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第11話 “ざまあ”の先にあるもの
〇
民政協議会の創設から半年後――王国はゆっくりと、しかし確実に変わり始めていた。王宮と民との距離はかつてなく近づき、意見は直接王妃宛てに届けられるようになった。かつては届かなかった小さな声が、今では王国の方針を左右する力になっている。
人々は笑顔を取り戻し、街の空気は柔らかく、穏やかになっていた。
そんなある日、わたしは地方の小都市を視察していた。新しい教育施設の開設式典への出席と、現地の民の声を聞くためだ。王宮の重いドレスではなく、簡素な紺色の外出服を身につけ、帽子をかぶって馬車を降りると、待ち受けていた人々が一斉に歓声を上げた。
「王妃様だ!」
「本当に来てくださったんだ!」
「ありがとう! 学校ができて、子どもたちが勉強できるようになったよ!」
その言葉に、胸がじんわりと熱くなる。子どもたちの笑顔、年配者の深いお辞儀、母親たちの涙――それはわたしがこの地に“ただの王族”として来たのではなく、“彼らと共に生きる者”として迎えられている証だった。
「皆さん、ありがとう。今日こうしてここに立てているのは、皆さんの声があったからです」
挨拶を終えると、一人の少年が勇気を出したように前へ進み出た。
「王妃様! ぼく、字が読めるようになったんです! 将来は、王宮で働きたいです!」
その目はまっすぐで、濁りひとつなかった。
わたしはその小さな手を取って、静かに微笑む。
「ええ、きっと叶いますわ。あなたが努力を続ければ、いつか必ず王宮の扉は開かれます」
「ほんとですか!?」
「ええ、約束します」
少年の瞳が希望で輝いた。あの頃のわたしも、こんな未来を夢見ていたのかもしれない――けれど、夢すら許されなかった。
だからこそ、今こうして“夢を信じられる子ども”を増やせていることが、心から嬉しかった。
◇
式典のあと、市場を散策していたとき、思いがけない人影を見つけた。
質素な商人の服を着た女性が、子どもたちに読み書きを教えている。声をかけようとして――その顔を見て、息を呑んだ。
「……セリーヌ?」
彼女は振り返り、わたしを見て驚いたように目を見開いた。
以前のような濃い化粧も、派手な宝飾もない。だがその瞳は、かつてよりずっと澄んでいた。
「レティシア……来てくれたのね」
「あなた、ここで何を?」
「今はね、この街で読み書きの教室を開いているの。最初は“公爵家の娘がなぜ”って笑われたけれど、今は少しずつ人が集まってきているのよ」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなった。
彼女は落ちぶれたのではなかった。過去を背負い、それでも前を向こうとしていたのだ。
「……素敵ですわ。とても、あなたらしいと思います」
「昔のわたしなら、こんなこと“負け犬の仕事”だと思っていた。でも今は違うの。子どもたちが初めて文字を書けたときの笑顔、それを見るたびに思うの。――これが“生きる”ってことなんだって」
彼女の声は穏やかで、どこか誇らしげだった。
わたしは、気づかぬうちに微笑んでいた。
「わたしたち、どこか似ているのかもしれませんね」
「そうかもしれないわね。……あなたは“王妃”として人を導き、わたしは“教師”として人を支える。立場は違っても、きっと目指しているものは同じ」
かつて互いを憎み合い、見下し合っていたふたりが、今はこうして穏やかに言葉を交わせる。
それが、何よりの“ざまあ”だと思った。勝ち負けでも、優劣でもない。お互いが“変わった”という事実そのものが、最大のざまあなのだ。
◇
日が暮れるころ、王都へ戻る馬車の中で、アレクシスがわたしに尋ねた。
「久しぶりに会ったセリーヌ嬢は、どうでしたか?」
「驚きました。……彼女、とても穏やかな顔をしていましたわ」
「人は、変わろうと思えば変われるのです。あなたも、彼女も」
「ええ。だからこそ、きっとこの国も変わっていけるのでしょうね」
「それは、あなたが“人を信じる力”を教えてくれたからですよ」
その言葉に、胸が熱くなる。
“ざまあ”という言葉に囚われていた自分は、もうどこにもいなかった。今のわたしは、ただ未来を信じて歩き続けるだけだ。
◇
夜、王宮のバルコニーに立つと、月が静かに空を照らしていた。
風が頬を撫で、遠くで子どもたちの笑い声が響いている。かつてのわたしは、その笑い声を“遠い世界の音”だと思っていた。
でも今は違う。それは、わたしが“守るべき音”だ。
「アレクシス。ねえ、わたしたち、もっと先へ行けると思うのです」
「ええ。きっと、どこまでも」
「“ざまあ”の先にあるのは、幸福ですわ。勝つとか、負かすとか、そういうことじゃなくて……ただ、人が笑って生きられる世界」
「そして、あなたと私が共に創っていく世界ですね」
月明かりの下で手を取り合う。
それは、あの日とはまったく違う握手だった。屈辱や復讐から始まった道は、いまや希望と愛へと続いている。
“ざまあ”の物語は、ここで終わりではない。
むしろ、ここからが本当の始まりなのだ。
この手を離さず、わたしは歩き続ける。
――かつての涙を、未来の笑顔に変えるために。
第12話 新たな日々のはじまり
〇
春が終わり、夏の風が王都を包み込む季節がやってきた。街の市場には熟れた果実が並び、子どもたちは川辺ではしゃぎ、広場では新しい政策について人々が熱心に語り合っている。王妃としての生活は慌ただしく、息をつく暇もないほどの日々だが――それでも、わたしの心はかつてないほど満たされていた。
朝、王宮の執務室で書類を整理していると、アレクシスが窓際から声をかけてきた。彼は穏やかな笑みを浮かべながら、手に一通の書簡を持っている。
「レティシア、今日は少し特別な日ですよ」
「特別な日、ですか?」
「ええ。民政協議会の第一期生たちが、今日から正式に“王政顧問”として任命されるんです。君が提案してくれた制度が、いよいよ国の一部として動き始めますよ」
胸がじんわりと熱くなる。
ただの“提案”だったものが、今や国を動かす仕組みになり、人々の未来を形作っている――それは、言葉にならないほどの感動だった。
「……本当に、ここまで来たのですね」
「そうです。すべて、あなたの信念が導いた結果です。民の声を信じ、人を信じ、自分を信じる――それがどれほどの力を持つか、あなたが証明してくれました」
アレクシスの言葉に、胸の奥がじわりと温かくなる。
あの頃、“信じても無駄”だと笑われ続けたわたしが、今は“信じる力”で国を動かしている。どれほどの遠回りだったとしても、この道は間違っていなかったのだと、今ならはっきり言える。
◇
昼過ぎ、王政顧問任命式の式典が始まった。王宮の大広間には各地から集まった市民代表が並び、その表情は誇らしげで、そして少し緊張している。壇上に立つわたしの姿を見つめる瞳には、不安ではなく“信頼”が宿っていた。
「皆さま、本日はお集まりいただきありがとうございます。わたしたちは今、新しい時代の入り口に立っています。王が民を導くだけでなく、民が王と共に未来をつくる時代――それが、今日から始まるのです」
会場が静まり返る。
わたしの声は、嘘偽りのない本心だった。民を“下”と見下すのではなく、“共に歩む仲間”として見る。それは、かつてのわたしがずっと望んでいた世界だった。
「どうか、恐れずに声を上げてください。失敗を恐れずに、意見をぶつけてください。わたしも、陛下も、皆さまの声と共に未来をつくっていきます」
言葉が終わると、会場から大きな拍手が湧き上がった。
その音は、あの日の嘲笑とはまったく違う。これは、希望と信頼と、未来への約束の音だった。
◇
式典が終わったあと、王宮の廊下を歩いていると、ひとりの女性が近づいてきた。地味な服装で、どこか見覚えがある顔――セリーヌだった。
「……あなたが、ここまでの仕組みを作るなんて。昔のわたしには想像もできなかったわ」
「ありがとう、セリーヌ。でも、これはわたしひとりの力じゃない。多くの人の声があったからこそ、ここまで来られたのです」
「ふふ……“声”ね。昔のわたしは、声を押しつぶすことで自分の価値を保とうとしていた。けれど、声を受け止めるほうが、ずっと難しいし、ずっと強いことなのね」
「あなたも変わりましたわね」
「ええ、きっとあなたに出会わなければ、今のわたしはいなかった」
静かに言葉を交わすふたりの間には、もはや過去のような憎しみはない。代わりにあるのは、互いの歩んできた道への“敬意”だった。
「……ねえ、レティシア。わたしにもできるかしら。誰かの未来を、少しでも変えること」
「もちろんですわ。あなたには、その力がある」
その瞬間、彼女は涙ぐんだ。かつて見下ろしていた相手からの“信頼”が、何よりも重く、温かかったのだろう。
◇
夕刻、バルコニーから街を見下ろす。人々の声が遠くまで響き、商人たちが店を広げ、子どもたちが駆け回っている。
――それは、ただの“王国”ではない。王と民が共に生きる“家族”のような国の姿だった。
「アレクシス。ねえ、わたしたち、少しはこの国を変えられたのでしょうか?」
「少しどころか、大きく変えましたよ。あなたがいたから、この国は“未来”を選べたのです」
「わたしが?」
「ええ。かつて“いじめられっこ”だった少女が、今は国の未来を照らす灯火になっている。……それは、奇跡でも偶然でもありません。あなたが諦めなかった結果です」
彼の言葉が心の奥まで沁みていく。
――そうだ、わたしは諦めなかった。どれだけ傷ついても、何度踏みにじられても、絶対に立ち上がることをやめなかった。その選択が、今を創ったのだ。
「……ありがとう、アレクシス。あなたがいてくれたから、ここまで来られました」
「私も同じです。あなたと出会わなければ、今の私も、この国もありませんでした」
静かな夜風が吹き抜ける。
見上げれば、星々がまるで祝福するようにきらめいていた。
◇
あの日、「ざまあ」と言ってやりたかった人たちの顔は、もう思い出せない。
勝ちたいと思っていた過去は、今ではただの通過点にすぎない。
――本当の勝利は、誰かを踏みにじることではなく、誰かと手を取り合って未来へ進むことなのだ。
これからも、わたしの道は続いていく。
愛する人と共に、民と共に、そして過去の自分と共に。
“ざまあ”の物語は終わった。
これから始まるのは、“幸福”の物語だ。
――永遠に続く、光の物語が。
第13話 「未来はここから」
〇
王妃としての日々は、季節が移り変わっても慌ただしさを増すばかりだった。民政協議会は着実に機能し、各地から寄せられる声は、もはや紙束では収まりきらないほどの量になっていた。教育制度の改善、貧困地域への支援、新しい産業育成の提案――どれもが、王国を確実に前へと押し出している。
それでも、わたしは毎朝欠かさず“原点”に戻る習慣を続けていた。王宮の裏庭にある、静かなバラ園で過ごす時間だ。ここは、アレクシスと初めて未来について語り合った場所。どんなに忙しくても、ここに来ると不思議と心が落ち着く。
その日も、わたしが花々の間を歩いていると、アレクシスが後ろから現れた。朝日を背にした彼の姿は、初めて出会った頃と何も変わらない――いや、今はその瞳の奥に“国を共に背負う者”としての深い信頼が宿っていた。
「こんなところにいたのですか、王妃殿下」
「ええ。ここに来ると、初心を思い出せるのです。どれほど国が変わっても、わたしは“民と共にある”という気持ちだけは忘れたくありませんから」
「――それが、あなたの強さです。だからこそ、民はあなたを信じている」
アレクシスはわたしの隣に立ち、静かに花々を見つめた。風が吹き、バラの香りがふたりを包む。
「レティシア、今日の評議会で一つ話し合いたい提案があります。新しい“市民議会”の設立についてです」
「市民議会……ですか?」
「ええ。協議会は民の声を届ける役割を果たしていますが、政策決定の場にはまだ届いていない。そこで、民自らが議論し、国の方針の一部を形作る場を設けたいのです」
胸が高鳴った。
――それは、かつてわたしが夢見た“理想の国”のさらに先の姿だった。民がただ声を上げるだけでなく、共に考え、共に決めていく国。王と民が本当の意味で対等に未来をつくっていく世界だ。
「それは……素晴らしいですわ、アレクシス。本当に、ここまで来たのですね」
「ええ。そして、その夢を最初に語ってくれたのは、他でもないあなたですよ」
彼の言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。
“いじめられっこ”と嘲られ、何も持たないと思っていたわたしが、今は“未来を語る存在”になっている。――それは、どんな宝石よりも価値のあることだった。
◇
昼、王宮の大広間では新たな市民代表を交えた初会合が開かれていた。貴族だけでなく、農民や商人、学者や職人までもが議場の席につき、国の未来について議論している。誰もが真剣で、誰もが“自分の国”のこととして意見を交わしていた。
「王妃陛下、私たちは“義務”としてではなく、“誇り”として国に意見を届けたいのです」
「王家と民が対等に語り合うこの場こそ、未来への第一歩です!」
次々と飛び交う言葉に、わたしの心は熱くなった。
これは、かつての王国ではあり得なかった光景。だが今、目の前にあるのは“理想”そのものだった。
「――ありがとうございます。皆さまの言葉は、この国を強くし、豊かにします。どうか恐れず、共に未来を描いていきましょう」
会場が拍手に包まれる。
その音は、王宮という枠を超え、王国全体を震わせるようだった。
◇
会合が終わり、夜になったころ。わたしはアレクシスとふたり、王都を見下ろす高台へと足を運んでいた。
夜風が頬を撫で、街の灯りが宝石のようにきらめく。遠くでは人々の笑い声が響き、祭りの歌がかすかに聞こえる。
「……変わりましたね、この国は」
「ええ。信じられないほどに。でも、変わったのは国だけではありません。あなたも、私も」
彼の言葉に、静かに微笑んだ。
確かに、わたしたちは変わった。憎しみを糧にしていた日々を越え、今は“共に生きる喜び”を力に変えている。
「レティシア。――あなたはこの国の希望です。これからも、ずっと私の隣で共に歩んでください」
「もちろんです。あなたと一緒なら、どこへでも行けますわ」
手と手が触れ合う。
その瞬間、あの日の涙も、嘲笑も、全てが報われたような気がした。わたしの人生は“ざまあ”で終わる物語ではない。――“未来”へ続く物語なのだ。
◇
夜空を仰ぐと、星々がまるで祝福のように瞬いていた。
あの頃の自分に、今ならはっきりと言える。
――大丈夫。泣きながら歩いた道は、必ず光へとつながっている。
――傷だらけの心も、いつか人を愛し、国を導く力に変わる。
もう、誰かを見返す必要はない。
今のわたしには、守りたいものがある。愛する人がいて、信じてくれる民がいる。
それだけで、世界はこんなにも美しい。
「未来はここから、ですわね」
「ええ、ここからが本当の始まりです」
夜風に揺れる灯りの中で、ふたりの影は静かに重なった。
それは、ひとつの“ざまあ”の物語の終わりであり、永遠に続く“幸福の物語”の幕開けだった。
〇
民政協議会の創設から半年後――王国はゆっくりと、しかし確実に変わり始めていた。王宮と民との距離はかつてなく近づき、意見は直接王妃宛てに届けられるようになった。かつては届かなかった小さな声が、今では王国の方針を左右する力になっている。
人々は笑顔を取り戻し、街の空気は柔らかく、穏やかになっていた。
そんなある日、わたしは地方の小都市を視察していた。新しい教育施設の開設式典への出席と、現地の民の声を聞くためだ。王宮の重いドレスではなく、簡素な紺色の外出服を身につけ、帽子をかぶって馬車を降りると、待ち受けていた人々が一斉に歓声を上げた。
「王妃様だ!」
「本当に来てくださったんだ!」
「ありがとう! 学校ができて、子どもたちが勉強できるようになったよ!」
その言葉に、胸がじんわりと熱くなる。子どもたちの笑顔、年配者の深いお辞儀、母親たちの涙――それはわたしがこの地に“ただの王族”として来たのではなく、“彼らと共に生きる者”として迎えられている証だった。
「皆さん、ありがとう。今日こうしてここに立てているのは、皆さんの声があったからです」
挨拶を終えると、一人の少年が勇気を出したように前へ進み出た。
「王妃様! ぼく、字が読めるようになったんです! 将来は、王宮で働きたいです!」
その目はまっすぐで、濁りひとつなかった。
わたしはその小さな手を取って、静かに微笑む。
「ええ、きっと叶いますわ。あなたが努力を続ければ、いつか必ず王宮の扉は開かれます」
「ほんとですか!?」
「ええ、約束します」
少年の瞳が希望で輝いた。あの頃のわたしも、こんな未来を夢見ていたのかもしれない――けれど、夢すら許されなかった。
だからこそ、今こうして“夢を信じられる子ども”を増やせていることが、心から嬉しかった。
◇
式典のあと、市場を散策していたとき、思いがけない人影を見つけた。
質素な商人の服を着た女性が、子どもたちに読み書きを教えている。声をかけようとして――その顔を見て、息を呑んだ。
「……セリーヌ?」
彼女は振り返り、わたしを見て驚いたように目を見開いた。
以前のような濃い化粧も、派手な宝飾もない。だがその瞳は、かつてよりずっと澄んでいた。
「レティシア……来てくれたのね」
「あなた、ここで何を?」
「今はね、この街で読み書きの教室を開いているの。最初は“公爵家の娘がなぜ”って笑われたけれど、今は少しずつ人が集まってきているのよ」
その言葉に、胸がじんわりと温かくなった。
彼女は落ちぶれたのではなかった。過去を背負い、それでも前を向こうとしていたのだ。
「……素敵ですわ。とても、あなたらしいと思います」
「昔のわたしなら、こんなこと“負け犬の仕事”だと思っていた。でも今は違うの。子どもたちが初めて文字を書けたときの笑顔、それを見るたびに思うの。――これが“生きる”ってことなんだって」
彼女の声は穏やかで、どこか誇らしげだった。
わたしは、気づかぬうちに微笑んでいた。
「わたしたち、どこか似ているのかもしれませんね」
「そうかもしれないわね。……あなたは“王妃”として人を導き、わたしは“教師”として人を支える。立場は違っても、きっと目指しているものは同じ」
かつて互いを憎み合い、見下し合っていたふたりが、今はこうして穏やかに言葉を交わせる。
それが、何よりの“ざまあ”だと思った。勝ち負けでも、優劣でもない。お互いが“変わった”という事実そのものが、最大のざまあなのだ。
◇
日が暮れるころ、王都へ戻る馬車の中で、アレクシスがわたしに尋ねた。
「久しぶりに会ったセリーヌ嬢は、どうでしたか?」
「驚きました。……彼女、とても穏やかな顔をしていましたわ」
「人は、変わろうと思えば変われるのです。あなたも、彼女も」
「ええ。だからこそ、きっとこの国も変わっていけるのでしょうね」
「それは、あなたが“人を信じる力”を教えてくれたからですよ」
その言葉に、胸が熱くなる。
“ざまあ”という言葉に囚われていた自分は、もうどこにもいなかった。今のわたしは、ただ未来を信じて歩き続けるだけだ。
◇
夜、王宮のバルコニーに立つと、月が静かに空を照らしていた。
風が頬を撫で、遠くで子どもたちの笑い声が響いている。かつてのわたしは、その笑い声を“遠い世界の音”だと思っていた。
でも今は違う。それは、わたしが“守るべき音”だ。
「アレクシス。ねえ、わたしたち、もっと先へ行けると思うのです」
「ええ。きっと、どこまでも」
「“ざまあ”の先にあるのは、幸福ですわ。勝つとか、負かすとか、そういうことじゃなくて……ただ、人が笑って生きられる世界」
「そして、あなたと私が共に創っていく世界ですね」
月明かりの下で手を取り合う。
それは、あの日とはまったく違う握手だった。屈辱や復讐から始まった道は、いまや希望と愛へと続いている。
“ざまあ”の物語は、ここで終わりではない。
むしろ、ここからが本当の始まりなのだ。
この手を離さず、わたしは歩き続ける。
――かつての涙を、未来の笑顔に変えるために。
第12話 新たな日々のはじまり
〇
春が終わり、夏の風が王都を包み込む季節がやってきた。街の市場には熟れた果実が並び、子どもたちは川辺ではしゃぎ、広場では新しい政策について人々が熱心に語り合っている。王妃としての生活は慌ただしく、息をつく暇もないほどの日々だが――それでも、わたしの心はかつてないほど満たされていた。
朝、王宮の執務室で書類を整理していると、アレクシスが窓際から声をかけてきた。彼は穏やかな笑みを浮かべながら、手に一通の書簡を持っている。
「レティシア、今日は少し特別な日ですよ」
「特別な日、ですか?」
「ええ。民政協議会の第一期生たちが、今日から正式に“王政顧問”として任命されるんです。君が提案してくれた制度が、いよいよ国の一部として動き始めますよ」
胸がじんわりと熱くなる。
ただの“提案”だったものが、今や国を動かす仕組みになり、人々の未来を形作っている――それは、言葉にならないほどの感動だった。
「……本当に、ここまで来たのですね」
「そうです。すべて、あなたの信念が導いた結果です。民の声を信じ、人を信じ、自分を信じる――それがどれほどの力を持つか、あなたが証明してくれました」
アレクシスの言葉に、胸の奥がじわりと温かくなる。
あの頃、“信じても無駄”だと笑われ続けたわたしが、今は“信じる力”で国を動かしている。どれほどの遠回りだったとしても、この道は間違っていなかったのだと、今ならはっきり言える。
◇
昼過ぎ、王政顧問任命式の式典が始まった。王宮の大広間には各地から集まった市民代表が並び、その表情は誇らしげで、そして少し緊張している。壇上に立つわたしの姿を見つめる瞳には、不安ではなく“信頼”が宿っていた。
「皆さま、本日はお集まりいただきありがとうございます。わたしたちは今、新しい時代の入り口に立っています。王が民を導くだけでなく、民が王と共に未来をつくる時代――それが、今日から始まるのです」
会場が静まり返る。
わたしの声は、嘘偽りのない本心だった。民を“下”と見下すのではなく、“共に歩む仲間”として見る。それは、かつてのわたしがずっと望んでいた世界だった。
「どうか、恐れずに声を上げてください。失敗を恐れずに、意見をぶつけてください。わたしも、陛下も、皆さまの声と共に未来をつくっていきます」
言葉が終わると、会場から大きな拍手が湧き上がった。
その音は、あの日の嘲笑とはまったく違う。これは、希望と信頼と、未来への約束の音だった。
◇
式典が終わったあと、王宮の廊下を歩いていると、ひとりの女性が近づいてきた。地味な服装で、どこか見覚えがある顔――セリーヌだった。
「……あなたが、ここまでの仕組みを作るなんて。昔のわたしには想像もできなかったわ」
「ありがとう、セリーヌ。でも、これはわたしひとりの力じゃない。多くの人の声があったからこそ、ここまで来られたのです」
「ふふ……“声”ね。昔のわたしは、声を押しつぶすことで自分の価値を保とうとしていた。けれど、声を受け止めるほうが、ずっと難しいし、ずっと強いことなのね」
「あなたも変わりましたわね」
「ええ、きっとあなたに出会わなければ、今のわたしはいなかった」
静かに言葉を交わすふたりの間には、もはや過去のような憎しみはない。代わりにあるのは、互いの歩んできた道への“敬意”だった。
「……ねえ、レティシア。わたしにもできるかしら。誰かの未来を、少しでも変えること」
「もちろんですわ。あなたには、その力がある」
その瞬間、彼女は涙ぐんだ。かつて見下ろしていた相手からの“信頼”が、何よりも重く、温かかったのだろう。
◇
夕刻、バルコニーから街を見下ろす。人々の声が遠くまで響き、商人たちが店を広げ、子どもたちが駆け回っている。
――それは、ただの“王国”ではない。王と民が共に生きる“家族”のような国の姿だった。
「アレクシス。ねえ、わたしたち、少しはこの国を変えられたのでしょうか?」
「少しどころか、大きく変えましたよ。あなたがいたから、この国は“未来”を選べたのです」
「わたしが?」
「ええ。かつて“いじめられっこ”だった少女が、今は国の未来を照らす灯火になっている。……それは、奇跡でも偶然でもありません。あなたが諦めなかった結果です」
彼の言葉が心の奥まで沁みていく。
――そうだ、わたしは諦めなかった。どれだけ傷ついても、何度踏みにじられても、絶対に立ち上がることをやめなかった。その選択が、今を創ったのだ。
「……ありがとう、アレクシス。あなたがいてくれたから、ここまで来られました」
「私も同じです。あなたと出会わなければ、今の私も、この国もありませんでした」
静かな夜風が吹き抜ける。
見上げれば、星々がまるで祝福するようにきらめいていた。
◇
あの日、「ざまあ」と言ってやりたかった人たちの顔は、もう思い出せない。
勝ちたいと思っていた過去は、今ではただの通過点にすぎない。
――本当の勝利は、誰かを踏みにじることではなく、誰かと手を取り合って未来へ進むことなのだ。
これからも、わたしの道は続いていく。
愛する人と共に、民と共に、そして過去の自分と共に。
“ざまあ”の物語は終わった。
これから始まるのは、“幸福”の物語だ。
――永遠に続く、光の物語が。
第13話 「未来はここから」
〇
王妃としての日々は、季節が移り変わっても慌ただしさを増すばかりだった。民政協議会は着実に機能し、各地から寄せられる声は、もはや紙束では収まりきらないほどの量になっていた。教育制度の改善、貧困地域への支援、新しい産業育成の提案――どれもが、王国を確実に前へと押し出している。
それでも、わたしは毎朝欠かさず“原点”に戻る習慣を続けていた。王宮の裏庭にある、静かなバラ園で過ごす時間だ。ここは、アレクシスと初めて未来について語り合った場所。どんなに忙しくても、ここに来ると不思議と心が落ち着く。
その日も、わたしが花々の間を歩いていると、アレクシスが後ろから現れた。朝日を背にした彼の姿は、初めて出会った頃と何も変わらない――いや、今はその瞳の奥に“国を共に背負う者”としての深い信頼が宿っていた。
「こんなところにいたのですか、王妃殿下」
「ええ。ここに来ると、初心を思い出せるのです。どれほど国が変わっても、わたしは“民と共にある”という気持ちだけは忘れたくありませんから」
「――それが、あなたの強さです。だからこそ、民はあなたを信じている」
アレクシスはわたしの隣に立ち、静かに花々を見つめた。風が吹き、バラの香りがふたりを包む。
「レティシア、今日の評議会で一つ話し合いたい提案があります。新しい“市民議会”の設立についてです」
「市民議会……ですか?」
「ええ。協議会は民の声を届ける役割を果たしていますが、政策決定の場にはまだ届いていない。そこで、民自らが議論し、国の方針の一部を形作る場を設けたいのです」
胸が高鳴った。
――それは、かつてわたしが夢見た“理想の国”のさらに先の姿だった。民がただ声を上げるだけでなく、共に考え、共に決めていく国。王と民が本当の意味で対等に未来をつくっていく世界だ。
「それは……素晴らしいですわ、アレクシス。本当に、ここまで来たのですね」
「ええ。そして、その夢を最初に語ってくれたのは、他でもないあなたですよ」
彼の言葉に、胸の奥がじんと熱くなる。
“いじめられっこ”と嘲られ、何も持たないと思っていたわたしが、今は“未来を語る存在”になっている。――それは、どんな宝石よりも価値のあることだった。
◇
昼、王宮の大広間では新たな市民代表を交えた初会合が開かれていた。貴族だけでなく、農民や商人、学者や職人までもが議場の席につき、国の未来について議論している。誰もが真剣で、誰もが“自分の国”のこととして意見を交わしていた。
「王妃陛下、私たちは“義務”としてではなく、“誇り”として国に意見を届けたいのです」
「王家と民が対等に語り合うこの場こそ、未来への第一歩です!」
次々と飛び交う言葉に、わたしの心は熱くなった。
これは、かつての王国ではあり得なかった光景。だが今、目の前にあるのは“理想”そのものだった。
「――ありがとうございます。皆さまの言葉は、この国を強くし、豊かにします。どうか恐れず、共に未来を描いていきましょう」
会場が拍手に包まれる。
その音は、王宮という枠を超え、王国全体を震わせるようだった。
◇
会合が終わり、夜になったころ。わたしはアレクシスとふたり、王都を見下ろす高台へと足を運んでいた。
夜風が頬を撫で、街の灯りが宝石のようにきらめく。遠くでは人々の笑い声が響き、祭りの歌がかすかに聞こえる。
「……変わりましたね、この国は」
「ええ。信じられないほどに。でも、変わったのは国だけではありません。あなたも、私も」
彼の言葉に、静かに微笑んだ。
確かに、わたしたちは変わった。憎しみを糧にしていた日々を越え、今は“共に生きる喜び”を力に変えている。
「レティシア。――あなたはこの国の希望です。これからも、ずっと私の隣で共に歩んでください」
「もちろんです。あなたと一緒なら、どこへでも行けますわ」
手と手が触れ合う。
その瞬間、あの日の涙も、嘲笑も、全てが報われたような気がした。わたしの人生は“ざまあ”で終わる物語ではない。――“未来”へ続く物語なのだ。
◇
夜空を仰ぐと、星々がまるで祝福のように瞬いていた。
あの頃の自分に、今ならはっきりと言える。
――大丈夫。泣きながら歩いた道は、必ず光へとつながっている。
――傷だらけの心も、いつか人を愛し、国を導く力に変わる。
もう、誰かを見返す必要はない。
今のわたしには、守りたいものがある。愛する人がいて、信じてくれる民がいる。
それだけで、世界はこんなにも美しい。
「未来はここから、ですわね」
「ええ、ここからが本当の始まりです」
夜風に揺れる灯りの中で、ふたりの影は静かに重なった。
それは、ひとつの“ざまあ”の物語の終わりであり、永遠に続く“幸福の物語”の幕開けだった。
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