ビキニに恋した男

廣瀬純七

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新しい自分の始まり

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博史が治験施設に入ってから一週間が経った。鏡の前に立つ彼は、もう以前の自分を思い出せないほど変わっていた。肩幅は狭まり、胸元にはしっかりとした膨らみがあり、ウエストはくびれ、腰回りが丸みを帯びている。全身の曲線が完全に女性のものになっていた。

その姿を確認するたび、胸の奥から高揚感が湧き上がる。施設の医師から「これで身体の変化は安定しました」と告げられた時、博史は静かに拳を握りしめた。

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### **ビキニとの再会**

個室に戻ると、彼が密かに用意していたお気に入りのビキニがベッドの上に置かれていた。それは鮮やかなターコイズブルーのデザインで、彼が「これを着たい」と願い続けていた夢そのものだった。

ゆっくりとビキニのトップスを身に着け、次にボトムを履く。動作はぎこちなく、少し手が震えた。それでもショートヘアのウイッグを被って鏡の前に立つと、そこにはまぎれもなくビキニが「似合う」体の自分が映っていた。

「……これが、僕の夢だったんだ。」

博史は思わず涙ぐんだ。ビキニのラインがぴたりとフィットする自分の体は、まるでずっと前から女性として生きていたかのように自然に見えた。

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### **新しい装い**

ビキニ姿を存分に堪能した後、博史は服を着替えることにした。まずは準備しておいた女性用の下着を身につける。ストラップ付きのブラジャーを着ける感覚はまだ少し慣れないが、もう戸惑いはない。

次に、用意していた黒のシンプルなスーツを取り出した。ジャケットを羽織り、スカートを履くと、鏡に映る自分はビジネスウーマンそのものだった。ヒールの靴も試しに履いてみると、足元がぐっと引き締まって見える。

「よし、完璧だ。」

彼は微笑んで自分の姿を確認し、新しい自分への誇りが湧き上がってきた。

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### **帰り道の期待と緊張**

治験施設を出る時、スタッフたちは温かい拍手で送り出してくれた。「新しい人生を楽しんでください」と声をかけられた時、博史は「ありがとうございます」と女性らしい声で答えた。

自宅へ向かう帰り道、博史はまだ慣れないヒールの感覚を確かめながら歩いた。街を行き交う人々の視線は特に気にならなかった。むしろ、「これが普通なんだ」と思えた。

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### **自宅での新しい日常**

家に帰りついた博史は、まず荷物を置き、改めて鏡の前に立った。スーツ姿も、女性らしい仕草も、どれもが自分に馴染んでいるように感じられる。

「これから、どうなるんだろう……?」

その問いに答えはなかったが、博史の胸には確かな期待があった。自分が夢見てきた「ビキニが似合う自分」を叶えただけではない。これからの人生は新しい自分で切り開いていくのだ。

彼はビキニをきれいにたたんでクローゼットにしまいながら、次の休日に海に行く計画を立て始めていた。
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