宇宙人へのレポート

廣瀬純七

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一週間後

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それから一週間が経った。直人と紗栄子は、入れ替わった体に少しずつ慣れてきたものの、ゼリウス星人からの質問は相変わらず奇妙で、毎朝チェックするたびにため息をつくようになっていた。質問は時に日常的なこと、時に理解を超えるものまで幅広く、二人は「どうしてこんなことまで聞かれるのか」と疑問に思うことも多かった。

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**その日の朝:直人の部屋**

紗栄子はスマートフォンの通知を見て目を覚ました。ゼリウス星人からのメッセージに目を通し、再び困惑する。

**ゼリウス星人観測本部より:**

> **質問**:食事の摂取と消化に違和感はありませんか?また、体のホルモンの影響による気分の変化なども含めて詳細に観察してください。

「体のホルモンって…」と紗栄子はつぶやき、起き抜けに頭を抱えた。「宇宙人にそんなこと聞かれても、私だってよくわからないわよ…」

それでも、何とか返事を書かなくてはならないと感じた紗栄子は、返信を簡潔にまとめた。

**紗栄子の返信**:

> 大きな違和感はありませんが、男性の体での食欲や疲労感の違いについては感じています。また、精神的な影響も若干あるように思います。

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一方、直人もまた奇妙な質問を受け取っていた。

**ゼリウス星人観測本部より:**

> **質問**:社会的な場で、体の性別が変わったことによる交流や周囲の反応に違いはありますか?周囲の人々の対応に変化が見られる場合、詳細に報告してください。

直人はこの質問に少し驚きながらも、実際に体の性別が変わったことで友人たちの反応が微妙に変わっていることに気づいていた。「たしかに…紗栄子の体になってから、友達の冗談の内容も変わった気がするし、話し方も少し丁寧になった気がする…」

そう考えながら、直人もまた観察内容を記録し、返信を打ち始めた。

**直人の返信**:

> 体が女性のものになってから、友人たちの会話の内容が微妙に変わっていることに気づきました。特に冗談の内容や距離感のとり方が異なるように感じます。これは人間関係において性別が持つ影響が反映されていると思われます。

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その日の午後、二人はまたしても大学近くのカフェで合流し、お互いのレポートについて話し合うことにした。テーブルに座ると、二人とも深いため息をついた。

「本当に、宇宙人って人間の細かいことに興味があるんだね」と紗栄子がぼんやりとつぶやいた。

「たしかにな。しかも、食事のこととか、体の微妙な変化まで詳しく聞いてくるからさ、なんか実験対象にされてる気分だよ」直人も苦笑いを浮かべて返す。

「でも、こうやって体が入れ替わって生活してみると、たしかに普段気づかないことにも目が向くようになったかも…」

「それはあるな。俺も、紗栄子の体で生活してみて、自分とは違う視点が増えた気がする」

二人はお互いに微笑み合い、少しずつ奇妙な状況に対する不安が和らいでいくのを感じた。

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そして、その夜も「宇宙人へのレポート」を欠かさず記録する二人。いつ終わるとも知れないこの観察生活の中で、彼らは少しずつ、お互いをより深く理解するための旅を進めていた。
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