お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら

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第五章 獣人国の王都へ

#101 予想外の弱点

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 既に戦闘不能になっておかしくない重傷を負いながら、狂獣化した大剣の男は尚も僕達に迫ってきた。


「ガァァァッ!」

「くぅ……! も、もう止まってくださいっ……! これ以上動いたらっ……!」

「グゥゥゥッ!」


 その攻撃を大剣モードにした自らの武器でセフィは受け止め、必死に大剣の男へ声をかけたが、大剣の男は止まる気配を見せなかった。


「ガァァァァァッ!」

「ちょっと、何でまだ動けるわけ!?」

「……タフすぎる」


 その状況はアリシャとノアルが相手にしている片手剣の男も同じようで、全身血だらけになりながら暴れ続けていた。


「くっ、こうなったら…… ごめん、皆んな! そのまま持ち堪えて! 『ヒール』!」


 このままでは、狂獣化した二人の命に関わると判断した僕は、回復魔法をかけて傷を治していった。

 僕達の負担は大きくなるけど、しょうがない……!


「ガァッ……! ぐっ…… く、くる、じぃ……!」

「グゥゥ……! がぁ…… いだいぃぃ……!」

「えっ……!?」

「「グォォォォォッ!!」」


 今、一瞬様子が変わった……?

 とりあえず、出血を止める程度の回復魔法をかけたんだけど、ヒールが効いた瞬間、理性が戻ったように見えた……

 またすぐ元通りになって今にも暴れ出しそうだけど……

 でも、今のはヒントな気がするっ。


「もしかして…… 皆んな、ここからはあの二人を拘束することを目標で動いて欲しい!」

「……なにか分かったの?」

「いや、全く確証はないんだけど、これ以上傷付けると本格的にあの二人の命が危ないから、ダメージを与えて無力化は諦めて、僕とアリシャの魔法で動きを止める。 できれば10秒くらいその場から動けなくさせたいな」

「分かったわ。 ノアル、あれ程のパワーがある相手を拘束する魔法はかなり魔力込めないとだから、魔力を高めている間、援護はできないわ」

「……問題ない。 発動できるようになったら教えて」

「分かったわ」

「セフィ、僕も拘束魔法ともう一つ同時に使う魔法の準備もあるから、足止め任せても良いかな?」

「はい、任せてくださいっ」

「「グォォォォッッ!!」」

「よし、仕切り直しだ!」


 僕達が手早く作戦を立てたところで、回復魔法を受けて少し様子がおかしくなっていた狂獣化している二人も再び暴れ出した。


「……んっ、こっちだよー」

「ふぅっ……! 力勝負は負けませんっ……!」


 それに対して、ノアルが片手剣の男と絶妙な距離感で斬り合い、セフィが武器を大楯モードにして大剣の男の攻撃を受け止めて足止めをしてくれる。

 その隙に、僕とアリシャはそれぞれ拘束魔法の準備をする。

 アリシャが先程言っていた通り、それなりに魔力を込めないと、狂獣化でパワーを増したあの二人には通用しないと思うので、時間をかけて魔力を高めていく。


「……よしっ、いけるわ!」

「うん、僕もいける! ノアル、セフィ、離れて!」

「……んっ!」

「はいっ」

「いくわよ…… 『アイスバインド』!」

「くらえっ! 『ロックバインド』!」

「ガァ!?」

「グゥ!?」

 
 ノアルとセフィの時間稼ぎのおかげで、滞りなく魔力を高められた僕達は、それぞれ拘束魔法を狂獣化した男達は放っていった。

 すると、片手剣の男には、周囲の何も無いところから突然太い氷の棒が何本も出現し、大剣の男には地面から伸びた土の塊が体に絡みつくように蠢き、狂獣化した二人の動きをガッチリと封じていった。

 ただ、相当量の魔力を込めたといえど、今のあの二人のパワーだといずれ抜け出されてしまうので、僕は急いで次に使う魔法のための魔力を高めていく。


「そしたら『ハイヒール』!」


 そうして僕が唱えたのは、先程使ったヒールよりも効果が高いハイヒールの魔法。


「ぐぅぅっ……! い、いたいぃ……! は、なせぇっ……! ガァァァ……!」

「くっ、これでもダメか……」


 先程のヒールで一瞬理性を取り戻したように見えたので、より効果の高いハイヒールをかけてみたのだが、確かに先程よりも明確に理性の片鱗が見えたものの、またすぐに凶暴化してしまった。

 やっぱり、この状態を解除はできないのか……?

 いや、待て……?

 解除、解除か……!


「もしかして、こっちか……? 『ハイキュア』!」

「ガッ……!?」


 おっ、きたか!?

 僕が今唱えたのは、毒や麻痺などの状態異常に満遍なく効くキュアのもう一段階効果の高いハイキュアという魔法だ。

 この状態を解除できないかという思考の下、やってみたのだが、ハイキュアの魔力が大剣の男を包み込んだ途端、大剣の男から何かが抜け落ちたかのように、先程まで纏っていた刺々しい魔力が霧散し、体から力が抜けてガクンとその場で意識を失った。


「よし、当たりだ! そっちにも!」

「グゥッ……!? ガ…… あぁ……」


 成功を確信した僕は、片手剣の男にもハイキュアをかけていった。

 すると、そちらも大剣の男と同様、ガクンと体から力が抜け、その場で気を失った。


「もう大丈夫かしら?」

「うん、気を失ったみたい」


 それを確認した僕とアリシャは、拘束魔法を解き、狂獣化していた二人を地面に横にさせた。

 その表情は体のダメージからか少し苦しそうではあるが、先程までの見てるこちらが苦しくなるような苦しみ方では無さそうなので、僕は二人に回復魔法をかけて、折れた腕や傷の応急処置を行なっていく。


 ――ガシャガシャガシャ!


「第一騎士団、現着した!」


 それが済んだ頃、ガシャガシャと音を立てながら鎧を着込んだオロンさんを始めとした騎士団の人達が僕達の方へと駆け寄ってきた。


「おや、ショーマ様! ご無事ですか!?」

「あ、はい。 こちらは特に怪我などはしてません」

「そうですか、それは何よりです。 狂獣化した者達がいると報せを受けて来たのですが……」

「この人達ですね」

「ショーマ様方が無力化を? 狂獣化した者は瀕死レベルの傷を負わせないと動きを止めないはずなのですが……」
 
「最初は確かにそうだったんですけど、動きを封じてハイキュアの魔法をかけてみたら、狂獣化を解除することができました」

「なんと……!? そのような方法があったのですね…… 我々では思いもつきませんでした」


 まぁ確かに、怪我をしても暴れ続ける者に対して、わざわざ回復魔法をかけようなんて発想も状況も中々起きないだろうからね。

 僕もたまたま状況が噛み合って回復魔法をかけてみただけだから、ほんとに運が良かった。
 
 とりあえず、戦いを大きな被害なく終えられたのは良かったな。

 ただ、聞きたいことはいっぱいできたから、その辺をオロンさんに聞くとしよう。
 
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