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タイムリミット
しおりを挟む午後の仕事が一区切りし、デスクに戻った美咲(隆司の姿)はふぅっと息を吐いた。
ポケットの中のスマホが震え、画面を見ると――美咲の姿をした隆司からLINEが届いていた。
> クリームの効果は24時間だから、今日の17:30でちょうど切れるはず。
> だから絶対それに間に合うように帰って来てね!
時刻はすでに15時を回っている。あと二時間半。
(うわ……カウントダウン感あるわね……。もし会社で元に戻っちゃったら大騒ぎになるじゃない!)
そう思いながらも、美咲はにやりと笑い、机の下でこっそり返信を打ち始めた。
> ねぇ、考えてみたんだけど……もしオフィスで急に「隆司の姿の私」が「私の姿」に戻ったら……面白くない?
送信ボタンを押した瞬間、思わずクスクスと声が漏れてしまい、慌てて咳払いでごまかす。
数秒後、スマホが震えた。即座に返信が来る。
> 面白いわけないだろ!!!
> 会社パニックになるし、絶対ダメだからな!
> すぐに帰ってこい‼
画面に並んだ「!!!」の数に、思わず吹き出してしまう美咲。
(あはは、隆司ったら本気で焦ってる……。でもちょっとからかうと面白いのよね)
もう一度スマホを開いて、にやけながら短く返す。
> ふふっ、冗談よ。ちゃんと帰るから安心して!
送信したあと、画面を閉じながら思わず独り言。
「でも……もし本当に会社で元に戻っちゃったら、それはそれで伝説になりそうよね」
そんな危うい冗談を胸にしまい、美咲は午後の業務に戻っていった。
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