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第5話 崩れゆく高慢令嬢
〇
それから数日後。春祭の余韻がまだ街に残るころ、王都の社交界はひとつの話題で持ちきりだった。――「王太子アレクシス殿下が子爵令嬢に心を寄せている」という噂だ。最初は“戯れ”だと笑っていた者たちも、夜会での殿下の宣言を耳にし、次第に笑えなくなっていた。
わたしの屋敷にも、これまでとは違う種類の手紙が届くようになった。
「ぜひ一度お茶会をご一緒に」
「貴家と友誼を結びたい」
かつては誰にも相手にされず、嘲笑の的でしかなかったわたしに、今では上級貴族の夫人や子息たちが次々と接触を図ってくる。けれど、心の奥は不思議と静かだった。嬉しくないわけではない。ただ、今さら取り繕うような言葉に、もう一喜一憂する自分はいなかった。
「ずいぶん変わられましたね、レティシア様」
メアリがそう言ったのは、朝の紅茶を淹れながらだった。
「昔のあなたなら、こういう手紙が届くたびに泣き出してしまっていたのに。今はただ微笑んでいる」
「……そうね。たぶん、もう他人の言葉に心を支配されなくなったからだと思うわ」
「殿下のおかげですか?」
「それもあるけれど……一番は、自分で“自分を信じよう”と思えたからかもしれない」
口にして初めて気づいた。彼の存在がわたしの背中を押したのは確かだ。けれど、今こうして地に足をつけて立っているのは、誰かの庇護があったからではない。わたしが、立ち上がることを選んだからだ。
◇
同じ頃――社交界の華と呼ばれたセリーヌ・グラント公爵令嬢は、まったく違う現実の中にいた。
グラント家の屋敷の一室。昼間だというのにカーテンは閉ざされ、重苦しい空気が漂っていた。鏡台の前に座るセリーヌは、何度も手鏡を見ては化粧を直し、そのたびに唇を噛んでいる。鏡の中の自分が、少しずつ“社交界の絶対者”ではなくなっているのが、彼女にはわかっていた。
「セリーヌ……またお茶会の誘いが断られたそうじゃないか」
扉の向こうから響いたのは、父の声だった。かつては威厳に満ちていたその声が、今では苛立ちと焦燥に濁っている。
「違うのです、お父様。あれはただの誤解で――」
「誤解? 王太子殿下の逆鱗に触れたという“誤解”が、どれだけの家が恐れているか、わかっているのか!」
父の怒声が室内に響く。セリーヌは両手を握りしめ、爪が食い込むのも構わず耐えた。最近、グラント家には縁談の話が来なくなっている。これまで群がっていた上級貴族の子息たちは、次々と「別の相手」を選び始めた。
それだけではない。商人たちも新しい契約を渋り、社交界の中心からグラント家は少しずつ外されつつある。
「殿下は……きっと気まぐれなのですわ。あの女もすぐに捨てられますわ。今だけですのよ」
「セリーヌ!」
父の怒鳴り声が彼女の言葉を叩き潰した。
「殿下が“王妃候補”とまで明言なさったと聞いた。もう“今だけ”では済まん。お前の軽率な行いが、この家を地に落とそうとしているのだ!」
「そんな……わたくしは、ただ……」
ただ、自分が一番でありたかっただけだ。いつだって褒められ、羨まれ、憧れられる存在でありたかった。それが当然だと信じていたのに――今は誰も、自分を見ない。笑顔の下に嘲りを隠し、背を向けて去っていく。
彼女の世界は、静かに音を立てて崩れていった。
◇
一方その頃、わたしは王宮へ招かれていた。殿下から直接、書簡が届いたのだ。「相談したいことがある」と。
広々とした書斎に通されると、殿下はすでに窓辺に立っていた。春の日差しを背に受けながら、静かな眼差しで街を見下ろしている。
「来てくれてありがとう、レティシア嬢」
「いいえ、こちらこそお招きいただき光栄ですわ。……ご相談とは?」
殿下はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「そろそろ、正式な場であなたを紹介しようと思っています」
「……正式な、場?」
「はい。次の王国議会の祝典にて、私の“婚約者”として」
頭が真っ白になった。
“婚約者”――その言葉が意味するものの重さが、理解できずに立ち尽くす。胸がどくん、と音を立て、息が浅くなる。
「……わ、わたしが……殿下の……?」
「もちろん、すぐに答えを求めているわけではありません。これは、あなたの人生に関わる大きな決断ですから。でも、私の気持ちはもう揺らぎません。あなたと共に未来を歩みたい。それが、私の願いです」
彼の声は穏やかだったが、そこに一片の迷いもなかった。
胸の奥からこみ上げるものがあって、わたしは何も言えず、ただ唇を震わせるしかなかった。
「……少しだけ、お時間をいただけますか」
「もちろんです。あなたの答えがどうであっても、私は待ちます」
殿下は微笑んだ。その笑みは、初めて出会ったときとは違う。そこには、愛情と覚悟と、未来を共に歩む者への信頼が宿っていた。
そして、わたしは改めて気づく。
――この想いからは、もう逃げられないのだと。
胸の奥が、熱く、切なく、そしてどうしようもなく嬉しかった。
△
馬車に揺られて屋敷へ戻る道中、窓の外を流れていく王都の街並みを見つめながら、わたしはずっと同じ言葉を胸の中で反芻していた。――「婚約者として紹介したい」。その響きは甘美で、同時に恐ろしいほどの重みを持っていた。あの殿下が、私に対して“未来”という言葉を口にしたのだ。喜びに心が震える一方で、現実感が追いつかず、指先が冷たくなっていく。
「……わたし、本当に、殿下の隣に立てるのかしら」
思わず零れた呟きが、馬車の静けさの中に消える。
もし本当に婚約が成立すれば、わたしの人生は一変するだろう。王家の一員としての責務、国の民からの視線、そして、今まで以上の嫉妬と憎悪――想像するだけで背筋が震えた。だが同時に、心の奥底では確かな灯が燃えているのを感じる。
――彼の隣に立ちたい。
その願いだけは、どれほど恐れを並べても揺らぐことはなかった。
◇
屋敷へ戻ると、いつもと違う空気が漂っていた。玄関先に馬車が一台停まっており、玄関ホールではメアリが困惑した顔で誰かと話している。わたしの姿を見つけると、彼女はすぐに駆け寄ってきた。
「レティシア様……! あの、急なお客様がいらして……」
「お客様? どなたが?」
問い終えるよりも早く、低く冷たい声が空気を切り裂いた。
「久しぶりね、レティシア」
その声を聞いた瞬間、心臓が一瞬止まったような気がした。
ホールの奥から現れたのは、真紅のドレスに身を包んだセリーヌ・グラント。かつて社交界の頂点に君臨していた彼女が、今はどこか焦燥と苛立ちを隠せない顔で立っていた。
「……セリーヌ様」
「“様”なんていらないわ。今日は話をしに来ただけだから」
彼女は迷いのない足取りでわたしの前まで歩み寄ると、ふっと笑った。だがそれは、かつての自信に満ちた笑みではない。どこか張り詰めた、脆く崩れそうな笑みだった。
「あなた、随分と偉くなったものね。王太子殿下の“婚約者候補”ですって? まさかこんな日が来るなんて、夢にも思わなかったわ」
「……それは、私自身も同じですわ」
「そうでしょうね。でもね、レティシア――あなたがその立場にふさわしいとは、私は思えないの」
やっぱり、と心のどこかで思った。彼女が何をしに来たのか、初めから分かっていたのかもしれない。これは“謝罪”でも“和解”でもない。“最後の抵抗”だ。
「ふさわしくない、とは?」
「あなたの家は子爵。財も力もない。今でこそ皆が媚びへつらっているけれど、それは殿下の寵愛があるからよ。もしそれがなくなれば、あなたなんて、誰も相手にしない」
その言葉には、確かに真実の欠片が含まれている。殿下が手を差し伸べてくれなければ、今でもわたしは社交界の片隅で笑われていたかもしれない。だが――。
「ええ、そうでしょうね。わたしひとりでは、きっとここまで来られなかった。でも、それは“恥”ではないと思います」
「……何ですって?」
「人は誰かに支えられ、手を取られながら前に進むものですわ。殿下がわたしを選んでくださったのは、わたしの家の力ではなく、わたしという“人間”を見てくださったから。それが事実です」
セリーヌの眉がぴくりと動いた。図星を突かれたのだろう。彼女の瞳の奥に、羨望と憎悪が入り混じったような複雑な色が浮かんでいる。
「……綺麗事ばかり。あなたはただ“選ばれただけ”。選んだのは殿下。あなたに何の価値があるというの?」
「それでも、“選ばれた”という事実は消えません。どれだけあなたが否定しても、それは揺るがないのです」
静かに言い切ると、セリーヌは何かを言い返そうとして唇を開いたが、声が出なかった。代わりに、わたしを睨みつけたまま、深く息を吐く。
「……覚えておきなさい。社交界は甘くないわ。あなたがどれだけ綺麗事を並べても、周囲は常に“落とす理由”を探している。ほんの小さな失態一つで、あなたの座はすぐに揺らぐのよ」
「それは、あなたが一番よく知っていることでしょう?」
その言葉は、わたしの意図を超えて鋭く響いた。セリーヌの肩がびくりと震える。彼女自身が今まさに“失態”によって立場を失いつつあるのだ。彼女はなにも言い返せず、ただ唇を噛んで視線を逸らした。
「……覚えていなさい、レティシア。これは終わりじゃないわ」
「ええ、終わりではありません。始まりですもの」
静かに告げると、セリーヌは何も言わずに踵を返し、足早に屋敷を出ていった。
扉が閉まった瞬間、胸の奥から長い吐息が漏れる。恐怖はなかった。あの人の言葉も、もはやわたしを縛る鎖にはならない。ただ、彼女の足音が遠ざかっていくのを聞きながら、ほんの少しだけ哀れみが胸をよぎった。
◇
夜、窓の外を眺めながら、わたしは今日の出来事を思い返していた。
――セリーヌの言葉は、決して間違ってはいない。
確かに、社交界は冷酷だ。一歩踏み外せば、今度は自分が笑われる側に回るだろう。けれど、だからこそ、わたしは胸を張って歩きたいと思った。
もう、誰かの陰で震えるだけの人生には戻らない。
どれほど困難が待っていようと、殿下の隣に立つ未来を、この手で掴んでみせる。
その決意は、恐怖よりもずっと強く、静かに心の奥で燃えていた。
◇
セリーヌが去ったあとも、屋敷の中には重たい余韻が残っていた。どこかの扉が閉まる音が遠くで響き、廊下の風が少し冷たく感じる。けれど、それはもう恐怖ではなかった。胸の奥でくすぶっていた怯えは、いつの間にか静かに姿を消している。
彼女の言葉は鋭く、確かに痛いところを突いていた。けれど同時に、わたしの決意をさらに強くしてくれたのも、また事実だった。
「……終わりじゃない、か」
わたしは小さく笑った。彼女が吐き捨てるように言った言葉は、脅しでも宣戦布告でもない。ただの“敗者の声”だ。かつての自分なら、その一言に怯えて眠れなかっただろう。けれど今は違う。もう、彼女の視線に支配されることはない。
「レティシア様……大丈夫ですか?」
扉の外で心配そうにしていたメアリが、そっと部屋へ入ってくる。わたしは微笑んで首を振った。
「ええ、大丈夫。むしろ、今までで一番心が澄んでいるかもしれないわ」
「本当に……強くなられましたね」
「強く、というより……もう“あの頃のわたし”には戻りたくないだけよ」
あの頃――誰かの陰口に怯え、視線に傷つき、泣いてばかりいた自分。
“存在しない者”のように扱われても、ただ俯いてやり過ごすしかなかった自分。
それが今では、堂々と顔を上げ、自分の意志を口にできている。あの頃のわたしが見たら、きっと信じられないと思うだろう。
「殿下は、私に『胸を張っていてほしい』と仰ったの。……だから、絶対に背中を向けたくないのよ」
「ええ、殿下は必ずそれを見てくださいますわ」
メアリの言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。
――そう、彼は見ていてくれる。どんな小さな一歩も、逃げ出さない勇気も。だからこそ、わたしは歩き続けられるのだ。
◇
数日後、王宮から新たな招待状が届いた。
それは次期国王の生誕を祝う晩餐会――同時に、アレクシス殿下が「婚約者」を正式に発表する場になると噂されているものだった。
「……ついに、この時が来たのね」
封を開いた瞬間、胸の奥が大きく高鳴った。もう後戻りはできない。ここで何があっても、自分の足で進んでいくしかないのだ。
晩餐会当日。
王城の門をくぐると、いつもとは違う張り詰めた空気が肌にまとわりついた。大広間には煌びやかな衣装を纏った貴族たちが集まり、誰もが緊張した面持ちで王族の登場を待っている。
その視線の多くが、すでにわたしへと向けられていることに気づいていた。
「――あれが、殿下のお気に入りの子爵令嬢か」
「まさか本当に婚約者になるなんて、夢にも思わなかったわ」
「でも、王妃としての務めを果たせるのかしら?」
聞こえてくる声の一つ一つが、刃のように鋭い。だが、それでも不思議と心は折れなかった。批判も嘲笑も、もう慣れている。彼らが何を言おうと、わたしの価値は他人の言葉で決まるものではないと知っているからだ。
「大丈夫ですか?」
肩越しに声がして振り向くと、そこにはアレクシス殿下がいた。彼は人目もはばからず、わたしの手を取る。その瞬間、ざわめきが広間を満たした。
「……はい。もう、怖くありません」
「それでこそ、私の誇る人です」
殿下の言葉は、何よりも大きな励ましだった。手を握られたまま、共に大広間の中央へと歩み出る。王と王妃が高座へと姿を現すと、音楽が止まり、人々は一斉に頭を垂れた。
やがて王が口を開き、ゆっくりと口上を述べる。
「我が息子、アレクシス・ヴァルデンは――」
場の空気が緊張で震える中、殿下が一歩前へ出た。そして、その手は決してわたしの手を離さなかった。
「――私が選んだ未来の伴侶を、ここに紹介します。レティシア・アルバーン嬢です」
その瞬間、世界が止まったような静寂が訪れた。誰もが息を呑み、次の言葉を待っている。だが殿下は微笑みを崩さず、さらに続けた。
「彼女は家柄でも財でもなく、自らの力で誇りを守り抜いた人です。私はその誇りを、この国の礎としたい。そして彼女と共に、新しい時代を歩んでいくつもりです」
言葉が終わると、広間はざわめきに包まれた。誰もが驚き、動揺し、ある者は祝福の言葉を、ある者は憤りの視線を向ける。
だが、わたしはそのどれもを見ていなかった。ただ、隣でわたしの手を握りしめる殿下だけを見ていた。
「レティシア嬢」
「……はい」
「ここからが、本当の始まりですよ」
その言葉に、わたしは静かに頷いた。
そう――本当の戦いはこれからだ。けれど、もう怖くはない。どれほどの障害が待っていようと、わたしはこの手を離さずに進んでいく。
◇
その晩餐会の端で、ひとりの令嬢が涙をこらえるように唇を噛んでいた。
セリーヌ・グラント――かつて社交界の中心に君臨した高慢な令嬢。だが今や、その名は皮肉と嘲笑の対象でしかない。
彼女のもとへ近づく者はいない。話しかける者も、視線を向ける者もいない。人々は彼女を“失敗した者”として避けていた。
「……どうして、こんなことに……」
震える声が漏れる。かつて自分が笑っていた“落ちこぼれ”の姿が、今や自分自身だった。
そしてその光景の中心で、かつて見下ろしていた相手――レティシア・アルバーンが、誰よりも誇らしく微笑んでいる。
その現実が、セリーヌの心をずたずたに引き裂いていくのだった。
〇
それから数日後。春祭の余韻がまだ街に残るころ、王都の社交界はひとつの話題で持ちきりだった。――「王太子アレクシス殿下が子爵令嬢に心を寄せている」という噂だ。最初は“戯れ”だと笑っていた者たちも、夜会での殿下の宣言を耳にし、次第に笑えなくなっていた。
わたしの屋敷にも、これまでとは違う種類の手紙が届くようになった。
「ぜひ一度お茶会をご一緒に」
「貴家と友誼を結びたい」
かつては誰にも相手にされず、嘲笑の的でしかなかったわたしに、今では上級貴族の夫人や子息たちが次々と接触を図ってくる。けれど、心の奥は不思議と静かだった。嬉しくないわけではない。ただ、今さら取り繕うような言葉に、もう一喜一憂する自分はいなかった。
「ずいぶん変わられましたね、レティシア様」
メアリがそう言ったのは、朝の紅茶を淹れながらだった。
「昔のあなたなら、こういう手紙が届くたびに泣き出してしまっていたのに。今はただ微笑んでいる」
「……そうね。たぶん、もう他人の言葉に心を支配されなくなったからだと思うわ」
「殿下のおかげですか?」
「それもあるけれど……一番は、自分で“自分を信じよう”と思えたからかもしれない」
口にして初めて気づいた。彼の存在がわたしの背中を押したのは確かだ。けれど、今こうして地に足をつけて立っているのは、誰かの庇護があったからではない。わたしが、立ち上がることを選んだからだ。
◇
同じ頃――社交界の華と呼ばれたセリーヌ・グラント公爵令嬢は、まったく違う現実の中にいた。
グラント家の屋敷の一室。昼間だというのにカーテンは閉ざされ、重苦しい空気が漂っていた。鏡台の前に座るセリーヌは、何度も手鏡を見ては化粧を直し、そのたびに唇を噛んでいる。鏡の中の自分が、少しずつ“社交界の絶対者”ではなくなっているのが、彼女にはわかっていた。
「セリーヌ……またお茶会の誘いが断られたそうじゃないか」
扉の向こうから響いたのは、父の声だった。かつては威厳に満ちていたその声が、今では苛立ちと焦燥に濁っている。
「違うのです、お父様。あれはただの誤解で――」
「誤解? 王太子殿下の逆鱗に触れたという“誤解”が、どれだけの家が恐れているか、わかっているのか!」
父の怒声が室内に響く。セリーヌは両手を握りしめ、爪が食い込むのも構わず耐えた。最近、グラント家には縁談の話が来なくなっている。これまで群がっていた上級貴族の子息たちは、次々と「別の相手」を選び始めた。
それだけではない。商人たちも新しい契約を渋り、社交界の中心からグラント家は少しずつ外されつつある。
「殿下は……きっと気まぐれなのですわ。あの女もすぐに捨てられますわ。今だけですのよ」
「セリーヌ!」
父の怒鳴り声が彼女の言葉を叩き潰した。
「殿下が“王妃候補”とまで明言なさったと聞いた。もう“今だけ”では済まん。お前の軽率な行いが、この家を地に落とそうとしているのだ!」
「そんな……わたくしは、ただ……」
ただ、自分が一番でありたかっただけだ。いつだって褒められ、羨まれ、憧れられる存在でありたかった。それが当然だと信じていたのに――今は誰も、自分を見ない。笑顔の下に嘲りを隠し、背を向けて去っていく。
彼女の世界は、静かに音を立てて崩れていった。
◇
一方その頃、わたしは王宮へ招かれていた。殿下から直接、書簡が届いたのだ。「相談したいことがある」と。
広々とした書斎に通されると、殿下はすでに窓辺に立っていた。春の日差しを背に受けながら、静かな眼差しで街を見下ろしている。
「来てくれてありがとう、レティシア嬢」
「いいえ、こちらこそお招きいただき光栄ですわ。……ご相談とは?」
殿下はしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「そろそろ、正式な場であなたを紹介しようと思っています」
「……正式な、場?」
「はい。次の王国議会の祝典にて、私の“婚約者”として」
頭が真っ白になった。
“婚約者”――その言葉が意味するものの重さが、理解できずに立ち尽くす。胸がどくん、と音を立て、息が浅くなる。
「……わ、わたしが……殿下の……?」
「もちろん、すぐに答えを求めているわけではありません。これは、あなたの人生に関わる大きな決断ですから。でも、私の気持ちはもう揺らぎません。あなたと共に未来を歩みたい。それが、私の願いです」
彼の声は穏やかだったが、そこに一片の迷いもなかった。
胸の奥からこみ上げるものがあって、わたしは何も言えず、ただ唇を震わせるしかなかった。
「……少しだけ、お時間をいただけますか」
「もちろんです。あなたの答えがどうであっても、私は待ちます」
殿下は微笑んだ。その笑みは、初めて出会ったときとは違う。そこには、愛情と覚悟と、未来を共に歩む者への信頼が宿っていた。
そして、わたしは改めて気づく。
――この想いからは、もう逃げられないのだと。
胸の奥が、熱く、切なく、そしてどうしようもなく嬉しかった。
△
馬車に揺られて屋敷へ戻る道中、窓の外を流れていく王都の街並みを見つめながら、わたしはずっと同じ言葉を胸の中で反芻していた。――「婚約者として紹介したい」。その響きは甘美で、同時に恐ろしいほどの重みを持っていた。あの殿下が、私に対して“未来”という言葉を口にしたのだ。喜びに心が震える一方で、現実感が追いつかず、指先が冷たくなっていく。
「……わたし、本当に、殿下の隣に立てるのかしら」
思わず零れた呟きが、馬車の静けさの中に消える。
もし本当に婚約が成立すれば、わたしの人生は一変するだろう。王家の一員としての責務、国の民からの視線、そして、今まで以上の嫉妬と憎悪――想像するだけで背筋が震えた。だが同時に、心の奥底では確かな灯が燃えているのを感じる。
――彼の隣に立ちたい。
その願いだけは、どれほど恐れを並べても揺らぐことはなかった。
◇
屋敷へ戻ると、いつもと違う空気が漂っていた。玄関先に馬車が一台停まっており、玄関ホールではメアリが困惑した顔で誰かと話している。わたしの姿を見つけると、彼女はすぐに駆け寄ってきた。
「レティシア様……! あの、急なお客様がいらして……」
「お客様? どなたが?」
問い終えるよりも早く、低く冷たい声が空気を切り裂いた。
「久しぶりね、レティシア」
その声を聞いた瞬間、心臓が一瞬止まったような気がした。
ホールの奥から現れたのは、真紅のドレスに身を包んだセリーヌ・グラント。かつて社交界の頂点に君臨していた彼女が、今はどこか焦燥と苛立ちを隠せない顔で立っていた。
「……セリーヌ様」
「“様”なんていらないわ。今日は話をしに来ただけだから」
彼女は迷いのない足取りでわたしの前まで歩み寄ると、ふっと笑った。だがそれは、かつての自信に満ちた笑みではない。どこか張り詰めた、脆く崩れそうな笑みだった。
「あなた、随分と偉くなったものね。王太子殿下の“婚約者候補”ですって? まさかこんな日が来るなんて、夢にも思わなかったわ」
「……それは、私自身も同じですわ」
「そうでしょうね。でもね、レティシア――あなたがその立場にふさわしいとは、私は思えないの」
やっぱり、と心のどこかで思った。彼女が何をしに来たのか、初めから分かっていたのかもしれない。これは“謝罪”でも“和解”でもない。“最後の抵抗”だ。
「ふさわしくない、とは?」
「あなたの家は子爵。財も力もない。今でこそ皆が媚びへつらっているけれど、それは殿下の寵愛があるからよ。もしそれがなくなれば、あなたなんて、誰も相手にしない」
その言葉には、確かに真実の欠片が含まれている。殿下が手を差し伸べてくれなければ、今でもわたしは社交界の片隅で笑われていたかもしれない。だが――。
「ええ、そうでしょうね。わたしひとりでは、きっとここまで来られなかった。でも、それは“恥”ではないと思います」
「……何ですって?」
「人は誰かに支えられ、手を取られながら前に進むものですわ。殿下がわたしを選んでくださったのは、わたしの家の力ではなく、わたしという“人間”を見てくださったから。それが事実です」
セリーヌの眉がぴくりと動いた。図星を突かれたのだろう。彼女の瞳の奥に、羨望と憎悪が入り混じったような複雑な色が浮かんでいる。
「……綺麗事ばかり。あなたはただ“選ばれただけ”。選んだのは殿下。あなたに何の価値があるというの?」
「それでも、“選ばれた”という事実は消えません。どれだけあなたが否定しても、それは揺るがないのです」
静かに言い切ると、セリーヌは何かを言い返そうとして唇を開いたが、声が出なかった。代わりに、わたしを睨みつけたまま、深く息を吐く。
「……覚えておきなさい。社交界は甘くないわ。あなたがどれだけ綺麗事を並べても、周囲は常に“落とす理由”を探している。ほんの小さな失態一つで、あなたの座はすぐに揺らぐのよ」
「それは、あなたが一番よく知っていることでしょう?」
その言葉は、わたしの意図を超えて鋭く響いた。セリーヌの肩がびくりと震える。彼女自身が今まさに“失態”によって立場を失いつつあるのだ。彼女はなにも言い返せず、ただ唇を噛んで視線を逸らした。
「……覚えていなさい、レティシア。これは終わりじゃないわ」
「ええ、終わりではありません。始まりですもの」
静かに告げると、セリーヌは何も言わずに踵を返し、足早に屋敷を出ていった。
扉が閉まった瞬間、胸の奥から長い吐息が漏れる。恐怖はなかった。あの人の言葉も、もはやわたしを縛る鎖にはならない。ただ、彼女の足音が遠ざかっていくのを聞きながら、ほんの少しだけ哀れみが胸をよぎった。
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夜、窓の外を眺めながら、わたしは今日の出来事を思い返していた。
――セリーヌの言葉は、決して間違ってはいない。
確かに、社交界は冷酷だ。一歩踏み外せば、今度は自分が笑われる側に回るだろう。けれど、だからこそ、わたしは胸を張って歩きたいと思った。
もう、誰かの陰で震えるだけの人生には戻らない。
どれほど困難が待っていようと、殿下の隣に立つ未来を、この手で掴んでみせる。
その決意は、恐怖よりもずっと強く、静かに心の奥で燃えていた。
◇
セリーヌが去ったあとも、屋敷の中には重たい余韻が残っていた。どこかの扉が閉まる音が遠くで響き、廊下の風が少し冷たく感じる。けれど、それはもう恐怖ではなかった。胸の奥でくすぶっていた怯えは、いつの間にか静かに姿を消している。
彼女の言葉は鋭く、確かに痛いところを突いていた。けれど同時に、わたしの決意をさらに強くしてくれたのも、また事実だった。
「……終わりじゃない、か」
わたしは小さく笑った。彼女が吐き捨てるように言った言葉は、脅しでも宣戦布告でもない。ただの“敗者の声”だ。かつての自分なら、その一言に怯えて眠れなかっただろう。けれど今は違う。もう、彼女の視線に支配されることはない。
「レティシア様……大丈夫ですか?」
扉の外で心配そうにしていたメアリが、そっと部屋へ入ってくる。わたしは微笑んで首を振った。
「ええ、大丈夫。むしろ、今までで一番心が澄んでいるかもしれないわ」
「本当に……強くなられましたね」
「強く、というより……もう“あの頃のわたし”には戻りたくないだけよ」
あの頃――誰かの陰口に怯え、視線に傷つき、泣いてばかりいた自分。
“存在しない者”のように扱われても、ただ俯いてやり過ごすしかなかった自分。
それが今では、堂々と顔を上げ、自分の意志を口にできている。あの頃のわたしが見たら、きっと信じられないと思うだろう。
「殿下は、私に『胸を張っていてほしい』と仰ったの。……だから、絶対に背中を向けたくないのよ」
「ええ、殿下は必ずそれを見てくださいますわ」
メアリの言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。
――そう、彼は見ていてくれる。どんな小さな一歩も、逃げ出さない勇気も。だからこそ、わたしは歩き続けられるのだ。
◇
数日後、王宮から新たな招待状が届いた。
それは次期国王の生誕を祝う晩餐会――同時に、アレクシス殿下が「婚約者」を正式に発表する場になると噂されているものだった。
「……ついに、この時が来たのね」
封を開いた瞬間、胸の奥が大きく高鳴った。もう後戻りはできない。ここで何があっても、自分の足で進んでいくしかないのだ。
晩餐会当日。
王城の門をくぐると、いつもとは違う張り詰めた空気が肌にまとわりついた。大広間には煌びやかな衣装を纏った貴族たちが集まり、誰もが緊張した面持ちで王族の登場を待っている。
その視線の多くが、すでにわたしへと向けられていることに気づいていた。
「――あれが、殿下のお気に入りの子爵令嬢か」
「まさか本当に婚約者になるなんて、夢にも思わなかったわ」
「でも、王妃としての務めを果たせるのかしら?」
聞こえてくる声の一つ一つが、刃のように鋭い。だが、それでも不思議と心は折れなかった。批判も嘲笑も、もう慣れている。彼らが何を言おうと、わたしの価値は他人の言葉で決まるものではないと知っているからだ。
「大丈夫ですか?」
肩越しに声がして振り向くと、そこにはアレクシス殿下がいた。彼は人目もはばからず、わたしの手を取る。その瞬間、ざわめきが広間を満たした。
「……はい。もう、怖くありません」
「それでこそ、私の誇る人です」
殿下の言葉は、何よりも大きな励ましだった。手を握られたまま、共に大広間の中央へと歩み出る。王と王妃が高座へと姿を現すと、音楽が止まり、人々は一斉に頭を垂れた。
やがて王が口を開き、ゆっくりと口上を述べる。
「我が息子、アレクシス・ヴァルデンは――」
場の空気が緊張で震える中、殿下が一歩前へ出た。そして、その手は決してわたしの手を離さなかった。
「――私が選んだ未来の伴侶を、ここに紹介します。レティシア・アルバーン嬢です」
その瞬間、世界が止まったような静寂が訪れた。誰もが息を呑み、次の言葉を待っている。だが殿下は微笑みを崩さず、さらに続けた。
「彼女は家柄でも財でもなく、自らの力で誇りを守り抜いた人です。私はその誇りを、この国の礎としたい。そして彼女と共に、新しい時代を歩んでいくつもりです」
言葉が終わると、広間はざわめきに包まれた。誰もが驚き、動揺し、ある者は祝福の言葉を、ある者は憤りの視線を向ける。
だが、わたしはそのどれもを見ていなかった。ただ、隣でわたしの手を握りしめる殿下だけを見ていた。
「レティシア嬢」
「……はい」
「ここからが、本当の始まりですよ」
その言葉に、わたしは静かに頷いた。
そう――本当の戦いはこれからだ。けれど、もう怖くはない。どれほどの障害が待っていようと、わたしはこの手を離さずに進んでいく。
◇
その晩餐会の端で、ひとりの令嬢が涙をこらえるように唇を噛んでいた。
セリーヌ・グラント――かつて社交界の中心に君臨した高慢な令嬢。だが今や、その名は皮肉と嘲笑の対象でしかない。
彼女のもとへ近づく者はいない。話しかける者も、視線を向ける者もいない。人々は彼女を“失敗した者”として避けていた。
「……どうして、こんなことに……」
震える声が漏れる。かつて自分が笑っていた“落ちこぼれ”の姿が、今や自分自身だった。
そしてその光景の中心で、かつて見下ろしていた相手――レティシア・アルバーンが、誰よりも誇らしく微笑んでいる。
その現実が、セリーヌの心をずたずたに引き裂いていくのだった。
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