もいないことを確認すると、意を決して扉を押した。
中に入ると、明るく清潔な空間が広がり、壁際にはいくつもの個室が並んでいる。
「なんだ、こんな感じか…普通っちゃ普通だな。」
だが、入った瞬間、女性たちが話す声が聞こえてきて動揺する。
「昨日さ、彼氏がさ~」
「わかる、うちもだよ!」
声が近づいてくると、大輔は思わず個室に飛び込み、息を潜めた。慣れない環境に緊張しながらも、なんとか用を済ませ、逃げるようにトイレを後にした。
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### **奈々の場合**
一方、大輔の体で過ごしている奈々も、同じ悩みを抱えていた。仕事中にトイレに行きたくなり、男性用トイレの前で立ち尽くしていた。
「行かなきゃいけないのは分かってるけど…ここ、男の人たちの世界じゃん!」
男性社員が次々と扉を出入りする様子を目の当たりにし、ますます躊躇してしまう。
「うう…このままじゃ膀胱が破裂する…!」
勇気を出して扉を押すと、目に飛び込んできたのは小便器がずらりと並ぶ光景。
「これが噂の…小便器…。初めて見たけど、なんか変な感じ。」
すぐに個室に駆け込み、戸を閉めた奈々は深呼吸した。用を済ませると、ふと大輔の体で男性用トイレにいることに不思議な感覚を覚える。
「これが大輔さんの毎日なのか…意外と窮屈なんだな。」
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### **帰り道での会話**
その日の帰り道、2人は互いの体験について語り合った。
「奈々さん、女性用トイレって意外と緊張するんだな。中でみんな話してるし、何か…俺がいちゃいけない場所みたいな気がしてさ。」
大輔が苦笑いしながら話すと、奈々も頷いた。
「私も、男性用トイレって独特な空間だね。みんな無言で用を足してて、なんか怖いくらい静か。」
「でも、慣れるまで結構時間かかりそうだよな。」
「うん。でも、こうやって互いの感覚を共有できるのも貴重だね。」
2人は互いの体験を笑い合いながら、それぞれの生活の一端を少しずつ理解していった。
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### **次への挑戦**
その夜、2人はそれぞれの日記に今日の出来事を書き残した。
「トイレの中も異文化体験。」
そう書き終えた大輔と奈々は、入れ替わりの生活がまだまだ続くことを予感しながら、次の挑戦に思いを馳せるのだった――。
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