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社交デビュー 4
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王都に到着すると、イアナはさっそくステファーニ公爵家のタウンハウスの中を探索した。
タウンハウスの使用人も、フェルナンドがエラルドの薬で若返ってしまったのを知っていたが、実際に目にするのははじめての人が多く、到着したときはとても驚いていた。
さらに、エラルドが作った指輪で元の姿にも戻れる――実際にはそう見えるようになるだけだが――のを知るとさらに仰天し、最終的に「エラルド様は天才ですねえ」の一言で落ち着いた。息子が褒められて、フェルナンドは複雑な顔をしている。薬で二十歳にされた当人としては、素直に喜んでいいのか微妙な気分になったようだ。気持ちはわかる。
クロエたちが持って来た荷物の片づけをしてくれるというので、フェルナンドと共にぐるりとタウンハウスの中を見て回った後、イアナは庭に降りることにした。
カントリーハウスの庭も見事だが、こちらの庭もすごく素敵だ。
魔術具が組み込まれた噴水に、釣鐘の形をした四阿。
噴水の近くには色とりどりのコスモスの花が揺れている。
裏庭には温室もあった。
せっかくだから四阿でお茶でも飲もうと誘われて、イアナはフェルナンドと共に大理石で作られた四阿の中に入る。
メイドが温かい紅茶とナッツがふんだんに乗ったバターケーキを運んできてくれた。
紅茶を飲んで一息つくと、フェルナンドがジャケットの内ポケットから手帳を取り出した。
「到着して早々で申し訳ないのだが、近日中のスケジュールを共有してもいいだろうか? もし問題がありそうなら調整するから、遠慮なく言ってくれ」
「はい、もちろんです」
王都には遊びに来たわけではなく社交をしに来たのである。公爵夫人としての務めをしっかりと果たさねば。
「まず、三日後に陛下たちにティータイムに誘われている。国王夫妻と十歳の第一王子と七歳の第二王子が参加予定で、去年生まれたばかりの第一王女はわからない。君に会いたいというだけの場なので気負わなくて大丈夫だが、参加すると返答して大丈夫だろうか?」
「大丈夫です」
国王夫妻と会うのは緊張するが、夫であるフェルナンドが国王の叔父である以上避けては通れぬ道である。イアナも覚悟していたことなので問題ない。
「ありがとう、それでは返信しておくよ。それから、社交の方だが、一番近くて来週の半ばにカルリ侯爵家で開かれるパーティーがある。カルリ侯爵は私の友人でできれば参加したいのだが、都合はどうだろうか? 難しいようなら私だけ行ってもいいのだが」
「いえ、ぜひご一緒させてください」
フェルナンドの友人には挨拶したいし、何と言っても今年最初の社交パーティーである。夫婦で参加しなくてどうするというのだ。
フェルナンドから現在招待状が来ている貴族の名前を聞き、参加しなくてもいいところ、どちらでもいいところ、参加した方がいいところを教えてもらったあとで、イアナはちょっと考えた。
カルリ侯爵家のパーティーには、恐らくジョルジアナや両親は参加しないだろう。カルリ侯爵は大臣で、あまり派手なパーティーを好まないため招待客も厳選しているそうだ。
しかし、参加した方がいいとフェルナンドが判断したパーティーの中には、ジョルジアナたちが来そうなものがある。これは要注意だろう。心して臨まねば。
「面倒な話はいったんこれで終了だ。明日は旅の疲れを取るためにのんびりするとして、明後日にでも仕立屋のマダムのところに顔を出してみるか。君の結婚式のドレスのことも相談しなくてはならないし、以前注文していたもので、仮縫いが終わっていると言われたものがあるのだろう?」
「はい。王都に来る用事があるなら試着してほしいと言われています」
子供服は大きめに作ってもらったし試着は必要ないと判断したのだが、ドレスは体型に沿って作るので、できれば試着したいと連絡を受けていた。サイズは教えたが、試着して作った方が綺麗に仕上がるという。王都に来ないのなら仕方がないが来るのならぜひ試着してほしいとマダムに言われていた。
マダムを邸に招くこともできるのだが、社交シーズンの今は、仕立屋も繁忙期。超がつくほど忙しい。王都探索も兼ねてこちらが店に寄った方がいいだろうとフェルナンドは判断したようだった。こういう気づかいができる旦那様、カッコいい。
(ふふっ、明日はお邸で旦那様とまったり、そして明後日は王都デート。幸せ!)
イアナはケーキを口に運び、頬を緩める。
ケーキも紅茶も美味しいし、フェルナンドは素敵だし、今日は天気もいい。王都の生活は幸先がよさそうだと、イアナは笑った。
タウンハウスの使用人も、フェルナンドがエラルドの薬で若返ってしまったのを知っていたが、実際に目にするのははじめての人が多く、到着したときはとても驚いていた。
さらに、エラルドが作った指輪で元の姿にも戻れる――実際にはそう見えるようになるだけだが――のを知るとさらに仰天し、最終的に「エラルド様は天才ですねえ」の一言で落ち着いた。息子が褒められて、フェルナンドは複雑な顔をしている。薬で二十歳にされた当人としては、素直に喜んでいいのか微妙な気分になったようだ。気持ちはわかる。
クロエたちが持って来た荷物の片づけをしてくれるというので、フェルナンドと共にぐるりとタウンハウスの中を見て回った後、イアナは庭に降りることにした。
カントリーハウスの庭も見事だが、こちらの庭もすごく素敵だ。
魔術具が組み込まれた噴水に、釣鐘の形をした四阿。
噴水の近くには色とりどりのコスモスの花が揺れている。
裏庭には温室もあった。
せっかくだから四阿でお茶でも飲もうと誘われて、イアナはフェルナンドと共に大理石で作られた四阿の中に入る。
メイドが温かい紅茶とナッツがふんだんに乗ったバターケーキを運んできてくれた。
紅茶を飲んで一息つくと、フェルナンドがジャケットの内ポケットから手帳を取り出した。
「到着して早々で申し訳ないのだが、近日中のスケジュールを共有してもいいだろうか? もし問題がありそうなら調整するから、遠慮なく言ってくれ」
「はい、もちろんです」
王都には遊びに来たわけではなく社交をしに来たのである。公爵夫人としての務めをしっかりと果たさねば。
「まず、三日後に陛下たちにティータイムに誘われている。国王夫妻と十歳の第一王子と七歳の第二王子が参加予定で、去年生まれたばかりの第一王女はわからない。君に会いたいというだけの場なので気負わなくて大丈夫だが、参加すると返答して大丈夫だろうか?」
「大丈夫です」
国王夫妻と会うのは緊張するが、夫であるフェルナンドが国王の叔父である以上避けては通れぬ道である。イアナも覚悟していたことなので問題ない。
「ありがとう、それでは返信しておくよ。それから、社交の方だが、一番近くて来週の半ばにカルリ侯爵家で開かれるパーティーがある。カルリ侯爵は私の友人でできれば参加したいのだが、都合はどうだろうか? 難しいようなら私だけ行ってもいいのだが」
「いえ、ぜひご一緒させてください」
フェルナンドの友人には挨拶したいし、何と言っても今年最初の社交パーティーである。夫婦で参加しなくてどうするというのだ。
フェルナンドから現在招待状が来ている貴族の名前を聞き、参加しなくてもいいところ、どちらでもいいところ、参加した方がいいところを教えてもらったあとで、イアナはちょっと考えた。
カルリ侯爵家のパーティーには、恐らくジョルジアナや両親は参加しないだろう。カルリ侯爵は大臣で、あまり派手なパーティーを好まないため招待客も厳選しているそうだ。
しかし、参加した方がいいとフェルナンドが判断したパーティーの中には、ジョルジアナたちが来そうなものがある。これは要注意だろう。心して臨まねば。
「面倒な話はいったんこれで終了だ。明日は旅の疲れを取るためにのんびりするとして、明後日にでも仕立屋のマダムのところに顔を出してみるか。君の結婚式のドレスのことも相談しなくてはならないし、以前注文していたもので、仮縫いが終わっていると言われたものがあるのだろう?」
「はい。王都に来る用事があるなら試着してほしいと言われています」
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マダムを邸に招くこともできるのだが、社交シーズンの今は、仕立屋も繁忙期。超がつくほど忙しい。王都探索も兼ねてこちらが店に寄った方がいいだろうとフェルナンドは判断したようだった。こういう気づかいができる旦那様、カッコいい。
(ふふっ、明日はお邸で旦那様とまったり、そして明後日は王都デート。幸せ!)
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