ビキニに恋した男

廣瀬純七

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変化の兆し

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ナノロボットの注射を受けた翌朝、博史は目覚めると体にだるさを感じた。額に手を当てると、ほんのり熱い。熱を測ってみると37.8℃。軽い微熱だったが、倦怠感は確かにあった。

「これがナノロボットの影響……?」

研究所から事前に「初期反応として微熱やだるさが出る場合がある」と説明されていたことを思い出し、博史は冷静でいようと努めた。念のために水を飲み、布団に横になりながら様子を見ることにした。

---

### **初めての変化**

午後になる頃には熱は下がり、体調も少しずつ回復してきた。立ち上がると、何となく身体が軽く感じられる。そして、ふと鏡に映った自分の顔を見て、博史は違和感を覚えた。

「……肌が、なんか違う?」

頬をそっと触ると、肌が滑らかで柔らかくなっていることに気付いた。今まではダイエットやスキンケアに気を遣っていてもどこか男性的な粗さが残っていた肌が、明らかに女性的な質感になっている。

「これが……ナノロボットの効果?」

博史の心は期待と驚きで高鳴った。体温が下がり、少し落ち着いた頃には鏡の前で自分の変化を確認するのが止まらなくなった。胸元や腰周りに目をやると、微妙だが脂肪の付き方が違ってきている気がした。

---

### **加速する変化**

翌日になると、変化はさらに顕著になった。声が少し高くなり、手足が以前よりも細くしなやかになっているのを感じた。特に驚いたのは、髪の質感だ。短髪ではあったが、髪が柔らかく艶やかになり始めている。

「まるで、別の人間になっていくみたいだ……」

数日後、ウエストがくびれ始め、胸元にはわずかな膨らみが見え始めた。体脂肪が少しずつ女性的なバランスに移行しているのが明らかだった。博史は鏡の前で自分の体をじっくりと観察し、心の中で喜びと戸惑いが入り混じった感情を味わっていた。

---

### **心の変化**

博史はふと、恋人の彩のことを思い出した。彼女に変化を伝えようかどうか悩んだが、まだ言えなかった。彼の中で、彩にどう思われるかという不安が募っていた。

「これで、僕はビキニが似合う体になれるのだろうか……いや、なれる。きっとなれるはずだ。」

博史は一人で呟きながら、自宅の中でそっとビキニを手に取った。まだ完全に着る勇気はなかったが、鏡の前でビキニを体に合わせるだけで胸が高鳴った。

---

### **加速する期待**

その後も日々の変化は続き、博史の体は徐々に理想の女性らしい形へと近づいていった。腰のラインはさらにしなやかになり、胸元の膨らみも顕著になっていく。脚の形も引き締まり、滑らかなカーブが生まれた。

彼の悩みは確かに少しずつ解消されつつあった。鏡に映る自分の姿を見て、博史は笑みを浮かべた。

「もう少しで、僕の夢が叶う……!」 

ナノロボットの効果を実感しながら、博史は新しい自分への期待を胸に、さらなる変化の日々を迎えた。
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