お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら

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第五章 獣人国の王都へ

#100 狂獣化

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 ノアルとの勝負に決着がついたと思ったら、気絶していたはずの決勝戦に残った二人の戦士が苦しみながら立ち上がり、僕とノアルへ攻撃を仕掛けてきた。


「ガァァァァッ!!!」

「速いっ……! くっ……!」


 僕の方へと突っ込んできた大剣を持った男の攻撃を、僕は片手剣で受け止めたのだが、その威力は先程戦った時とは比にならないくらいで、かなり重い。

 得物の質量の差もあるので不利だと思った僕は、相手の剣を滑らせるようにして受け流し、一度距離を取った。


「……ショーマ、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」


 ノアルの方は自慢のスピードで片手剣の男の攻撃を避けていた。

 だが、片手剣の男もノアルのスピードに対して少し喰らいつく素振りを見せていたので、どうやらスピードとパワーが桁違いに上がっているようだ。


「お、おいあれ、狂獣化じゃねぇか?」

「ほ、本当だ! やばいぞ!」


 狂獣化?

 何やら気になるワードが観客席から聞こえてきたかと思うと、観客達は慌てて席を立って闘技場から逃げ出し始めた。


「君達ー! その男達は狂獣化しているぞー!」


 そんな中、実況の男が僕達に大きな声で注意喚起を飛ばしてきた。


「狂獣化ってなんですかー!?」

「近頃、巷で発生している、獣人の者が突然狂ったように暴れ出す現象だー! 力、速さ、頑丈さが凄まじくアップし、近くのものを襲い続ける! すまないが、闘技場の用心棒では太刀打ちできないだろうから、強者である君達で抑えてくれないか!? 私達は騎士団を呼んでくる!」

「分かりました!」


 確かにこれだけ強くなってる相手に並の兵士や用心棒を当ててしまうと、犠牲者が出かねないだろう。

 実況の人に請われた通り、僕達でなんとか抑えよう。


「……ショーマ、これ、見た事ある」

「うん、僕も同じ事思ってた。 けど、今はこの人達を止めるのに集中しよう」

「……んっ」

「「グォォォォッ!!」」


 色々と確かめたい事はあるが、今はこの人達を何とか止めないと始まらない。

 それに、先程の攻撃を行ってから、狂獣化した男達の肌に浮き出た血管から所々ブシュッと血が吹き出始めていて、表情も終始苦しんでいるように見える。

 きっと、彼らも暴れたくて暴れている訳ではなく、苦しんでいる。

 彼らのためにも止めてあげなければ。


「『アイスボール』!」

「やぁぁぁっ!」

「「グァァァァ!?」」
 

 再び突っ込んできた狂獣化した男達を止めようと僕とノアルが戦う姿勢を見せていると、大剣の男はかなり大きな氷の塊に、片手剣の男は黒光りする戦鎚の一撃を横から食らって吹き飛んでいった。


「手伝うわ、二人とも」

「大丈夫ですかっ」

「アリシャ! セフィ!」


 それをしてくれたのはアリシャとセフィで、観客席からアリシャの風魔法を使って飛んできてくれたようだ。


「何なの、あいつら?」

「苦しそうです……」

「分からない…… けど、とりあえず止めよう。 僕とセフィで大剣の人、ノアルとアリシャで片手剣の人を見るよ。 向こうは協力する素振りはないけど、どういう動きしてくるかは分からないから、無理はせず無力化を目指そう」

「……んっ」

「分かったわ」

「はいっ……!」


 理性が無さそうとはいえ、二人で固まられると少し面倒なので、僕達は2:2で分かれて一人ずつ相手にしていくことにした。


「……アリシャ、私さっき身体強化使っちゃったから、もう筋肉痛。 アリシャの方に行かないようにするのが精一杯かも」

「十分よ。 私も魔法と弓で援護しつつ、隙を見て拘束魔法使うわ」

「……ん、了解」


 ノアルとアリシャはそう作戦を立てると、ノアルが片手剣の男へと突っ込んでいった。


「ガァァァッ!」

「……こっちこっち」


 それに応戦してきた片手剣の男だが、ノアルはその攻撃をひょいひょい避けつつ、僕達の前にいる大剣の男から少しずつ遠くに行くよう誘導してくれた。

 ああいう動き、本当にノアルは上手いな……

 僕達のパーティーだとノアルは遊撃ポジションだけど、場合によってはああして最前線に出て回避主体のタンクもできるのだから、本当に凄い。


「『アイスアロー』!」

「グァァ!?」


 そして、ノアルに気を取られていると、横からアリシャの魔法が飛んできた。

 が、ヒットした氷の矢は、片手剣の男の体に当たってダメージは与えたものの、突き刺さったりはしなかった。


「えぇっ、人の体にあれが刺さらないの、おかしくない?」


 アリシャの言う通り、アロー系の魔法は貫通力は無いが、普通の生物には普通に先端が刺さるくらいの威力がある。

 だが、片手剣の男の肌に当たった時、まるで金属にでも当たったかのような音を立ててアイスアローの魔法が砕けてしまっていた。

 頑丈さも上がるとは言ってたけど、ここまでとは……


「グォォォォ!」


 すると、僕達の前にいる大剣の男も、僕達目掛けて攻撃を仕掛けてきた。
 

「セフィ、僕とプルニーマで抑えるから、横から大きめのお願い!」

「分かりましたっ」


 あれだけ頑丈だと、僕の攻撃手段では手頃なものがないので、セフィに攻撃は任せ、僕は大剣の男目掛けて新しくアイテムボックスから出したプルニーマを3輪飛ばし、牽制していく。


「グゥゥ……!」


 その牽制は効果的で、大剣という重い武器ではひゅんひゅんと前後左右から飛んでくるプルニーマに対応できていなかった。

 しかし、かなりの切れ味があるプルニーマの攻撃も、大剣の男に浅い切り傷を作るだけで、大して効きはしていないようだ。


「グァァッ!」


 それでもイラつかせることには成功し、大剣の男は大剣を大きく振り回してプルニーマを追い払おうとした。

 だが、そんな大振りな攻撃には、当然隙がある。


「ごめんなさい、ちょっと痛いですよっ……!」

「ゴァァッ!?」
 

 すぐに踏み込める位置で待機していたセフィが、その隙を見逃さずに戦鎚モードにした愛用の武器で、大剣の男の左腕ごと殴り飛ばしていった。

 すると、バキィと骨が折れる嫌な音を立てながら、大剣の男は吹っ飛んで地面に倒れ伏した。

 相変わらず凄いパワーだけど、多分今のでもセフィはかなり手加減していたと思われる。

 恐らくセフィが本気であの戦鎚を振り抜いたら、普通の人間では原型を留めていられないだろう。


「ナイスだよ、セフィ」

「申し訳ないですが、腕一本は……」

「非常時だからしょうがないよ」

「グゥゥゥッ……!」

「えっ?」


 これで倒せただろうから、ノアルとアリシャの方へ加勢しに行こうと思っていたのだが、大剣の男はまるでゾンビかのようにフラフラとしながら立ち上がった。

 その右腕は見ただけで折れているのが分かるくらい変な方向に曲がっている。


「今の一撃を受けて立つのか……!?」

「お、おかしいですっ……」

「グガァァァァァッ!!」


 僕がプルニーマで付けた傷も合わせれば、無事な箇所を探す方が難しいくらい重傷のはずなのに、大剣の男は大きな咆哮を上げながら再び僕達に突っ込んできた。
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