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第14話 “王妃”として、“ひとりの私”として
〇
市民議会の設立からさらに一年が経ち、王国はこれまでにないほどの安定と繁栄を迎えていた。街はかつてない賑わいを見せ、人々は未来への希望を語り合い、王都には毎日のように新しい商会や学び舎が生まれている。
そして――その中心には、わたしとアレクシスの姿があった。
王妃としての一日は早い。夜明けとともに目覚め、民政顧問からの報告書に目を通し、各地の代表者との面会をこなす。昼は王の執務を支え、夜は市民からの直訴を受け取る時間に充てる。それは果てしない責務であり、時に重すぎるほどの責任を伴うものだ。
けれど――決して苦しいとは思わなかった。
なぜなら、それは“かつて望んでいた自分”そのものだったからだ。
「王妃陛下、本日の議題はこちらです」
「新しい貿易港の建設についての民の意見も届いております」
侍従たちが次々と書簡を運んでくる。わたしはそれらに丁寧に目を通し、意見をまとめ、アレクシスと共有する。ときに一つひとつの言葉に悩み、ときに夜明けまで議論が続くこともある。
――でも、あの頃“声を上げることすら許されなかった”自分を思えば、この忙しさは幸福そのものだった。
◇
午後、王宮の中庭でひとときの休憩をとっていると、メアリが紅茶を運んできた。小鳥のさえずりが響く穏やかな午後、わたしは湯気の立つカップを手に取りながら微笑んだ。
「ねえ、メアリ。わたし、最近ようやく“王妃”という役目に慣れてきた気がしますわ」
「ようやく、ですか? 皆様はとっくに“王妃様こそこの国の要”と仰っていますのに」
「ふふ。でも、わたし自身の中では、まだ“元いじめられっこ”の意識がどこかに残っているのです。立派なことをしていても、『本当にこれでいいのかしら』って、ふと考えてしまうの」
メアリはカップを置き、穏やかな眼差しでわたしを見つめた。
「それは、レティシア様が“王妃である前に、ひとりの人間”だからですわ。迷い、悩み、立ち止まる。そうして進んできたからこそ、人の痛みがわかる王妃になれたのです」
「……そうでしょうか」
「ええ。私は最初から見てきましたわ。涙をこらえ、拳を握り、必死に立ち上がってきたあなたを。その姿こそ、今の王国が信じる“希望”そのものです」
胸が熱くなる。
“王妃”としての役割に縛られるのではなく、“わたしという人間”であることを忘れない――それが、何よりも大切なのだと気づかされた。
◇
夕刻、アレクシスと並んで王都を視察する。人々は笑顔で通りを歩き、子どもたちは広場で未来の夢を語り合っている。
その光景を見ていると、自然とあの頃の記憶がよみがえってきた。
「アレクシス……わたし、思い出すのです。かつて、この街を下を向いて歩いていた日々を。誰もわたしを見てくれず、声を上げても届かなくて……」
「けれど、今は違うでしょう? あなたの声は、国中に届いている」
「ええ。まるで夢のようですわ」
わたしが立ち止まると、近くを通った子どもが駆け寄ってきた。小さな手に抱えているのは、粗末な紙に描かれた“王妃様と王様”の絵だった。
「王妃様! これ、ぼくが描いたんです!」
「まあ……とても素敵ですわ。ありがとう、大切にしますね」
その瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
――あの頃、誰にも価値を認めてもらえなかった自分が、今は“未来の憧れ”として子どもたちの目に映っている。これ以上の喜びがあるだろうか。
◇
視察を終えて王宮に戻ると、夜風が吹き抜けるテラスでアレクシスが星空を見上げていた。隣に並ぶと、彼は静かに口を開く。
「レティシア。君がここまでの道を歩んできたこと、私は本当に誇りに思っています」
「……わたしも、ここまで来られた自分を少しだけ誇りに思えるようになりました」
「少しだけ?」
「ええ、少しだけですわ。だって、まだ道は続いていますから」
ふたりで顔を見合わせ、微笑み合う。
――“ざまあ”という言葉で始まった物語は、もうそこにはない。代わりにあるのは、“共に進む未来”への希望だけだ。
「レティシア、君と出会って、私は王という肩書きの意味を初めて知った気がします。王は民を導くだけでなく、民と共に歩む存在なのだと」
「そして、王妃は……王の隣で、民と共に未来を見つめる者ですわね」
「ええ。――その“隣”が、君で本当によかった」
手を重ね合い、夜空を見上げる。
星は静かに瞬き、まるでこれから先も、わたしたちの歩む道を照らしてくれるようだった。
◇
あの頃は、ただ「見返したい」と思っていた。
けれど今は違う。わたしが望むのは、誰かに勝つことでも、過去を塗り替えることでもない。
“誰かと共に、未来へ進んでいくこと”――ただ、それだけだ。
そして、その未来は今も続いている。
愛する人と共に、支えてくれる人々と共に、そして過去のわたしと共に。
“いじめられっこ”だった少女は、今や王国の中心に立っている。
――その手を取り、微笑み合える未来がある限り、わたしの物語は終わらない。
第15話 “幸福”という名の戦い
〇
季節は再び巡り、あの涙の日から数えて五年という月日が流れていた。王国は今、かつて誰も想像しなかったほどの豊かさを手にしている。交易は盛んになり、教育制度は根本から改革され、民の声は王政に確実に届く仕組みとなった。
――けれど、物語はここで終わらなかった。むしろ、本当の“戦い”はここからだったのだ。
その日の王宮会議室は、いつになく熱を帯びていた。王政と市民議会の合同討論――今や当たり前となったこの場は、王国の未来を形づくる最も重要な場所であり、そして時に激しくぶつかり合う場でもある。
「王妃陛下、この案は財政負担が大きすぎます!」
「しかし、地方の農民にとってはこれが唯一の希望です!」
「民が未来を選ぶと言っても、現実的な限界はあります!」
怒号にも近い声が飛び交う中、わたしはただ静かに耳を傾けていた。議論は激しく、意見は真っ向から対立している。しかし、それでいい――これこそが、わたしたちが築こうとしてきた“共に考える国”の姿だからだ。
「皆さん、静かに。……意見はどちらも正しいのです」
わたしの声に、場がすっと静まる。
「現実的な制約を無視することはできません。でも、それだけを優先して民の願いを切り捨てることも許されません。だからこそ、私たちは“どうすれば両方を守れるか”を考えるのです」
沈黙ののち、再び議論が再開される。今度は少しだけ穏やかに、互いの意見を受け止めながら言葉が交わされていた。
――わたしはこの瞬間が好きだ。かつて“声をあげることすら許されなかった”わたしが、今は“声を交わす場”の中心にいる。そのことが、たまらなく誇らしかった。
◇
会議が終わると、夜はすでに更けていた。王宮の廊下を歩いていると、アレクシスが疲れた様子でやってきた。王としての日々は、わたし以上に重いものだろう。それでも、彼は笑みを絶やさない。
「今日も一日、お疲れさまでした」
「あなたもですわ、陛下。……でも、やはり“幸福”というのは簡単には手に入りませんね」
「ええ。手に入れたと思った瞬間から、守るための戦いが始まるのです」
彼の言葉に、わたしは深く頷く。
“ざまあ”は一瞬で終わる。けれど、“幸福”は永遠に続く戦いだ。人の心は移ろい、社会は変わり続ける。だからこそ、歩みを止めてはならない。
「ねえ、アレクシス。わたし、ひとつだけ怖いことがあります」
「怖いこと?」
「かつて、何も持たなかった自分が“権力”というものを手に入れてしまったことです。もし、それを誤って使ってしまったら――わたしはまた、あの頃の自分と同じように、人を傷つけてしまうのではないかと」
彼は足を止め、真剣な眼差しでわたしを見つめた。
「レティシア。あなたがその恐れを抱いている限り、絶対に道を踏み外すことはありません。自分の力を疑い、問うことができる人こそ、本当の強さを持つのです」
「……ありがとう。あなたがそう言ってくれると、少しだけ安心します」
手を取られ、指先に温もりが宿る。
この温かさがある限り、どんな恐れも乗り越えていける――心からそう思えた。
◇
その夜、王都の街をふたりで歩いた。夜風は心地よく、通りにはまだ灯りがともり、人々の笑い声があちこちから聞こえてくる。
子どもたちは遅くまで遊び、恋人たちは未来を語り、商人たちは新しい夢を語っていた。
「見てください、アレクシス。……あの頃、わたしが憧れていた“普通の幸せ”が、今はこうして街のあちこちにあるのですね」
「ええ。君が望んだ幸せは、君だけのものではなく、国全体のものになったのです」
ふと立ち止まると、通りの先で一組の若い男女が笑い合っていた。
貴族でも、王族でもない。けれど、確かに“幸福”を手にしている顔だった。
「……わたし、あの頃の自分に言ってあげたいです。“あなたの涙は、無駄じゃなかった”って」
「きっと、過去の君は泣きながら笑うでしょうね。『よく頑張ったわね』って」
彼の言葉に、胸の奥が熱くなる。
“ざまあ”ではなく、“ありがとう”という言葉が浮かぶ。――それこそが、本当に乗り越えた証なのだ。
◇
王宮へ戻る道すがら、空を見上げると、満天の星が広がっていた。
その光はまるで、過去の涙ひとつひとつが輝きに変わったようだった。
「ねえ、アレクシス。これからも、わたしたちは戦っていくのですね」
「ええ。幸福のために、愛のために、未来のために――」
「“ざまあ”の物語は終わりました。次は、“守る”物語の始まりですわね」
「そうです。そして、あなたとならどんな戦いも怖くありません」
夜空の下、手を重ねる。
その手はもう、震えていなかった。迷いや不安があっても、それは“進むための力”に変わっていた。
◇
かつて“いじめられっこ”と呼ばれた少女は、もうどこにもいない。
今ここにいるのは、国と共に未来を歩む“王妃”であり、“ひとりの人間”として幸福と向き合うわたしだ。
――幸福は、勝ち取るものではない。
愛する人と共に、築き続けていくものなのだ。
この戦いは、きっと終わらない。
けれど、それでいい。だって、わたしはもう一人じゃないのだから。
そして、わたしたちの物語は、まだまだ続いていく――。
第16話 「王国の未来は、民と共に」
〇
王国が新しい時代へと歩みを進めてから、さらに数年の時が流れた。かつて“いじめられっこ”と呼ばれた少女は、今や名実ともに「国を導く王妃」として人々から尊敬と信頼を集めている。
だが、わたしの胸にある気持ちは最初の頃と何も変わらなかった――ただ、人々と共に未来をつくりたい。その一心だけだった。
その日、王宮の会議室では大規模な国家計画の会合が開かれていた。新しい公共施設の建設、次世代の教育制度、他国との新たな同盟――どれもが王国の未来を左右する重要な議題ばかりだ。
わたしは円卓の中央に座り、真剣な面持ちで各代表者たちの意見を聞いていた。
「王妃陛下、農村地域への支援は拡大すべきです。都市との格差が広がってしまいます」
「しかし、貿易港の整備を優先しなければ、経済の土台が弱体化する危険もあります!」
「どちらも大切です。ですが、予算は限られています!」
再び議論は白熱し、会場には熱気が満ちていく。だが、わたしはそれを“争い”とは思わなかった。――これこそが、本当の意味での「共に考える政治」だったからだ。
「皆さま、意見をありがとうございます。どの提案にも価値があります。ですから、どれか一つを選ぶのではなく、“一歩ずつ”進めていきましょう」
わたしはゆっくりと立ち上がり、広間を見渡した。
「王国の未来は、一人の力では築けません。王の力だけでも、民の声だけでも足りません。――“共に歩む力”こそが、真の繁栄をもたらすのです」
その言葉に、静まり返った会場から拍手が起こった。
それは、わたしが何年もかけて築き上げてきた“信頼”そのものの音だった。
◇
会議が終わったあと、アレクシスと並んで王宮の庭を歩いた。
初夏の陽射しが差し込み、風が花々の香りを運んでくる。穏やかな時間の中で、ふと、彼が口を開いた。
「君の言葉は、もう“王妃の演説”ではないね」
「え?」
「人々は、君の言葉に“未来”を見るのだ。王妃としてではなく、一人の人間として、君が信じてきたものに心を動かされている」
「……わたしは、ただ思ったことを口にしているだけですわ」
「その“ただ”が、どれほどの重みを持っているか、君はわかっていない」
アレクシスの瞳は真剣そのもので、まるで初めて出会ったあの日のようだった。
――あの日、誰にも届かないと思っていた言葉が、今では国を動かしている。考えてみれば、それは奇跡のようなことだった。
「レティシア、私たちはまだ道半ばだ。王国は豊かになった。だが、まだ“真の平等”も“完全な自由”も手にしてはいない」
「ええ。……だから、歩みを止めてはいけませんわね」
「その通りです。君となら、どこまでも進んでいける」
彼の言葉に、わたしは静かに微笑んだ。
“ざまあ”の感情も、かつての憎しみも、もうどこにもない。ただ、未来への希望だけが心の中にあった。
◇
その夜、王宮のバルコニーから王都を見下ろすと、夜空の下で人々の灯りが星のように瞬いていた。街の広場では人々が歌い、笑い、夢を語っている。その光景は、かつて“見上げるだけ”だった景色とはまるで違っていた。
「……この国は、本当に変わりましたわね」
アレクシスの隣で呟くと、彼はゆっくりと頷いた。
「君が変えたんだよ。たった一人の少女の声が、ここまで世界を動かしたんだ」
「わたしだけの力ではありません。あなたがいて、支えてくれる人がいて、信じてくれる民がいて……だから、ここまで来られたのです」
「それでも、最初の一歩を踏み出したのは、君だ」
その言葉に、胸の奥が静かに熱くなる。
――最初の一歩。涙をこらえて前を向いた、あの日の一歩。それは確かに、今へと続く道の始まりだった。
◇
しばらく夜景を眺めていたわたしは、ふと口を開いた。
「ねえ、アレクシス。わたし、ずっと夢見ていることがあるのです」
「夢?」
「ええ。王も王妃も必要としない国――人々が自ら考え、自ら選び、自らの手で未来をつくる国です」
彼は少しだけ驚いたような顔をしたが、やがて柔らかく笑った。
「……本当に君らしい夢だ。でも、それは決して“王家の終わり”ではない。むしろ、“王家の使命”の完成だ」
「そうですわ。私たちの役目は、支配することではなく、導くこと。その先で、人々が自分の足で歩けるようになることです」
「――なら、共に歩もう。君の夢が叶うその日まで」
手と手が重なり、夜風がそっと髪を揺らす。
わたしたちの物語は、まだ終わらない。むしろ、ここからが本当の始まりだ。
◇
“ざまあ”という言葉から始まった物語は、今や“未来”という言葉へと姿を変えた。
かつて涙を流していた少女は、今、王国の光として人々の前を歩いている。
そして、その歩みは、これからも止まることはない。
――未来は、まだ先にある。
愛する人と、支えてくれる人々と、共に歩む限り。
わたしはどこまでも進んでいく。
〇
市民議会の設立からさらに一年が経ち、王国はこれまでにないほどの安定と繁栄を迎えていた。街はかつてない賑わいを見せ、人々は未来への希望を語り合い、王都には毎日のように新しい商会や学び舎が生まれている。
そして――その中心には、わたしとアレクシスの姿があった。
王妃としての一日は早い。夜明けとともに目覚め、民政顧問からの報告書に目を通し、各地の代表者との面会をこなす。昼は王の執務を支え、夜は市民からの直訴を受け取る時間に充てる。それは果てしない責務であり、時に重すぎるほどの責任を伴うものだ。
けれど――決して苦しいとは思わなかった。
なぜなら、それは“かつて望んでいた自分”そのものだったからだ。
「王妃陛下、本日の議題はこちらです」
「新しい貿易港の建設についての民の意見も届いております」
侍従たちが次々と書簡を運んでくる。わたしはそれらに丁寧に目を通し、意見をまとめ、アレクシスと共有する。ときに一つひとつの言葉に悩み、ときに夜明けまで議論が続くこともある。
――でも、あの頃“声を上げることすら許されなかった”自分を思えば、この忙しさは幸福そのものだった。
◇
午後、王宮の中庭でひとときの休憩をとっていると、メアリが紅茶を運んできた。小鳥のさえずりが響く穏やかな午後、わたしは湯気の立つカップを手に取りながら微笑んだ。
「ねえ、メアリ。わたし、最近ようやく“王妃”という役目に慣れてきた気がしますわ」
「ようやく、ですか? 皆様はとっくに“王妃様こそこの国の要”と仰っていますのに」
「ふふ。でも、わたし自身の中では、まだ“元いじめられっこ”の意識がどこかに残っているのです。立派なことをしていても、『本当にこれでいいのかしら』って、ふと考えてしまうの」
メアリはカップを置き、穏やかな眼差しでわたしを見つめた。
「それは、レティシア様が“王妃である前に、ひとりの人間”だからですわ。迷い、悩み、立ち止まる。そうして進んできたからこそ、人の痛みがわかる王妃になれたのです」
「……そうでしょうか」
「ええ。私は最初から見てきましたわ。涙をこらえ、拳を握り、必死に立ち上がってきたあなたを。その姿こそ、今の王国が信じる“希望”そのものです」
胸が熱くなる。
“王妃”としての役割に縛られるのではなく、“わたしという人間”であることを忘れない――それが、何よりも大切なのだと気づかされた。
◇
夕刻、アレクシスと並んで王都を視察する。人々は笑顔で通りを歩き、子どもたちは広場で未来の夢を語り合っている。
その光景を見ていると、自然とあの頃の記憶がよみがえってきた。
「アレクシス……わたし、思い出すのです。かつて、この街を下を向いて歩いていた日々を。誰もわたしを見てくれず、声を上げても届かなくて……」
「けれど、今は違うでしょう? あなたの声は、国中に届いている」
「ええ。まるで夢のようですわ」
わたしが立ち止まると、近くを通った子どもが駆け寄ってきた。小さな手に抱えているのは、粗末な紙に描かれた“王妃様と王様”の絵だった。
「王妃様! これ、ぼくが描いたんです!」
「まあ……とても素敵ですわ。ありがとう、大切にしますね」
その瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
――あの頃、誰にも価値を認めてもらえなかった自分が、今は“未来の憧れ”として子どもたちの目に映っている。これ以上の喜びがあるだろうか。
◇
視察を終えて王宮に戻ると、夜風が吹き抜けるテラスでアレクシスが星空を見上げていた。隣に並ぶと、彼は静かに口を開く。
「レティシア。君がここまでの道を歩んできたこと、私は本当に誇りに思っています」
「……わたしも、ここまで来られた自分を少しだけ誇りに思えるようになりました」
「少しだけ?」
「ええ、少しだけですわ。だって、まだ道は続いていますから」
ふたりで顔を見合わせ、微笑み合う。
――“ざまあ”という言葉で始まった物語は、もうそこにはない。代わりにあるのは、“共に進む未来”への希望だけだ。
「レティシア、君と出会って、私は王という肩書きの意味を初めて知った気がします。王は民を導くだけでなく、民と共に歩む存在なのだと」
「そして、王妃は……王の隣で、民と共に未来を見つめる者ですわね」
「ええ。――その“隣”が、君で本当によかった」
手を重ね合い、夜空を見上げる。
星は静かに瞬き、まるでこれから先も、わたしたちの歩む道を照らしてくれるようだった。
◇
あの頃は、ただ「見返したい」と思っていた。
けれど今は違う。わたしが望むのは、誰かに勝つことでも、過去を塗り替えることでもない。
“誰かと共に、未来へ進んでいくこと”――ただ、それだけだ。
そして、その未来は今も続いている。
愛する人と共に、支えてくれる人々と共に、そして過去のわたしと共に。
“いじめられっこ”だった少女は、今や王国の中心に立っている。
――その手を取り、微笑み合える未来がある限り、わたしの物語は終わらない。
第15話 “幸福”という名の戦い
〇
季節は再び巡り、あの涙の日から数えて五年という月日が流れていた。王国は今、かつて誰も想像しなかったほどの豊かさを手にしている。交易は盛んになり、教育制度は根本から改革され、民の声は王政に確実に届く仕組みとなった。
――けれど、物語はここで終わらなかった。むしろ、本当の“戦い”はここからだったのだ。
その日の王宮会議室は、いつになく熱を帯びていた。王政と市民議会の合同討論――今や当たり前となったこの場は、王国の未来を形づくる最も重要な場所であり、そして時に激しくぶつかり合う場でもある。
「王妃陛下、この案は財政負担が大きすぎます!」
「しかし、地方の農民にとってはこれが唯一の希望です!」
「民が未来を選ぶと言っても、現実的な限界はあります!」
怒号にも近い声が飛び交う中、わたしはただ静かに耳を傾けていた。議論は激しく、意見は真っ向から対立している。しかし、それでいい――これこそが、わたしたちが築こうとしてきた“共に考える国”の姿だからだ。
「皆さん、静かに。……意見はどちらも正しいのです」
わたしの声に、場がすっと静まる。
「現実的な制約を無視することはできません。でも、それだけを優先して民の願いを切り捨てることも許されません。だからこそ、私たちは“どうすれば両方を守れるか”を考えるのです」
沈黙ののち、再び議論が再開される。今度は少しだけ穏やかに、互いの意見を受け止めながら言葉が交わされていた。
――わたしはこの瞬間が好きだ。かつて“声をあげることすら許されなかった”わたしが、今は“声を交わす場”の中心にいる。そのことが、たまらなく誇らしかった。
◇
会議が終わると、夜はすでに更けていた。王宮の廊下を歩いていると、アレクシスが疲れた様子でやってきた。王としての日々は、わたし以上に重いものだろう。それでも、彼は笑みを絶やさない。
「今日も一日、お疲れさまでした」
「あなたもですわ、陛下。……でも、やはり“幸福”というのは簡単には手に入りませんね」
「ええ。手に入れたと思った瞬間から、守るための戦いが始まるのです」
彼の言葉に、わたしは深く頷く。
“ざまあ”は一瞬で終わる。けれど、“幸福”は永遠に続く戦いだ。人の心は移ろい、社会は変わり続ける。だからこそ、歩みを止めてはならない。
「ねえ、アレクシス。わたし、ひとつだけ怖いことがあります」
「怖いこと?」
「かつて、何も持たなかった自分が“権力”というものを手に入れてしまったことです。もし、それを誤って使ってしまったら――わたしはまた、あの頃の自分と同じように、人を傷つけてしまうのではないかと」
彼は足を止め、真剣な眼差しでわたしを見つめた。
「レティシア。あなたがその恐れを抱いている限り、絶対に道を踏み外すことはありません。自分の力を疑い、問うことができる人こそ、本当の強さを持つのです」
「……ありがとう。あなたがそう言ってくれると、少しだけ安心します」
手を取られ、指先に温もりが宿る。
この温かさがある限り、どんな恐れも乗り越えていける――心からそう思えた。
◇
その夜、王都の街をふたりで歩いた。夜風は心地よく、通りにはまだ灯りがともり、人々の笑い声があちこちから聞こえてくる。
子どもたちは遅くまで遊び、恋人たちは未来を語り、商人たちは新しい夢を語っていた。
「見てください、アレクシス。……あの頃、わたしが憧れていた“普通の幸せ”が、今はこうして街のあちこちにあるのですね」
「ええ。君が望んだ幸せは、君だけのものではなく、国全体のものになったのです」
ふと立ち止まると、通りの先で一組の若い男女が笑い合っていた。
貴族でも、王族でもない。けれど、確かに“幸福”を手にしている顔だった。
「……わたし、あの頃の自分に言ってあげたいです。“あなたの涙は、無駄じゃなかった”って」
「きっと、過去の君は泣きながら笑うでしょうね。『よく頑張ったわね』って」
彼の言葉に、胸の奥が熱くなる。
“ざまあ”ではなく、“ありがとう”という言葉が浮かぶ。――それこそが、本当に乗り越えた証なのだ。
◇
王宮へ戻る道すがら、空を見上げると、満天の星が広がっていた。
その光はまるで、過去の涙ひとつひとつが輝きに変わったようだった。
「ねえ、アレクシス。これからも、わたしたちは戦っていくのですね」
「ええ。幸福のために、愛のために、未来のために――」
「“ざまあ”の物語は終わりました。次は、“守る”物語の始まりですわね」
「そうです。そして、あなたとならどんな戦いも怖くありません」
夜空の下、手を重ねる。
その手はもう、震えていなかった。迷いや不安があっても、それは“進むための力”に変わっていた。
◇
かつて“いじめられっこ”と呼ばれた少女は、もうどこにもいない。
今ここにいるのは、国と共に未来を歩む“王妃”であり、“ひとりの人間”として幸福と向き合うわたしだ。
――幸福は、勝ち取るものではない。
愛する人と共に、築き続けていくものなのだ。
この戦いは、きっと終わらない。
けれど、それでいい。だって、わたしはもう一人じゃないのだから。
そして、わたしたちの物語は、まだまだ続いていく――。
第16話 「王国の未来は、民と共に」
〇
王国が新しい時代へと歩みを進めてから、さらに数年の時が流れた。かつて“いじめられっこ”と呼ばれた少女は、今や名実ともに「国を導く王妃」として人々から尊敬と信頼を集めている。
だが、わたしの胸にある気持ちは最初の頃と何も変わらなかった――ただ、人々と共に未来をつくりたい。その一心だけだった。
その日、王宮の会議室では大規模な国家計画の会合が開かれていた。新しい公共施設の建設、次世代の教育制度、他国との新たな同盟――どれもが王国の未来を左右する重要な議題ばかりだ。
わたしは円卓の中央に座り、真剣な面持ちで各代表者たちの意見を聞いていた。
「王妃陛下、農村地域への支援は拡大すべきです。都市との格差が広がってしまいます」
「しかし、貿易港の整備を優先しなければ、経済の土台が弱体化する危険もあります!」
「どちらも大切です。ですが、予算は限られています!」
再び議論は白熱し、会場には熱気が満ちていく。だが、わたしはそれを“争い”とは思わなかった。――これこそが、本当の意味での「共に考える政治」だったからだ。
「皆さま、意見をありがとうございます。どの提案にも価値があります。ですから、どれか一つを選ぶのではなく、“一歩ずつ”進めていきましょう」
わたしはゆっくりと立ち上がり、広間を見渡した。
「王国の未来は、一人の力では築けません。王の力だけでも、民の声だけでも足りません。――“共に歩む力”こそが、真の繁栄をもたらすのです」
その言葉に、静まり返った会場から拍手が起こった。
それは、わたしが何年もかけて築き上げてきた“信頼”そのものの音だった。
◇
会議が終わったあと、アレクシスと並んで王宮の庭を歩いた。
初夏の陽射しが差し込み、風が花々の香りを運んでくる。穏やかな時間の中で、ふと、彼が口を開いた。
「君の言葉は、もう“王妃の演説”ではないね」
「え?」
「人々は、君の言葉に“未来”を見るのだ。王妃としてではなく、一人の人間として、君が信じてきたものに心を動かされている」
「……わたしは、ただ思ったことを口にしているだけですわ」
「その“ただ”が、どれほどの重みを持っているか、君はわかっていない」
アレクシスの瞳は真剣そのもので、まるで初めて出会ったあの日のようだった。
――あの日、誰にも届かないと思っていた言葉が、今では国を動かしている。考えてみれば、それは奇跡のようなことだった。
「レティシア、私たちはまだ道半ばだ。王国は豊かになった。だが、まだ“真の平等”も“完全な自由”も手にしてはいない」
「ええ。……だから、歩みを止めてはいけませんわね」
「その通りです。君となら、どこまでも進んでいける」
彼の言葉に、わたしは静かに微笑んだ。
“ざまあ”の感情も、かつての憎しみも、もうどこにもない。ただ、未来への希望だけが心の中にあった。
◇
その夜、王宮のバルコニーから王都を見下ろすと、夜空の下で人々の灯りが星のように瞬いていた。街の広場では人々が歌い、笑い、夢を語っている。その光景は、かつて“見上げるだけ”だった景色とはまるで違っていた。
「……この国は、本当に変わりましたわね」
アレクシスの隣で呟くと、彼はゆっくりと頷いた。
「君が変えたんだよ。たった一人の少女の声が、ここまで世界を動かしたんだ」
「わたしだけの力ではありません。あなたがいて、支えてくれる人がいて、信じてくれる民がいて……だから、ここまで来られたのです」
「それでも、最初の一歩を踏み出したのは、君だ」
その言葉に、胸の奥が静かに熱くなる。
――最初の一歩。涙をこらえて前を向いた、あの日の一歩。それは確かに、今へと続く道の始まりだった。
◇
しばらく夜景を眺めていたわたしは、ふと口を開いた。
「ねえ、アレクシス。わたし、ずっと夢見ていることがあるのです」
「夢?」
「ええ。王も王妃も必要としない国――人々が自ら考え、自ら選び、自らの手で未来をつくる国です」
彼は少しだけ驚いたような顔をしたが、やがて柔らかく笑った。
「……本当に君らしい夢だ。でも、それは決して“王家の終わり”ではない。むしろ、“王家の使命”の完成だ」
「そうですわ。私たちの役目は、支配することではなく、導くこと。その先で、人々が自分の足で歩けるようになることです」
「――なら、共に歩もう。君の夢が叶うその日まで」
手と手が重なり、夜風がそっと髪を揺らす。
わたしたちの物語は、まだ終わらない。むしろ、ここからが本当の始まりだ。
◇
“ざまあ”という言葉から始まった物語は、今や“未来”という言葉へと姿を変えた。
かつて涙を流していた少女は、今、王国の光として人々の前を歩いている。
そして、その歩みは、これからも止まることはない。
――未来は、まだ先にある。
愛する人と、支えてくれる人々と、共に歩む限り。
わたしはどこまでも進んでいく。
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