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デパートデート 5
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王妃様のお茶会の二日前、わたしの侍女が決まった。
クリフ様が国王陛下経由で王妃様にご相談してくださったところ、王妃様の従妹の娘であるセイディ・ポロック伯爵令嬢を紹介されたのだ。
セイディはわたしと同じ十八歳で、新興貴族の子爵家の息子と婚約関係にあるそうだ。
来年結婚予定だが結婚後も働ける場所で、なおかつ新興貴族と縁のある就職先を探していたそうで、わたしが侍女を探していると聞いて手を上げてくれたという。
『婚約者は我が家に婿に来てくれる予定なんですが、父も元気なので当分は爵位を継がず城で文官仕事をするんです。その、お恥ずかしいことに、うちの領地経営がうまくいっていなくて、現在婚約者の子爵家と協力して立て直し中でして、わたしも婚約者も外で働いて支えることにしたんです』
セイディはそう言って笑った。
王妃様の縁戚の伯爵令嬢で、婚約者も新興貴族なので、新興貴族の出であるわたしに対する偏見はないという。さらに家が古参貴族であるので、彼等の扱いも心得ているし人脈もある。わたしにとってとても心強い侍女だった。
セイディが慣れるまではドロシアが補佐につき、慣れた頃にドロシアはわたしの専属から離れることになるそうだ。
ドロシアはメイド頭なので、もともとラザフォード公爵家のメイドを管理する立場である。それに戻るらしい。
王妃様からお茶会に出席する方の名簿をお借りして、セイディと共に二日かけて対策を練った。
ちなみに、名簿の中にはクリフ様の初恋相手であるビアトリス・アストン侯爵令嬢の名前もあってちょっぴり憂鬱になった。
セイディによると、アストン侯爵家は新興貴族蔑視の古参貴族代表のような家らしい。
平民が貴族を名乗るなんて汚らわしいと考えているようで、お茶会でわたしへのあたりが強くなるだろうとセイディは言った。
「王妃様は定期的にお茶会を開催して、古参貴族と新興貴族が手を取り合って国をよくしていかなくてはならないと説いていらっしゃるんだけど、なかなかうまくいっていないんです。ですので、奥様がラザフォード公爵家に嫁いでくださったのを機に、一緒に頭の固い古参貴族たちの説得を試みたいとお考えのようですわ」
「わ、わたしにはとても荷が重そうだけど……」
「確かに奥様は難しい立場でいらっしゃいますが、身分で言えば女性の中では王妃様に次いで尊い身分です。王妃様は奥様と協力することをお望みです。とはいえ、奥様への風当たりの強さはご理解くださっているので、しばらくは王妃様主催のお茶会に顔を出すだけで充分だとお考えです。それほど緊張しなくても大丈夫ですわ。わたくしもおそばにおりますから」
セイディに励まされて、わたしはわかったわと頷く。
クリフ様に嫁ぎ際に、覚悟はしていたのだ。
……クリフ様とこの先離縁するにしてもしないにしても、今はわたしが公爵夫人だもの。
コニーリアス様に言われたことについては、正直まだ答えが出ていない。
やはりクリフ様は初恋相手であるビアトリス様と再婚した方がいいのではないかとも、まだ思っている。
けれど、デパートでのクリフ様のビアトリス様への態度を見ていると、初恋相手と認識していないようで、今の状態ではビアトリス様が初恋相手ですよとクリフ様に教えてもうまくいかないような気もしている。
クリフ様が忘れた記憶を思い出さなくては、まとまるものもまとまらないだろう。
でも、コニーリアス様はクリフ様の忘れた記憶を戻すのは方法はあるけど許可できないとおっしゃった。
ならばわたしはどうしたらいいだろう。
わたしは心のどこかで、初恋相手と会えばクリフ様の記憶が戻るかもしれないなんて安易に考えていたのだろう。
戻らない今、何が正解かわからなくなっている。
いっそクリフ様から、ビアトリス様が好きなことを想い出したから離縁してくれと言って引導を渡してくれたらいいのに。
そしたらあきらめもつくし、こんなに迷わなくていいのに……。
わたしはお茶会の招待客リストを眺めながら、そっと息を吐き出した。
クリフ様が国王陛下経由で王妃様にご相談してくださったところ、王妃様の従妹の娘であるセイディ・ポロック伯爵令嬢を紹介されたのだ。
セイディはわたしと同じ十八歳で、新興貴族の子爵家の息子と婚約関係にあるそうだ。
来年結婚予定だが結婚後も働ける場所で、なおかつ新興貴族と縁のある就職先を探していたそうで、わたしが侍女を探していると聞いて手を上げてくれたという。
『婚約者は我が家に婿に来てくれる予定なんですが、父も元気なので当分は爵位を継がず城で文官仕事をするんです。その、お恥ずかしいことに、うちの領地経営がうまくいっていなくて、現在婚約者の子爵家と協力して立て直し中でして、わたしも婚約者も外で働いて支えることにしたんです』
セイディはそう言って笑った。
王妃様の縁戚の伯爵令嬢で、婚約者も新興貴族なので、新興貴族の出であるわたしに対する偏見はないという。さらに家が古参貴族であるので、彼等の扱いも心得ているし人脈もある。わたしにとってとても心強い侍女だった。
セイディが慣れるまではドロシアが補佐につき、慣れた頃にドロシアはわたしの専属から離れることになるそうだ。
ドロシアはメイド頭なので、もともとラザフォード公爵家のメイドを管理する立場である。それに戻るらしい。
王妃様からお茶会に出席する方の名簿をお借りして、セイディと共に二日かけて対策を練った。
ちなみに、名簿の中にはクリフ様の初恋相手であるビアトリス・アストン侯爵令嬢の名前もあってちょっぴり憂鬱になった。
セイディによると、アストン侯爵家は新興貴族蔑視の古参貴族代表のような家らしい。
平民が貴族を名乗るなんて汚らわしいと考えているようで、お茶会でわたしへのあたりが強くなるだろうとセイディは言った。
「王妃様は定期的にお茶会を開催して、古参貴族と新興貴族が手を取り合って国をよくしていかなくてはならないと説いていらっしゃるんだけど、なかなかうまくいっていないんです。ですので、奥様がラザフォード公爵家に嫁いでくださったのを機に、一緒に頭の固い古参貴族たちの説得を試みたいとお考えのようですわ」
「わ、わたしにはとても荷が重そうだけど……」
「確かに奥様は難しい立場でいらっしゃいますが、身分で言えば女性の中では王妃様に次いで尊い身分です。王妃様は奥様と協力することをお望みです。とはいえ、奥様への風当たりの強さはご理解くださっているので、しばらくは王妃様主催のお茶会に顔を出すだけで充分だとお考えです。それほど緊張しなくても大丈夫ですわ。わたくしもおそばにおりますから」
セイディに励まされて、わたしはわかったわと頷く。
クリフ様に嫁ぎ際に、覚悟はしていたのだ。
……クリフ様とこの先離縁するにしてもしないにしても、今はわたしが公爵夫人だもの。
コニーリアス様に言われたことについては、正直まだ答えが出ていない。
やはりクリフ様は初恋相手であるビアトリス様と再婚した方がいいのではないかとも、まだ思っている。
けれど、デパートでのクリフ様のビアトリス様への態度を見ていると、初恋相手と認識していないようで、今の状態ではビアトリス様が初恋相手ですよとクリフ様に教えてもうまくいかないような気もしている。
クリフ様が忘れた記憶を思い出さなくては、まとまるものもまとまらないだろう。
でも、コニーリアス様はクリフ様の忘れた記憶を戻すのは方法はあるけど許可できないとおっしゃった。
ならばわたしはどうしたらいいだろう。
わたしは心のどこかで、初恋相手と会えばクリフ様の記憶が戻るかもしれないなんて安易に考えていたのだろう。
戻らない今、何が正解かわからなくなっている。
いっそクリフ様から、ビアトリス様が好きなことを想い出したから離縁してくれと言って引導を渡してくれたらいいのに。
そしたらあきらめもつくし、こんなに迷わなくていいのに……。
わたしはお茶会の招待客リストを眺めながら、そっと息を吐き出した。
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