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プロローグ
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「すまない、アナスタージア。心の中に別の女性への気持ちを残して君と夫婦にはなれない。本当に、すまない」
今日結婚式を挙げたばかりの、愛おしい夫にそう言われたので――
わたしは、夫の初恋の相手を見つけてあげたあとで、離縁することを決意した。
☆
わたしとクリフ・ラザフォード公爵様の結婚は、昨年代替わりされた前王陛下の命令だった。
わたし――アナスタージアは、マクニール伯爵令嬢だ。
しかも、古参貴族ではなく、新興貴族の伯爵令嬢である。
ここバレル王国は周囲を大国に囲まれる小国で、二十年前ほど前に国家の存続が危ぶまれるほどの財政難に陥った。
大陸が覇権を争って戦を繰り返していた時代ならば、あっという間に属国にされてもおかしくないほど国が疲弊していたが、幸か不幸か、大陸は平和そのもので、どこの国も小さなバレル王国を乗っ取ろうなどとはしなかった。
わたしとしては、むしろどこかの大国の属国になった方が、この国に住む国民にとっては幸せなことだったのではないかと思うけれど、もちろんそんなことを口にすれば不敬罪だの国家転覆罪だのが適用される案件なのでお口にチャックである。
そんなわけでバレル王国は他国に侵略されるという憂き目にあわずにすんだわけだが、逆を言えば、どこの国も財政難の小国なんてほしくなかったのだろう。バレル王国を支援してやろうと手を上げる国もなかった。
バレル王国は自然豊かな小国だが、言い換えれば自然しかないような国だ。
近隣諸国で相次いで産業革命が興る中、まるで過去に取り残されたように農業や畜産業にばかり精を出していたせいか、時代の波に取り残されて、あっという間に国が疲弊した。
灌漑や蝗害が続いたせいもあるだろう。
気づけば国庫は底をつき、しかしどこの国も支援してくれず、先王陛下はほとほと困り果てたらしい。
そして、考えた。
金がなければ、金持ちから集めればいい。
そうしてはじまったのが、国に多大なる寄付をした金持ちに爵位を与えて封土するという、徐爵ラッシュである。
国が財政難と言うことは、各地でも財政難が起きているということだ。
国には各領地で集められた税金が納められるわけで、その税金が滞りなく例年通り納税されていたら財政難なんて起きないからである。
各地で収穫量が減り、産業革命の進む近隣諸国から安い農作物が輸入されるようになって、領主の椅子に座ってふんぞり返っているだけだった無能な貴族が収める領地は疲弊した。
それだけではない。収入が減ったというのに支出を減らさなかった贅沢気質の抜けない貴族たちは相次いで没落していき、その土地はすべて王家預かりとなった。
しかしながら、王家としてもそうして回収された土地の運営には手を焼いており、どこかのタイミングでとっとと新しい領主を据えてその土地を押し付けてやりたいと狙っていたらしい。
そこで前王陛下は、国の財政難と邪魔な土地の管理を一手に解決する打開策を思いついたわけだ。
それが、新興貴族制度である。
国は財政難だし、古参貴族は頭の固い人間ばかりだが、国内には他国の真似をして技術を取り入れはじめた大商人と呼ばれる大富豪も数多く存在した。
彼等は他国から安い農作物を仕入れて販売したり、逆に国内で採れたものを加工し他国に販売することで莫大な富を築き上げた。
国が財政難でもなんとか存続できたのは、そうした大富豪が納める税金のおかげだったのだ。
前王陛下はそんな大富豪を集めて言った。
「国に多大なる寄付をしてくれたものには爵位と土地を与えよう」
前王陛下はよくわかっていたのだ。
すべてを手に入れたような大金持ちの大富豪たちが唯一欲しくても手に入れられなかったもの。それが爵位であったことを。
大富豪たちは大喜びで国に多額の寄付をし、爵位と土地を手に入れた。
わたし、アナスタージアの実家マクニール伯爵家も、そんな新興貴族の一つである。
マクニール伯爵家は、もとはバレル王国の隣国カンニガム大国にいる親戚と協力して大陸でも手広く商売を広げている大商人だった。
前王陛下が新興貴族制度を打ち出した二十年前は、マクニール家の当主はわたしのおじい様だったけれど、もともと貴族に憧れていたおじい様は喜んでバレル王国に多大な献金をし、伯爵位とそこそこ広い土地を手に入れた。
新興貴族制度で与えられる爵位は男爵から伯爵までと決まっており、伯爵位を与えられたのはマクニール家とあと一つの家のみ。
それだけで、おじい様がどれだけの金を国に積んだのかが押して測れるというものだ。
この新興貴族制度のおかげで国は難を脱したが、とはいえ、まだまだ国の財政は安全とは言い難かった。
そこで前王陛下はさらに考えた。
国の中枢に残る頭の固い古参貴族より、柔軟な考えが出来て金儲けが得意な新興貴族を政治にも介入させることにしたのである。
しかし、いきなり新興貴族を政治に登用すれば、古参貴族たちからの反発も大きい。
前王陛下は悩み、新興貴族たちに後ろ盾をつけることにした。
自分の息のかかった古参貴族や王族たちと縁を結ばせようと考えたのである。
わたし、アナスタージアとクリフ様の結婚も、そうした前王陛下の企みによってまとめられた縁である。
おじい様はよほどの大金を国に差し出したのだろう。
前王陛下が結んだ縁で、王族との結婚が許されたのは新興貴族の中でマクニール家だけだった。
そしてわたしとクリフ様は、わたしが十八歳、クリフ様が二十一歳になった年に、結婚式を挙げることになったのである。
☆
華やかな結婚式を終えたわたしは、寝室にやって来たクリフ様の沈痛そうな顔を思い出していた。
先ほど何度も「すまない」と謝って寝室から出て行ったクリフ様は戻ってこないだろう。
初夜のために飾り付けられた部屋にぽつんと一人。
ベッドに腰かけ、クリフ様が出て行った扉を見つめるわたしの目からは涙があふれて止まらなかった。
――すまない、アナスタージア。心の中に別の女性への気持ちを残して君と夫婦にはなれない。本当に、すまない。
クリフ様に言われた言葉を何度も何度も心の中で繰り返す。
クリフ様にはじめてお会いしたのは、わたしが十三歳のときだった。
前王陛下によって婚約がまとめられていたとはいえ、王族であるクリフ様に失礼があってはいけないと、わたしは王族と対面しても問題ないとマナー教師に合格が出るまで彼との顔合わせは見送られていた。
これは、せっかく結んでいただいた縁が白紙に戻るのを恐れたおじい様がそうすべきと判断したのだ。
公爵家に嫁ぐだけのマナーと教養。
幼いころからたくさんの教師について必死に学び、やっと絵姿でしか知らなかったクリフ様とお会いしたとき、わたしは一目で彼に恋をした。
三歳年上の彼は金色の髪に紺色の瞳を持つ、物腰おだやかでとても素敵な方だった。
手を繋いでお城の庭を散歩した。
一緒にお茶を飲み、お菓子を食べ、たくさんお喋りした。
クリフ様は楽しそうにわたしの話に耳を傾けてくれ、またわたしもクリフ様のお話をたくさん聞いた。
はじめてお会いしてから五年。
わたしたちは少しずつ、だが確実に心を通わせた――少なくとも、わたしは、そう信じていた。
だけど、違ったのだ。
……初恋の方がいらっしゃるのにわたしと結婚しなければならなかったクリフ様は、どんなにつらかったかしら。
だからこそ、だろう。
クリフ様は自身に忘却の魔法をかけて、一部の記憶を消し去ってしまったのだ。
その中には彼の初恋の女性の存在もあった。
しかし、よほど強く想っていらっしゃったのか、初恋の女性の顔は忘れても、初恋の人がいたという事実は彼の心に深く刻まれたままだった。
クリフ様自身も、どこの誰かもわからない、顔も忘れてしまった、けれども初恋の女性。
「……クリフ様にとってわたしは、初恋の女性との仲を引き裂いた悪女でしょうね」
もっと早く知っていたらと思わなかったわけではない。
だけど、それを知ったところでこの結婚は止まらなかっただろう。だって王命なのだ。
ゆえにクリフ様は初恋の人を忘れてわたしを結婚しようとしたのだ。失敗したけど。
……優しくて誠実で、残酷な人。
でも、そんなクリフ様が、わたしはやっぱり好きなのだ。
わたしは涙を拭いて、大きく深呼吸をする。
このままクリフ様の結婚生活を続けたところで、きっとわたしたちは幸せになれない。
クリフ様はずっとつらいままだろう。
わたしも、彼が初恋の女性を想い続けているのをそばで見続けるのはつらい。
だから、わたしは決める。
彼自身も忘れてしまったクリフ様の初恋の女性を、探そう。
そして、離縁するのだ。
それがわたしにとっても、クリフ様にとっても、一番幸せになれる道である。
……待っていてくださいね、クリフ様。必ず初恋の女性を探して差し上げますから。
夫が出て行った夫婦の寝室で、わたしは固く決意した。
今日結婚式を挙げたばかりの、愛おしい夫にそう言われたので――
わたしは、夫の初恋の相手を見つけてあげたあとで、離縁することを決意した。
☆
わたしとクリフ・ラザフォード公爵様の結婚は、昨年代替わりされた前王陛下の命令だった。
わたし――アナスタージアは、マクニール伯爵令嬢だ。
しかも、古参貴族ではなく、新興貴族の伯爵令嬢である。
ここバレル王国は周囲を大国に囲まれる小国で、二十年前ほど前に国家の存続が危ぶまれるほどの財政難に陥った。
大陸が覇権を争って戦を繰り返していた時代ならば、あっという間に属国にされてもおかしくないほど国が疲弊していたが、幸か不幸か、大陸は平和そのもので、どこの国も小さなバレル王国を乗っ取ろうなどとはしなかった。
わたしとしては、むしろどこかの大国の属国になった方が、この国に住む国民にとっては幸せなことだったのではないかと思うけれど、もちろんそんなことを口にすれば不敬罪だの国家転覆罪だのが適用される案件なのでお口にチャックである。
そんなわけでバレル王国は他国に侵略されるという憂き目にあわずにすんだわけだが、逆を言えば、どこの国も財政難の小国なんてほしくなかったのだろう。バレル王国を支援してやろうと手を上げる国もなかった。
バレル王国は自然豊かな小国だが、言い換えれば自然しかないような国だ。
近隣諸国で相次いで産業革命が興る中、まるで過去に取り残されたように農業や畜産業にばかり精を出していたせいか、時代の波に取り残されて、あっという間に国が疲弊した。
灌漑や蝗害が続いたせいもあるだろう。
気づけば国庫は底をつき、しかしどこの国も支援してくれず、先王陛下はほとほと困り果てたらしい。
そして、考えた。
金がなければ、金持ちから集めればいい。
そうしてはじまったのが、国に多大なる寄付をした金持ちに爵位を与えて封土するという、徐爵ラッシュである。
国が財政難と言うことは、各地でも財政難が起きているということだ。
国には各領地で集められた税金が納められるわけで、その税金が滞りなく例年通り納税されていたら財政難なんて起きないからである。
各地で収穫量が減り、産業革命の進む近隣諸国から安い農作物が輸入されるようになって、領主の椅子に座ってふんぞり返っているだけだった無能な貴族が収める領地は疲弊した。
それだけではない。収入が減ったというのに支出を減らさなかった贅沢気質の抜けない貴族たちは相次いで没落していき、その土地はすべて王家預かりとなった。
しかしながら、王家としてもそうして回収された土地の運営には手を焼いており、どこかのタイミングでとっとと新しい領主を据えてその土地を押し付けてやりたいと狙っていたらしい。
そこで前王陛下は、国の財政難と邪魔な土地の管理を一手に解決する打開策を思いついたわけだ。
それが、新興貴族制度である。
国は財政難だし、古参貴族は頭の固い人間ばかりだが、国内には他国の真似をして技術を取り入れはじめた大商人と呼ばれる大富豪も数多く存在した。
彼等は他国から安い農作物を仕入れて販売したり、逆に国内で採れたものを加工し他国に販売することで莫大な富を築き上げた。
国が財政難でもなんとか存続できたのは、そうした大富豪が納める税金のおかげだったのだ。
前王陛下はそんな大富豪を集めて言った。
「国に多大なる寄付をしてくれたものには爵位と土地を与えよう」
前王陛下はよくわかっていたのだ。
すべてを手に入れたような大金持ちの大富豪たちが唯一欲しくても手に入れられなかったもの。それが爵位であったことを。
大富豪たちは大喜びで国に多額の寄付をし、爵位と土地を手に入れた。
わたし、アナスタージアの実家マクニール伯爵家も、そんな新興貴族の一つである。
マクニール伯爵家は、もとはバレル王国の隣国カンニガム大国にいる親戚と協力して大陸でも手広く商売を広げている大商人だった。
前王陛下が新興貴族制度を打ち出した二十年前は、マクニール家の当主はわたしのおじい様だったけれど、もともと貴族に憧れていたおじい様は喜んでバレル王国に多大な献金をし、伯爵位とそこそこ広い土地を手に入れた。
新興貴族制度で与えられる爵位は男爵から伯爵までと決まっており、伯爵位を与えられたのはマクニール家とあと一つの家のみ。
それだけで、おじい様がどれだけの金を国に積んだのかが押して測れるというものだ。
この新興貴族制度のおかげで国は難を脱したが、とはいえ、まだまだ国の財政は安全とは言い難かった。
そこで前王陛下はさらに考えた。
国の中枢に残る頭の固い古参貴族より、柔軟な考えが出来て金儲けが得意な新興貴族を政治にも介入させることにしたのである。
しかし、いきなり新興貴族を政治に登用すれば、古参貴族たちからの反発も大きい。
前王陛下は悩み、新興貴族たちに後ろ盾をつけることにした。
自分の息のかかった古参貴族や王族たちと縁を結ばせようと考えたのである。
わたし、アナスタージアとクリフ様の結婚も、そうした前王陛下の企みによってまとめられた縁である。
おじい様はよほどの大金を国に差し出したのだろう。
前王陛下が結んだ縁で、王族との結婚が許されたのは新興貴族の中でマクニール家だけだった。
そしてわたしとクリフ様は、わたしが十八歳、クリフ様が二十一歳になった年に、結婚式を挙げることになったのである。
☆
華やかな結婚式を終えたわたしは、寝室にやって来たクリフ様の沈痛そうな顔を思い出していた。
先ほど何度も「すまない」と謝って寝室から出て行ったクリフ様は戻ってこないだろう。
初夜のために飾り付けられた部屋にぽつんと一人。
ベッドに腰かけ、クリフ様が出て行った扉を見つめるわたしの目からは涙があふれて止まらなかった。
――すまない、アナスタージア。心の中に別の女性への気持ちを残して君と夫婦にはなれない。本当に、すまない。
クリフ様に言われた言葉を何度も何度も心の中で繰り返す。
クリフ様にはじめてお会いしたのは、わたしが十三歳のときだった。
前王陛下によって婚約がまとめられていたとはいえ、王族であるクリフ様に失礼があってはいけないと、わたしは王族と対面しても問題ないとマナー教師に合格が出るまで彼との顔合わせは見送られていた。
これは、せっかく結んでいただいた縁が白紙に戻るのを恐れたおじい様がそうすべきと判断したのだ。
公爵家に嫁ぐだけのマナーと教養。
幼いころからたくさんの教師について必死に学び、やっと絵姿でしか知らなかったクリフ様とお会いしたとき、わたしは一目で彼に恋をした。
三歳年上の彼は金色の髪に紺色の瞳を持つ、物腰おだやかでとても素敵な方だった。
手を繋いでお城の庭を散歩した。
一緒にお茶を飲み、お菓子を食べ、たくさんお喋りした。
クリフ様は楽しそうにわたしの話に耳を傾けてくれ、またわたしもクリフ様のお話をたくさん聞いた。
はじめてお会いしてから五年。
わたしたちは少しずつ、だが確実に心を通わせた――少なくとも、わたしは、そう信じていた。
だけど、違ったのだ。
……初恋の方がいらっしゃるのにわたしと結婚しなければならなかったクリフ様は、どんなにつらかったかしら。
だからこそ、だろう。
クリフ様は自身に忘却の魔法をかけて、一部の記憶を消し去ってしまったのだ。
その中には彼の初恋の女性の存在もあった。
しかし、よほど強く想っていらっしゃったのか、初恋の女性の顔は忘れても、初恋の人がいたという事実は彼の心に深く刻まれたままだった。
クリフ様自身も、どこの誰かもわからない、顔も忘れてしまった、けれども初恋の女性。
「……クリフ様にとってわたしは、初恋の女性との仲を引き裂いた悪女でしょうね」
もっと早く知っていたらと思わなかったわけではない。
だけど、それを知ったところでこの結婚は止まらなかっただろう。だって王命なのだ。
ゆえにクリフ様は初恋の人を忘れてわたしを結婚しようとしたのだ。失敗したけど。
……優しくて誠実で、残酷な人。
でも、そんなクリフ様が、わたしはやっぱり好きなのだ。
わたしは涙を拭いて、大きく深呼吸をする。
このままクリフ様の結婚生活を続けたところで、きっとわたしたちは幸せになれない。
クリフ様はずっとつらいままだろう。
わたしも、彼が初恋の女性を想い続けているのをそばで見続けるのはつらい。
だから、わたしは決める。
彼自身も忘れてしまったクリフ様の初恋の女性を、探そう。
そして、離縁するのだ。
それがわたしにとっても、クリフ様にとっても、一番幸せになれる道である。
……待っていてくださいね、クリフ様。必ず初恋の女性を探して差し上げますから。
夫が出て行った夫婦の寝室で、わたしは固く決意した。
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